FXも株もそうですが、プロトレーダーにとって最も大切なのは、1日の最大損失額を限定し、決して退場を余儀なくされるような「致命傷」を負わないことです。
トレードを仕事として捉えるなら、大負けをする前に、今日の負けを受け入れることで「明日もトレードが出来る状態」を常に整えなければいけません。
1日の最大損失額を決めなかった為に、FXでコツコツ稼いだ収益を、たった1回の大負けで吹き飛ばしていた
僕がまだFXで勝ち始めて間もない頃の話です。
当時、大きく稼ぐことはまだ依然として難しかったものの、日ベースではほぼ負けることがなくなり、毎日少額ながらも着実に利益を積み増すことが出来るようになっていました。
負けるのは1ヶ月のうちせいぜい1日か2日といったところだったので、勝率としては悪くない方だったと思います。
連勝が続いている時などは、「お金を稼ぐことって意外と簡単なんだ」とさえ思えることもありました。
このままの調子でいけば、「自分の人生は安泰だ」そんな気分にもなりかけていました。
実際、FXや株の世界では、「勝ち方のコツ」を掴んだトレーダーの懐には、サラリーマンの頃には想像もしなかった金額が流れ込んで来ます。
ところが、その月に1回か2回しかない負けの日に、それ以外の日に稼いだ利益のほとんどを吹き飛ばしてしまう「大負け」をやらかしてしまうのが、僕のパターンだったんです。
いわゆる「コツコツドカン」というやつです。
毎日コツコツと利益を積み重ねては、たまの負けですべてを吹き飛ばす…。
結局、1ヶ月とか数か月といった長期間の利益を見ると、思ったほどには稼げていないという時期がしばらく続きました。
このパターンは、多くのトレーダーが必ずといっていいほど通る道だと思います。
まだFXで勝つことが出来ないでいるトレーダーが、損切りすべきポジションを放置した結果、大金を失ったりマーケットから強制退場させられるのは、「人間の本能に従った結果」のある意味必然によるものです。
しかし、当時の僕のようにほぼ毎日勝つことが出来ているにもかかわらず、1日あるいはたった1回のトレードで利益を吹き飛ばしてしまう、その具体的な原因とはいったい何だったのでしょうか?
過去のトレードを振り返り、考え続けた結果、自分なりに納得のいく答えにたどり着きました。
次の2つのことが挙げられると思います。
- 過信
- 怒り
順番に見ていきましょう。
1.「過信」がトレーダーの逃げ足を遅らせる
トレード技術が上達し、勝ちが続くようになるのはもちろん良いことなんですが、連勝に慣れることによる弊害もあります。
それは「過信」あるいは「慢心」です。
勝つことに慣れてくると、自分が取ったポジションに対して、トレーダーはつい「自分は間違ってないはず」という思い込みを持ってしまいがちです。
本来、取ったポジションが上がる確率も下がる確率もフィフティフィフティのはずです。
FXは確率のゲームですから、そう思ってなければいけません。
ところが、この大事な原則を、勝ちが続いたことによる過信によって忘れてしまうのです。
人間の心というのは勝手なもので、放っておくとどんどん自分の都合の良い方へと物事を解釈し始めてしまいます。
その結果、チャートが示した方向転換の兆候を見逃してしまったり、あるいはすでに反対方向にレートが動き出しているにもかかわらず、「また戻ってくる」と根拠のない自信を持ってしまったりします。
また、そういった思考が本来損切りすべきポイントを曖昧にしてしまうことにもつながります。
ロスカットしなければいけない場面でそれを躊躇してしまうようでは、その時点ですでにトレーダーとして失格です。
2.「怒り」にまかせた「連射」あるいは「ポジポジ病」が末路への一歩となり得る
過信と同じか、もしくはそれ以上にトレーダーから資金を奪い去るのが「怒り」です。
これも、もし相場というものが上がるも下がるも確率的には同じで、どちらか一方に動くと決めつけさえしなければ、仮に自分が取ったポジションとは反対方向へ相場が動こうと、心に怒りの感情が芽生えることはないはずです。
しかし、連勝してきたことによるおごりから、「自分は正しい」といった思い込みがが大きくなり、自分の意に反する方向へ動き出したマーケットに対して人は自分勝手にも「怒り」を覚えるんです。
怒りの感情がトレーダーにとって非常に厄介なのは、「損失を取り返してやろう」とか、「マーケットに仕返ししてやろう」といった攻撃的な行動につながってしまうことです。
怒りに駆られたトレーダーは、論理的な手法を無視し、むやみやたらとポジションを取ってマーケットに「反撃」しようとします。
いわゆるポジポジ病と呼ばれる状態です。
根拠をともなわなずにトレードをすることは、ギャンブルしているのとまったく同じです。
それによる結果はあえて説明するまでもないでしょう。
気を付けなければいけないのは、連勝中のトレーダーであっても、「たった1回の負けトレードがすべてを狂わせるキッカケになり得る」ということです。
コツコツドカンを招く原因が、「過信」と「怒り」、だということがお分かりいただけたかと思います。
負けポジション放置のクセ(諦め)はいずれすべてを奪い去る
「過信」と「怒り」の他に、トレーダーの資金を奪う要素として、もうひとつ付け加えておきたいことがあります。
それは「諦め」の感情です。
トレーダーは、「過信」や「怒り」から負けトレードを演じ、含み損がどんどん膨らんでいくと、「心に大きな痛み」を感じます。
その状態が長く続くと、今度はその痛みから解放されるために、人間はどういった行動をとるか?
この場合、正しい行動は「損切り」です。
トレーダー自身も、心の中では損切りすべきだということは理解しているはずです。
でも実際は、多くのトレードは損切りという痛みをともなう決断を避け、「諦めという、なにもしない」ことでポジションを放置してしまいます。
諦めとは、期待することをやめることです。
期待をしなければ、結果がどうなろうと心は何も感じなくなります。
つまり「心の痛み」から、解放されたかのように感じるんです。
含み損が膨らんでいく恐怖や苦痛から逃げる為に、人間は諦めるという手段を本能的に取ってしまうのです。
しかし、基本的にトレードという行為は、人間の本能に逆らわなければ勝てないものです。
人間は本質的に負けを認めたくない生き物ですが、ことトレードに関しては、自ら進んで負けを受け入れなければなりません。
トレーダーが自ら負けを認めなければ、最後はマーケットがトレーダーに退場を宣告することになります。
【鉄の掟】 1日の最大損失額を決めトレード資金を保全する
過信も怒りも100%防ぐことは不可能です。仮にそれらを防げたとしても、マーケットにつきものの予測不可能な突発的な出来事を回避することはできません。
そんな危険に満ちた相場という世界で、トレーダーが資金を守っていく為には、1日の最大損失額を限定する必要があります。
1日の最大損失額を限定していないトレーダーは、意外と多いのではないでしょうか?
勝ち続けていたトレーダーが、一瞬にして利益の大半を吹き飛ばしてしまうのも、ポジポジ病に駆られたトレーダーがとめどもなく損失を積み上げてしまうのも、許容できる最大損失額を決めずにポジションを放置したり、トレードを繰り返しているからです。
逆に言えば、「1日の最大損失額を限定しさえすれば、大負けすることは不可能」なんです。
その日を負けで終えることが、トレーダーにとってどれほど悔しいことか、その気持ちは僕も痛いほど分かります。
でも、トレードに負けはつきものです。
最初は小さかったはずの損失が、雪だるまのように大きくなり、最後はトレーダーを破滅に追いやる力を持っていることを認識しているなら、含み損を抱えたポジションは自分からさっさと切り捨ててしまいましょう。
それが、トレーダーが生き残る唯一の道です。
僕はFXで、自分の過ちから過去に何度も大きな損失を経験してきました。
それでも、一度も退場を経験することなく、なんとか生き残って来れたのは、資金の一定額を失う前にポジションを損切りしてきたからです。
僕は1日に、口座に入っている資金の2%を超える損失が発生した場合は、その時点でトレードを終了することにしています。
仮に、100万円を持っているとしたら、その日のマイナスが2万円になった段階でポジションをすべて決済します。
損失を取り戻そうとはしません。
そもそも負けが続いたから損失を抱えているわけです。そんな「何かがおかしい」状態で、損を取り戻そうとすると、マイナス2万円がマイナス4万円となり、あっという間にマイナス8万円になります。
そんなことが実際に何度もありました。
その日をマイナス2%で終えることは、長期的に見れば悪いことではありません。
2%程度の損失なら明日もまたトレードが続けられます。
トレーダーにとって何よりも大切なことは、資金を守り、生き残ることです。
トレーダーとして成功したいなら、1日の最大損失額を限定し、明日もトレードが続けられるように心掛けましょう!
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