今日観た映画の感想

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前作より断然面白かった「アナと雪の女王 2」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは記録的大ヒットとなった前作「アナと雪の女王」から6年ぶりの続編『アナと雪の女王 2』ですよー!!

今回はAmazonビデオでレンタルして観ました。

みちのたびへーーーーーーーー!!(´∀`)ノ

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

第86回アカデミー賞で歌曲賞、長編アニメ映画賞を受賞した『アナと雪の女王』の続編。姉エルサの氷と雪を操る力の秘密に迫る。前作に引き続き、監督をクリス・バックジェニファー・リー、エルサ役の声優をイディナ・メンゼル、アナ役をクリステン・ベルが務めた。(シネマトゥデイ より引用)

感想

記録的大ヒット作の続編

2013年に公開された前作「アナと雪の女王」は原作となるアンデルセンの「雪の女王」を大きく改変し、ディズニー史上初のダブルヒロインで女性やマイノリティーの解放を描き、主題歌「レット・イット・ゴー」を始めとしたロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻が手掛けたキャッチ―で印象に残る楽曲も相まって、日本だけでなく世界中で記録的大ヒットとなったことはご存じの通り。

で、昨年待望の続編として公開された本作は、前作に引き続きロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン=ロペス夫妻がメインテーマを、音楽をクリストフ・ベックがそれぞれ担当し、監督をクリス・バックジェニファー・リーエルサ役のイディナ・メンゼル(日本吹き替えは松たか子)、アナ役にクリステン・ベル(日本吹替は神田沙也加)と、キャスト&スタッフは前作から引き続き続投しています。

ところが、主題歌に前作ほどキャッチ―さが無かった事や、公開時に評価が二分していた事もあって、正直あまり期待せずに観たわけですが……、僕は前作より断然本作の方が好きでしたねー!!

もちろん前作でのエルサ=マイノリティーの解放という前提を踏まえての本作ですが、前作がエルサ視点での「個の開放」をメインに語られていたのに対し、本作は物語の比重をアナ=マジョリティー側に移し、彼女の成長を通してマイノリティーとマジョリティー双方が手を取り合うという、前作のテーマをさらに推し進めた内容になってるんですよね。

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その分、物語に入る要素が増えて若干の消化不良を起こしている部分もあるし、あのラストに納得のいかない人や、前作が好きだからこそ本作に不満が残る人もいるでしょうが、個人的には「アナ雪」の続編として、それぞれのキャラの落としどころはアレしかないのではないかと思いました。

ノーサルドラとサーミ人

本作で登場する森の民「ノーサルドラ」の人々。

そのモデルとなっているのはノルウェー先住民族で、長くトナカイの遊牧や狩猟を行ってきたサーミ人です。

サーミ人は、スカンジナビア半島北部ラップランド及びロシア北部コラ半島に暮らす人々なんですが、過去に差別的な扱いを受けてきた歴史があるそうなんですね。

で、前作ではクリストフや冒頭で氷を切り出している男たちがサーミ人という設定なんですが、前作の中でサーミ人の描写って冒頭の歌(ヴェリィ)以外ほぼありませんよね。

さらに、元々サーミ人の多くはモンゴロイド系の遺伝子が入っているんですが、クリストフはほぼ白人。(サーミ人の中には金髪碧眼の人もいるらしいですけども)

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これに、SNS上では文化盗用・ホワイトウォッシュではないかという批判が上がったという経緯があるそうです。

そこで、続編となる本作ではサーミ人をモデルとした「ノーサルドラ」の人々が登場し、劇中でサーミ人の文化や歴史に敬意を払い、しっかり取材したうえで本作の物語が描かれたわけです。

また本作の主題歌である「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」などの曲には、サーミ人の伝統音楽「ヨイク」のメロディーが用いられているのだとか。

本作で描かれるノーサルドラの人々とアレンデール王国の関係にはそういったデンマークサーミ人の歴史的背景をもとにしているんですね。

そして、それは同時にディズニーが過去作品の中で描いてきた、「差別」や「文化盗用」への反省と、今後の作品作りへの姿勢を明確に打ち出しているとも言えるのではないかと思います。

というわけで、ここからネタバレするので、これから本作を観る予定の人やネタバレは絶対に嫌!という人は、映画を観た後にこの後の文章を読んでくださいね。

 

 

ダム

そんな本作では、エルサとアナの祖父に当たるルナード国王時代に作られたダムが劇中で象徴的な役割りを果たしています。

本作を観た人には言うまでもない事ですが、本作においてのダムは「偏見」「差別」「分断」「搾取」などのメタファーです。

ルナード国王はノーサルドラの人々が魔法を使うと思い込み警戒していて、ダムを餌に彼らを懐柔し支配しようとしていました。

しかし、ノーサルドラの人々は別に魔法が使えるわけではなく、森の精霊と心を交わし守られているわけです。

ところが疑心に囚われたルナード国王はノーサルドラの長を殺害。
ノーサルドラとアレンデール王国は戦争状態になり、争いの中でルナード国王は死亡、当時王子だったエルサとアナの父親は戦闘に巻き込まれ気を失ってしまう。
そんな彼を助けたのが、ノーサルドラの長の娘?(巫女?)だった後の女王(エルサとアナの母親)というわけです。

そしてダムによって傷ついた森を、精霊は森を魔法の霧によって長きに渡って閉じてしまうのです。

これはキリスト教化によって失われた土着信仰や文化、大航海時代の欧米諸国による支配や搾取、マジョリティーのマイノリティーに対する偏見や差別(あと自然破壊)への批判であり。

だからこそダムを破壊するのはマイノリティー側のエルサではなく、マジョリティー側のアナでなくてはいけなかったんですね。
その結果としてアレンデール王国の未来は救われることになる。

差別を”する側“が過去を知り意識を変えなければ未来はせき止められたままだったし、その結果として王国の未来もなくなってしまっていたわけです。

そこにアナ(とエルサ)の精神的な成長も描き、さらにクリストフの恋模様やオラフのエピソードも――と、一つの作品にこれだけ詰め込めば、そりゃぁ多少は消化不良な部分も出てくると思うし、個の物語ゆえにシンプルだった前作のストーリーと比べて、ゴチャゴチャした感じがしてしまうのも致し方ないのかなと。

ただ、個人的にはあれだけの大ヒット作の続編で、ここまで攻めた内容を誠実に描いたスタッフとGOサインを出したディズニーの姿勢には素直に拍手を送りたいです。

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まぁ、それでもあえて言うなら、橋から落ちそうになったアナの手を最初に掴むのは、さすがにクリストフで良くね?とは思いましたかねー。

まぁ、こんなややこしいことばかり書くと「え、そんなに重い話なの?」と警戒されてしまうかもですが、そこはディズニークオリティー

ちゃんとエンターテイメントとして、大人から子供まで楽しめるように作られているので安心してください。

興味のある方は是非!!!

 

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