チェコの春の味、エルダーフラワーの天ぷら「コスマティツェ(Kosmatice)」


 
春の花、エルダーフラワー(チェコ語:ベズチェルニー/Bez černý)。チェコでは5月から6月にかけて道端や公園で甘い香りを漂わせています。

観賞用として可愛いエルダーフラワーですが、飲食用としても人気です。もっとも定番なのは、シロップにし、水で薄めて飲む方法(エルダーフラワーコーディアル)。市販品もあり、わたしの夏の常備品です。(さらに塩を少し混ぜるとポカリスエットにそっくりになるのです!)

名前は商品によって様々。これは「Bylinný Sirup Bezinký Květ Citron」なので、「ハーブシロップ エルダーフラワー&レモン味」といったところ。
チェコ語でシロップを意味する「シルプ(Sirup)」の文字があるボトルは水で薄めて飲む商品です。普通のジュースと同じように並んでいるので、間違えて買わないよう注意です。

 

エルダーフラワーの意外な使い方

エルダーフラワーは、シロップ以外だとスイーツやレモネードなど、その爽やかな甘さを生かしたレシピが定番です。が、なんとエルダーフラワーを天ぷら(!)にして食べる文化があるのです。

チェコでは「コスマティツェ(Kosmatice)」と呼びます。

昔はよく食べられていた伝統料理ですが、現在は一般的でなく知らない人が多いそう。

他の国でも同じ食べ方をするのだろうか??と調べてみると、英語の「Elderflower fritters」の名前でレシピが見つかるので、チェコだけでなくヨーロッパのいくつかの国に存在するレシピのようです。日常的に食べられているかは不明。

 

「コスマティツェ」の作り方

衣の材料(大きなエルダーフラワーの花 4個分くらい)

  • 牛乳 200ml
  • 卵 2個
  • 塩 少々
  • 薄力粉 120g

衣を浸けたら油を張ったフライパンで揚げるだけ。花が平たいので、深い鍋よりもフライパンの方が調理しやすいです。

衣には、チェコ語で見たレシピを参考に牛乳を使いましたが、日本の天ぷらと同じように水でも構いません。衣の硬さ(水分量)もお好みで。花が脆く崩れやすいので、どっしり重い衣よりも水気多めの軽い衣の方が作りやすかったです。

ワインどころの南モラヴィアでは、牛乳でも水でもなくワインを入れるそうです。揚げてしまえば味に違いはないので雰囲気の問題でしょうかね。わたしも真似て、固さの調節にワインを少し足して気持ちだけ南モラヴィア風にしてみました。
 

花は洗わず調理しますので、農薬や排気ガスがかかっている場所のものは避け、虫が付いていないかもチェック(木によっては裏にビッシリ小さい虫が付いていてヒイッ!となることも)。摘んだあとは、茎を水に浸けておいても傷みが早いので、その日のうちに調理するのが良いです。

 
作り方はまさに天ぷら。エビ天の尻尾を掴んで衣に浸すイメージで、茎を持って花を浸します。

 
油に投入するとジュワッと一瞬で揚がります。気持ちいい瞬間。

 
もっとたくさん衣を付ければパンケーキ状になります。丸い形に揚がった花の茎を切ればまんまパンケーキ。


 

このまま食べてもほんのり花の甘みがありますし、おやつとして食べるなら粉砂糖やシナモンパウダー、お酒のお供にするなら塩胡椒や粉チーズをかけるとよく合います。食感は、ふわっとしていて海苔の天ぷらが一番近いかな。食べたことの無い、味と食感のコンビネーションでした。