タイで出会ったナチュラルボーンストーカーな日本人9

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私と友人がYと距離を取るようになると同時に、逆に私とユンピンは急速に仲良くなっていきました。私はそこで初めてユンピンのことを詳しく知ることができました。ユンピンは今、親戚の手伝いでナイトマーケットの店番をしているだけで、本来はデザインの勉強をしている学生でした。しかし、その時間もそんなに長くないとのこと。

ユンピンは学校を卒業したら父方の親戚のいる香港に働きに行くとのことでした。ユンピンの父親は香港人とのことでした。なるほど。香港人とのハーフと聞いてしっくりきました。タイには華僑系のタイ人はたくさんいますが、その中でもユンピンの顔立ちはタイ人とは少し違っていました。

そうかー。香港に働きに行くのかー。残念だなー。せっかく仲良くなったのにー。仲良くなったきっかけは最悪だったけど・・・

〉そういえばチェンマイでの生活は慣れた?

おかげさまで。マッサージ学校も楽しいし。

〉そう。で?彼女は?

あー、まだ。そういえばユンピンの言ってた1か月で彼女ができるってやつ当たらないかもね。嘘つき。

なんて会話をしながらも皆で楽しい時間を過ごしていました。しかし、ユンピンたちと会うのは毎回深夜。彼女のナイトバザールでの仕事が終わってからでした。一緒にクラブに行ったり、バーで飲み明かしたり・・・しかし、ある日のこと。珍しく昼間に会おうとユンピンに言われました。珍しいなーと思いつつ快諾することにしました。

当日。私が泊まっているホテルまで車でやってきたユンピン。助手席に乗り込みます。そうして向かった先は・・・彼女の家でした。車で30分ほどの閑静なところにある一軒家。彼女に促されるまま家に入りました。家の門をくぐるとその中庭みたいなところに簡易のアトリエのようなものがありました。

それはどうやら彼女が使っているアトリエのようでした。結構本格的だなー、なんて思いながら中に入って飾られている絵を見ていました。すると彼女が、これも見て、と自分の書いた作品?を見せてきました。おそらく油絵なのだと思いますが、私には美術の素養やセンスが全くないので良く分からりませんでした。

そこには模写?のようなものから、デザイン画まで色々とありました。このような空間にいること自体不思議な感じだったのですが、物珍しさもあり私は食い入るように絵を見ていました。ふと気が付くとユンピンはいなくなっていました。あまり気にせず絵を眺めているとしばらくしてお茶を持ったユンピンが現れました。

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