1回記事にしたのに、全削除してしまったので再度書き直し…
5月1日に書いた「犬の爪切りの修理」の研修の話しの続きになります。
初日のたった数分から爪切り騒動があり、普通の人なら10代の私みたいなガキがいたら嫌だと思うな~と思いながらも…
当日すぐにシャンプーをやらせてくれる事になりました。
それも異例なんですが、その犬が超大型犬で45㎏と55㎏。
他の人が出来ないので私が正確に計りました。
そのシャンプーで主任トリマーが私の経歴を聞いてきました。
爪切りの仕返しでしょうね。
1年やったくらいの学生。
まあ肩書きはそれしか言う事ないですからね。
そして、聞いてもないのに主任トリマーが自分の肩書きを語ってくる。
まあ私はここの学校のこの先生に教わって、資格もあるからあなたより上ですよ、ってい言う「威嚇」ですね。
そういうの気にしない方だし、この頃の私は本当に肩書きもくそも無い。
私「あ~、うちの講師にその学校出た方いますけど、どれも使えない講師ばかりだったそうで…で、うちで全て学んだそうですが?」
主任トリマー「ここのやり方は~」と言い出したので「結構です」ときっぱり。
私「社長に自分のやり方でやって良いって言われてるんで。何なら確認してきたらどうです?」
数名に監視されながらのシャンプーとなる。
横には中堅男性スタッフが付いているという。
そしてその中堅男性スタッフが「1人じゃ無理だから私が手伝っ…」
私「結構です。1人で十分なので」
やりながら話しをする。
私「ここにいる犬はあんたがやってるの?」
主任トリマー「全部ではないけど、だいたいがそう。」
私「さっきちょっとやってるとこ見てたけどだいぶ慣れてるようだったからね。ずいぶんと皮膚の状態が悪い子が多い気がしますが?俺がやったらだいたい改善すると思いますけどもね…」
主任トリマー「この子たちの状態がわかるの?」
私「これより酷い子を沢山診て来てるからね。まあプロが管理してここまでのはあまり…ねぇ~」
シャンプーもブローもずっと寝ている良い子だったが、ブローの時に批判が相次ぐ…
だいたいのトリマーがこういう風に寝かせてブローやってると文句言う。
なので「ずっと犬を突っ立たせてやるより、寝てた方が犬も楽だろ?ぐっすり寝てるし」
中堅男性スタッフ「確かに、これは楽そうだね。初めて見たから始めは驚いたけど」
主任トリマー以外は皆納得した。
私「さっき言ったけど社長に自分のやり方でやって良いって言われているんで」
主任トリマー「ま、それで出来るなら良いけど、怪我とかしたら責任になりますよ」
私「ぐっすり熟睡してるんだから静かにしてあげてくれ。」というと中堅男性スタッフが気を使ってしまっていたようだが、主任トリマーは黙った…
こんなドラマ・漫画のような態度を取っていたらどうなるか普通の方ならわかりますよね?
周りのスタッフはトリミングが終わるとすぐに無言でゲージに入れて「はぁ~…」と一仕事終わったような態度だった。
私は終わって顔や喉を撫でてあげて「良い子だったね」と声をかけてしばらく出していた。
すると主任トリマーが「早く戻して」とこれは聞き捨てならん。
私「は?何で?」
続けて言う。
「犬は機械や道具じゃないんだ。物扱いしてんなよ、ずっとしかめっ面・無言でやりやがって。お前たち生き物扱ってる感覚じゃないだろ!」
皆うつむいていた…
私「じゃいいよ、向こうの空いてる部屋借りるから」と終盤から遠くで見ていた女社長も付いて来る。
小さな部屋だが犬を放して自由にさせた。
それを女社長も見ていた。
「いつもこうしてるの?」と。
私「そうです。犬をゲージに入れる事自体反対ですが、それは始めに話したとおり変えれないと言われましたね。ずっと狭い所に入っててようやく出れたと思ったらシャンプーで、終わったらまたすぐに狭い所に戻される。だから解放して伸び伸びとさせてやろうと思いましてね…」
女社長「……」
昼頃に仕返しにあの主任トリマーがやってきた。
「さっき洗った犬、2頭一緒に散歩に出して来て。時間は5~10分くら…」
私「5~10分は散歩とは言いません。私のやり方で行ってきます」と。
主任トリマー「首輪とリー…」私「結構です。自分のチョークとリードを持参してますので。何かあったら携帯に連絡下さい」
絶対に何かある。
絶対に何かある。
絶対に仕掛けがある。
45㎏と55㎏で100㎏。
まあその体格は問題では無いんですが、きっと何か問題があって出来ないから私にやらせるのでしょう。
すぐにわかりました。
街中を散歩してましたが猫です、猫。
ただでさえ引っ張るのに、猫を見た時にかなりダッシュして執着がすごい。
なるほど…
店に戻ると主任トリマーが入り口で待ち構えていた…
「どうだった?」と聞かれたので「手の掛からない良い子でした」と機械的に言った。
「あれ!?おかしいな…」と後ろ姿で呟いていた…
なるほど…
そこでいつもやや遠くで見守っている女社長に言われた。
「大丈夫だった?この子たち散歩が大変で…特に猫を見ると…」
なるほど…
初日の初対面ですぐに女社長のハートをがっちり、しっかり掴んだようで、どうやらこっちの味方をしてくれるようだ。
私「すみません。1頭ずつ外に出して訓練して良いですか?5分で終わりますので…」
女社長「時間がかかるから、散歩は2頭ずつにしてるの」
私「そんな事はわかってますよ。なのでその2頭でより良い散歩にする為にですよ」
と許可が出たので夕方に行って訓練をした。
本当に良い子なので5分で終わった。
ろくに散歩に行ってないので変な癖が付いてなくて楽だ。
一般家庭の犬だと飼い主が変な癖を付けているので時間がかかる。
その飼い主自体を直すのもかなり困難である。
犬は皆賢いのですぐに終わる。
それから他の人が散歩に出た所を目撃した。
「あんたじゃ無理だ」と思い店でやる事があるので店にいたが、1分もしないうちに帰ってきた。
主任トリマーが私の良い子というのを鵜呑みにして行ったが、あまりにも引っ張るので危険だから帰ってきたようだ。
犬は賢い。
従いたく無い人には従わない。
「誰でも言う事聞くようにしてよ!」というお客さんがいるがやりません。物じゃないから。
「犬が言う事を聞きたくなるような人になって下さい」と伝えてます。
そして、長くなりましたがここからが本題です。
3本足のシェパード犬。
「あの部屋にいる犬を散歩に連れて行って」と毎度突然何の説明もなく主任トリマーは言ってくる。
その部屋は隅にあって日当たりも悪い。
人の出入りを見た事がまだ無い…
どうせ聞いても犬の情報は教えてはくれまい。
それに自分の目で見た方が確かである。
その部屋にとにかく行きました。
こんな感じの部屋でした。
日中でしたが薄暗い所にある部屋でした。
入ってすぐに目にしたのは机の上に椅子が乗せてあり、端に寄せてありました。
学校の掃除する時のような状態でした。
というかここ、物置みたいじゃなくて物置だろ!
端っこにある椅子と机の固まりの下にそいつはいました。
全神経を私に集中させてうずくまってました…
きっと犬から見たらこんな感じだったのだろうか?
もうおわかりですよね?
そう、この犬は極度の人間不信である。
私は普通に歩いて行き、正対しないでその机に潜り込み、目を合わせないで首を掴んだ。
ここまでが早かった。
が、普通に書いてますがこれがすごく難しい。
何よりこの状態だと攻撃される危険が極めて高いからだ。
じゃあどうすればいいのか?
言うのは簡単。
なるべく音を立てないようにする。
速く動かないようにするが、遅くなり過ぎないようにもする。
心拍数を上げない。
アドレナリンを出さない。臭いで気付かれてしまう。
自分自身が出血してないようにする事。
目を合わせないようにする事。
まだまだありますが、これを考えないですっと出来るように訓練する事がトレーナーの訓練。
これで多くの教え子たちを泣かせました。
だけども犬を訓練する身の人間が、犬より厳しい訓練積んでないと犬が認めませんからね。
そして、首を掴んでからも早かった。
部屋…いや物置の中央まで連れて来て「よしよし」と静かに言った。
と、同時にチョークを付けリードを付けた。
扉の前まで来た。
ここで目を合わせて「外行こっか?」とまだ静かに言った。
物置の中央に出した所で気が付いてやや驚いたが、犬を刺激してはいけないとコンマ数秒で戻した。
そう、前足が1本無いんです。
なるほど…
奴が私に任せてた理由はこれか…
さっと扉を出てなるべく犬に思考する時間を与えずに店を出た。
皆が目撃している中…
こういう時の散歩に付けも待てもくそも無い。
ただ楽しむだけの散歩。
でもさすがにジャーマン・シェパード・ドッグ♂である。
何もしなくてもきっちりと動いてくれる。
前足が無いのでどのくらいの速度が適度なのか?探りながらコミュニケーションを取ったり、スキンシップを取る。
「こっちの方行こうぜ!」とテンションを上げて誘う。
体を触っても大丈夫なようだ。
楽しい散歩ほど時間がすぐに過ぎる。
店に戻ると入り口付近に女社長がいたが声をかけてこなかった。
皆が見ていたが、事前に言われていたとおりすぐに元の部屋に戻して声をかけ、リードを外して私はすぐに部屋を出た。
「どうでしたぁ~?」と常套句のように主任トリマーが言ってきたので「問題の無い、とても良い子でしたよ。」
主任トリマー「よぉ~しっ、じゃあおやつあげに行って来よ~っと!」と犬の部屋向かって行った所で、私はすぐに他の犬の部屋に向かいました。
女社長も私に付いて来ました。
が、
「ぎゃあああああああああ!!!!」
何が起こったか私はわかるので、そのまま他の犬の部屋に向かいました。
女社長はすぐに主任トリマーの元へ行きました。
しばらくすると女社長が戻って来ました。
女社長「あの子、○○さんに襲い掛かったみたいで…」
私「そうでしょうね~」
女社長「えっ!?何で?」
私「何で?咬まれるような事するからですよ」
女社長「だって、あなたが散歩してたし慣れてたし…」
私「何をしたんですか?過去にあの子に」
女社長「交通事故で足を失って…それから…どうしたらいいんですか?」
私「あの子は人間不信なんです。信頼出来る人間がいないんですよ…物置に1人だけ置かれてる気持ちわかります?」
主任トリマーが傷の手当を受けていたが私は見る事もなく声もかけずに他の場所に行った…
まだまだ続くんですが、長いのでここらへんにしておこうと思います。