ぷらすです。
今回ご紹介するのは、巨匠ジョン・カーペンターと「エイリアン」の脚本などで知られるダン・オバノンの長編デビュー作『ダーク・スター』ですよー!
アマプラでたまたま見つけて見たんですが、タイトルからシリアスな作品かと思ったら、ポンコツ船員たちが宇宙で繰り広げる、ゆるふわ日常系SFでしたよw
画像出展元URL:https://www.amazon.co.jp/
概要
銀河開拓の旗艦ダーク・スターの航海を描いた、J・カーペンターとD・オバノンの学生時代の作品をリメイクしたSF。脳だけ生きていて冷凍室から指揮する船長、ビーチ・ボール状エイリアン、思考する爆弾等の魅力ある小道具と忘れ得ぬラスト・シーンがこの作品をカルト・ムービーにさせた。乗員の生活風景や船内の描写は後のオバノン脚本作品「エイリアン」に受け継がれる。(allcinema ONLINEより引用)
感想
自主製作映画を商業映画にリブート
南カリフォルニア大学(USC)映画学科で映画を学んだジョー・カーペンターは、大学時代に出会ったダン・オバノンと意気投合し、USCの仲間も集めて本作の原型となる同名の自主製作映画を製作。
この作品がジャック・H・ハリスというプロデューサーの目にとまり、「シーンを撮り足し長編映画にすれば、この映画を配給し劇場公開する」と持ちかけられたそうなんですね。
ちなみにこのジャック・H・ハリスという人は、「マックイーンの絶対の危機(SF人喰いアメーバの恐怖)」(1965年)という低予算SF映画を大ヒットさせた映画プロデューサーですが、金は出さないが口は出すタイプの困った人物だったらしく、カーペンターもオバノンもかなり苦労したようですね。
で、結局苦労の末1974年に完成し、翌年何とか公開にこぎつけた本作でしたが、早々に打ち切られ評価も散々だったらしいです。
しかし、作品の持つユーモアを理解した若い観客を中心にカルト的な支持を得た本作をきっかけに、カーペンター、オバノンの二人は後のキャリアを築いていったのだそうです。
ゆるふわ日常系SFながら……
そんな本作の設定をざっくり説明するとこんな感じ。
人類が宇宙に進出した未来、4人の船員を乗せた宇宙船ダーク・スター号は人類の植民の邪魔になる不安定惑星(人類が住む惑星に何らかの危害を加えそうな、挙動の安定しない惑星?)を核爆弾?で爆破して回る任務のため宇宙の彼方で孤独な航海をしているわけです。
冒頭の地球?からの通信では、互いの通信を受信するまで10年かかると話してるので、地球からは相当遠い事が分かります。
また、ダーク・スター号は長年の航海ですっかりオンボロに、あちこち故障だらけで、放射能の事故によって船長は死んでしまったらしい。
そんな船の乗組員は、死んだ船長に変わりダーク・スター号を取り仕切るドゥーリトル(ブライアン・ナレル)、船の屋根部分に取り付けられたドームに閉じこもり、一人宇宙を見ているタルビイ(ドレ・パヒッチ)、ヤバい威力の光線銃を撃ってストレス発散するボイラー(カル・ニホルム)、本当は船員でもピンバックでもなかったけど、間違いで乗船してしまったピンバック(ダン・オバノン)。
本作の8割はそんなポンコツ船員である彼らのゆる~~い日常と、ドタバタや失敗を描く「ゆるふわ日常系SF」なんですねー。
しかし、彼らは30年以上前に地球を出発したものの、光速で宇宙を進んでいるため3歳しか歳を取っていないとか、前述したように距離が離れれば通信に(年単位)で時間がかかるとか何気にSFの化学考証はしっかりしてるし、物語もフリとオチが意外としっかりしてたり、ピンバックが船内で飼っているビーチボールに足の生えたエイリアンとの追いかけっこは、基本はドタバタコメディーなんだけど観ていて結構ドキドキハラハラしたり。
低予算のB級SF映画で映像もチープ。
「2001年宇宙の旅」や「博士の異常な愛情」、「宇宙大戦争」など名作SF映画のパロディーがふんだんに盛り込まれたコメディーでもあるのでナメてしまいがちですが、随所にSF知識をベースにした発想や映像センスが光る作品でもあるんですよね。
また、後のカーペンター、オバノンが手掛ける事になる「エイリアン」や「SW」「ハロウィン」「遊星からの物体X」などなど、名作の「芽」のようなものが、確かに本作に見て取れるという意味で、歴史的、資料的な価値のある作品だと思いましたねー。
いや、だからってあまりハードルを上げて観ちゃうと肩透かしを食らうのは確実だし、ぶっちゃけて言えば、別に面白くはないんですよ?
ただ、何て言うかこう、ショボい映像の中に後のジョン・カーペンターとダン・オバノンの源流を探す宝探し的な楽しさのある映画なのかなって思いましたねー。
興味のある方は是非!!
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