駄洒落そのものの笑い | りおみーのブログ ニュースとお笑い芸人に不毛な突っ込み

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主にお笑いのネタに関して、時々ニュースに関して、「これってどういう事?」をロジカルに分析してます。

「駄洒落」はそもそも笑いじゃない!

だけど「駄洒落を言う事」は笑い?

□□□□□□はじめに□□□□□□

プレジデントオンラインのこちらの記事
(http://president.jp/articles/-/22033?display=b)では、
放送作家の方が、「笑いの基本構造」の一つとして「駄洒落」を挙げています。

でも「駄洒落」の何が笑いなんでしょう?

□□□□□□駄洒落は低レベル?□□□□□□

過去記事で「ボキャブラ天国」のネタの1つを扱った時、
Wikipedia「ボキャブラ天国」のページから、
ホリプロの堀義貴社長の自著やインタビュー記事中での記述を引用しました。

「当時のお笑い界は駄洒落や語呂合わせなどレベルの低いものに終始していた。」

まぁ、酷評ですね。。。

でも、芸人のみなさんは、
「そのレベルの低い?駄洒落や語呂合わせの枠の中で、どうすれば笑いが獲れるか」
を、考えていた訳ですよね。

決して、
「駄洒落というレベルの低いものに終始していた」
のではなく、
「面白くない駄洒落を如何に面白くするかに終始していた」
のだと思います。

まさに、
お笑い芸人さんがやるべき事をやっていた訳ですね。

□□□□□□言葉が似ている事□□□□□□

その「レベルの低い」と形容される駄洒落ですが、
そもそも笑いなんでしょうか?

Wikipediaを見ると、

「駄洒落(だじゃれ)とは、同じ或いは非常に似通った音を持つ言葉をかけて遊ぶ一種の言葉遊び。」

じゃあ、駄洒落は「似通った音」が面白い?

「似通った音」を言えば笑う?

そんな訳ないでしょう。

駄洒落のレゾンデートルであるはずの「似通った音」そのものは、
笑いではないと考えます。

以前も書きましたが、
ラップのライムは笑いではないですよね?

楽曲のラップのパートや、
ラップバトルを見て、
「韻踏んでる!面白い!ヘ(≧▽≦ヘ)♪」
って、笑ったり、
「何、母音揃えてんねん!☆\(^^;)」
って、突っ込みたくなる人はいませんよね?

「上手いか下手か」、「似てるか似てないか」という評価はありうるし、
「短時間で韻を踏む言葉を思い付くのスゴい」とも思います。

ラップバトルで相手をディスる内容が面白い事はよくあるけど、
「韻を踏んでいる事」を「面白い」と評価する事はないと思います。

「似通った音の言葉を思い付く能力」と、
「笑いを作り出す能力」とは、
全く別物でしょう。

「似通った音」が笑いという訳ではないからこそ、
ボキャブラの若手芸人さん達は、
それを笑いにするために、色々と工夫していた訳ですよね?

じゃあ、何故「駄洒落」は笑いの一つに数えられるのでしょう?

「笑い」=「笑いのフォーマットに突っ込みたい気持ち」を前提とすると、
当然「言葉が似通っている事」とは別に、
そこには「笑いのフォーマット」があるという事です。

では、
「駄洒落」を笑いにする「笑いのフォーマット」には、
どういうものがあるでしょう?

大きく分けると、

「駄洒落を言うという事実」で笑いを獲る場合と、

「駄洒落の言葉」で笑いを獲る場合があると思います。

□□□□□□状況次第□□□□□□

自身の著書の中である芸人さんは、
「ダジャレ言ってた人に対しての突っ込みって『ダジャレかよ!』とか『ダジャレ言っちゃったよ』くらいしかないだろ?」
と、述べています。

これは、「駄洒落を言うという事実」に対する「ツッコミ」ですね。

つまり、
第一義的に駄洒落を笑いにするのは、
「駄洒落の言葉」の内容ではなく、
その「駄洒落を言うという事実」に、
何らかの「笑いのフォーマット」が成立するかどうかではないかと思います。

一般論としては、
駄洒落を言う状況では無いのに駄洒落を言うという「ディスコミュニケーション」が成立するかどうか。

A:「そこのファミレスに懐かしいアレあったわ、、、パンナコッタ。久し振りに食べよーや。」
B:「私、ダイエット中で甘いのNGやねん。パンナコッタ?やーなこった!」
A:「何上手いこと言うてんねん!」

日常会話でこんな会話があったとすると、
まぁ、失笑だと思いますが、
笑いを意図している事は伝わりますね。

何故、笑いを意図している事が伝わるかというと、
「駄洒落」を言う事自体が「ディスコミュニケーション」だから。

< 基準 >:駄洒落を言う必然性が無いにも拘わらず
< ズレ >:駄洒落を言う
<ツッコミ>:「何で今駄洒落やねん?」「何上手いこと言うてんねん!」

日常での駄洒落が、
ウケるかどうかに関わらず、
笑いの言動と受け取られるのは、
この「必然性が無い」という逸脱が存在するからです。

……ということは当然、
必然性があるのであればそれは笑いではありません。

その代表が、ラップのライムです。

「ラップを歌っている事」や「ラップバトルをしている事」を理解している(コミュニケーション)なら、
韻を踏む事に必然性があり、
ディスコミュニケーションにならないので、
「何上手い事、母音揃えてんねん!」
って、突っ込みたくはならない訳です。

あと他にも、
「なんか駄洒落を言ってください」という状況では、
駄洒落を言う事に必然性がある訳ですから、
「あー、上手。」
とは思っても、
笑いにはなり難いでしょう。

「ボキャブラ天国」当時の若手芸人さん達も、
「駄洒落を言う必然性がある」という条件下でどう笑いにするか試行錯誤していた訳です。

苦労が偲ばれますね。

□□□□□□落差拡大□□□□□□

この「必然性が無い」というディスコミュニケーションの笑いがもっと面白くなるのが、
その「駄洒落を言わない期待」がより強固な場合。

例えば、
駄洒落等言いそうもない生真面目な印象の人だったら、
「駄洒落を言わない期待」がより強固なので、
そんな人が突然駄洒落を言ったら、
「思い込みの間違い」や「緊張と緩和」の効果でギャップも大きいでしょう。

< 基準 >:駄洒落を言わないと思ったら(思い込み)
< ズレ >:駄洒落を言う(間違い)
<ツッコミ>:「そんなん言うんかい!」「駄洒落とか言う思わんかったわ!」

< 基準 >:駄洒落を言わなそうな堅い雰囲気にも拘わらず(緊張)
< ズレ >:駄洒落を言う(緩和)
<ツッコミ>:「そんな空気違ったやろ!」「力、抜けるわ!」

上記パンナコッタの事例では、

ダイエット中である事を知っててAが邪魔しようとしてるとか、
甘いのを絶っていてイライラしてるとか、
Bがより「不機嫌」になるような状況であれば、
駄洒落言う事とは相反するので、
落差は大きくなるでしょう。

A:「そこのファミレスに懐かしいアレあったわ、、、パンナコッタ。久し振りに食べよーや。」
B:「何やねん!私、ダイエット中って知ってるやろ!甘いのNGで今イライラしてんねん!…パンナコッタ?やーなこった!」
A:「冗談言う余裕あるやん!」

< 基準 >:(ダイエット中で機嫌が悪く、)駄洒落を言う雰囲気ではないにも拘わらず
< ズレ >:駄洒落を言う
<ツッコミ>:「余裕あるやん!」「怒ってるんちゃうんか!」

□□□□□□下方評価□□□□□□

後は、
堀義貴さん含め、多くの人が「レベルの低いもの」と思っているであろうからこそ成り立つ「下方評価」。

< 基準 >:レベルの低い駄洒落を言わないと判断する普通の価値観と比較して
< ズレ >:レベルの低い駄洒落を言うと判断する劣った価値観
<ツッコミ>:「しょーもな!」「下らないわ!」

そんな面白くない駄洒落を、
如何にも面白そうに、
如何にも上手いこと言った様に言えば、
逆説的な「ディスコミュニケーション」も加わり落差拡大の効果もあります。

A:「そこのファミレスに懐かしいアレあったわ、、、パンナコッタ。久し振りに食べよーや。」
B:「私、ダイエット中で甘いのNGやねん。あっ、パンナコッタ?やーなこった!ハハハ、おもろいやん。」
A:「イヤイヤ、おもんないわ!」

< 基準 >:駄洒落は面白くないにも拘わらず
< ズレ >:面白いものとして駄洒落を提示する
<ツッコミ>:「笑わそうしてんの?」「何でドヤ顔やねん?」「イヤイヤ、全然おもろないわ!」

同じ駄洒落でも、
「突っ込みたい気持ち」は一様ではない事が分かりますね。

これらはあくまでも、
「駄洒落を言うという事実」が笑いになっています。

つまり、駄洒落である事が伝わり、
「必然性が無いにも拘わらず」というディスコミュニケーションのフォーマットが成立するのが前提。

□□□□□□別の振り□□□□□□

「駄洒落を言うという事実」が笑いになっていのるなら、
「駄洒落を言うという事実」をディスコミュニケーションにするためには、
「駄洒落を言わない事」を「前振り」で「基準」として明示する方が確実です。

A:「……その横のテーブルのイケメンが、若いねんけど、ずーっと駄洒落言ってんねん。」
B:「マジ?駄洒落とかオッサンやん!」
A:「あ、関係無いけどそういえば、そのファミレスに懐かしいアレあったわ、、、パンナコッタ。久し振りに食べよーや。」
B:「私、ダイエット中で甘いのNGやねん。パンナコッタ?やーなこった!」
A:「イヤイヤ、駄洒落言うてるやん!」

無理な話題転換ですが、
事前にこんな前振りがあれば、
笑いのフォーマットを明確に出来ますよね。

ボケの駄洒落の発言は全く同じです。

でも、
この前振りがあると、
駄洒落は全く同じでも、
「基準」として、
「必然性がない」とか「雰囲気ではない」などというような抽象的なものではなく、
「駄洒落を否定する」という具体的なものが設定されるので、
逸脱が明確になり、
突っ込みたい気持ちも、
もっと具体的ではっきりするでしょう。

< 基準 >:駄洒落を否定していたにも拘わらず
< ズレ >:駄洒落を言う
<ツッコミ>:「自分で言うてるやん!」「駄洒落やん!」「駄洒落、否定しとったやん!」

「思い込みの間違い」なども成立しますが、
突っ込みたいのはこのディスコミュニケーションですよね。

漫才などネタの中でただの駄洒落を言ってもつまらないと思うので、
何かこういう別の笑いのフォーマットの前振り必要でしょうね。


…とここまでは、
「駄洒落を言うという事実」で笑いを獲る場合の話。

では、
「駄洒落の言葉」で笑いを獲る場合はどうかと言うと、、、

以下次号。。。

m(__)m


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