前号続きです。
□□□□□□はじめに□□□□□□
形態で分類される事の多いツッコミを、
その効果の面からを4つに分類。
(A)笑いのフォーマットの再提示
(B)笑いのフォーマットの落差拡大
(C)笑いのフォーマットの顕在化
(D)笑いのフォーマットの創造
前号では、そのうち、
(B)笑いのフォーマットの落差拡大
…の効果を持つツッコミを、
さらに2類型に細分化しました。
(b)質的落差拡大
(b')量的落差拡大
今回は、
(C)笑いのフォーマットの顕在化
を考えます。
□□□□□□(C)顕在化□□□□□□
(C)笑いのフォーマットの顕在化
ボケの内容が明確で、
観客が笑いのフォーマットを感受出来る場合は、
補足的な(A)のみ或いはそれに(B)を付加する事でこと足ります。
しかしボケが存在する事が全て、
即、笑いに結び付くという訳ではありません。
ボケが存在しても、
観客が具体的な笑いのフォーマットを感受出来ない場合は、
ツッコミで笑いのフォーマットを顕在化させる必要があります。
それが(C)笑いのフォーマットの顕在化。
それをさらに、ボケる意図の有無で分けます。
(c)笑いのフォーマットの具象化
(c')笑いのフォーマットの掘り起こし
□□□□□□具象化□□□□□□
(c)笑いのフォーマットの具象化
漫才やコントなどネタの中でのボケは、
もちろん笑いを獲る意図があります。
しかし笑いを獲る意図のあるボケの言動を見た観客が、
具体的な笑いのフォーマットを感受するとは限りません。
それを具体的に提示するのが、
笑いのフォーマットの具象化のツッコミです。
分かりやすい例が、霜降り明星。
過去記事で検証しましたが、
せいやさんのボケは動きだけだったり抽象的で、
「何かがおかしい」のは分かるけど、
「何がおかしいか」がよく分からない事が多い。
粗品さんの独特なツッコミは、
笑いのフォーマットを具象化する事で、
笑いを顕在化していると言えます。
詳しくは過去記事をご覧ください。
ゆにばーすが2017年M-1グランプリで初の決勝進出を果たしトップバッターとして披露した「泊まりの営業」の大オチは見事。
はら:(ホテルの部屋のベランダで街並みを眺め…)
「…うわー。夜景メッチャきれい。私も歳かな。夜景見るだけで涙出るなんて。頑張れーっ!わたしーっ!」
川瀬:「……さっきから、ここ一階やぞ!」
ここが一階の部屋である事は事前に言及されています。
それにも関わらず、
観客はそこに存在するはずの笑いのフォーマットに気付いていません。
川瀬さんのツッコミで、
そこに存在する具体的な笑いのフォーマットに気付かされ、
笑いになります。
何れも、ズレを提示するのはボケの言動ですが、
実際に笑いのフォーマットを感受し笑いが起きるのはツッコミの言動の時点です。
□□□□□□掘り起こし□□□□□□
(c')笑いのフォーマットの掘り起こし
ボケる意図の無い言動に笑いのフォーマットを見出だすのが、
このツッコミ。
漫才やコントなどのネタ中ではなく、
平場のやり取りやエピソードトークでのツッコミです。
トーク番組などでの、
「へぇ~(ちょっと変わってんなぁ、、、)」程度で、
スルーされかねないエピソードに、
冷静に「それ、~やろ!」と的確に突っ込む芸人さんのツッコミなどがこれにあたります。
エピソードの中に笑いのフォーマットを見出だし、
ツッコミで提示する訳です。
平場ではなく本職?でこのツッコミをするのが、
自分の体験エピソードに突っ込む、
千原ジュニアさんの「えぇー!」や木村祐一「考えられへん!」です。
普通は気付かない、気にもしない出来事から、
「笑いのフォーマット」を掘り起こし、
「確かに言われてみれば……」という笑いを作るツッコミ。
正確には覚えてないので地名など違うと思いますが、
千原ジュニアさんのこんな感じのエピソードがありました…
(…しゃべり方など私が適当に作っています)
「この前、後輩何人かとグアム行ったんですよ。
○○ってやつがいるんですけど、、、いや、いいんですよ。別に。
怒るとかそんなんじゃないんですけど、、、ただちょっと気になったのが、、、
そいつが着ていたTシャツが、胸元に大きな文字で『LONDON』って。。。
えぇっー!何で?。何でよりによってそれ選んだん?
グアム行くのに『LONDON 』って!」
『LONDON』と書かれたTシャツを何処で着ようが、
別にいけない事でも間違った事でも何でもないですよね。
普通、気にもとめないでしょう。
でも、そう言われればそう考える事も出来る。
< 基準 >:グアム旅行に相応しい服を着るべきにも拘わらず
< ズレ >:グアム旅行に相応しくない服を着る
<ツッコミ>:「何着てんねん!」
まさに、笑いのフォーマットの掘り起こし。
→(D)も参照。
以下次号。。。
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