「007/ゴールデンアイ」(1995年)は5代目007=ピアース・ブロスナンが登場した作品です。21世紀版007を作るべくスタッフ・キャストが今作から一新され、007シリーズに新たな流れを生んだ高評価作です。
"CD-09-F001" Photo by Johan Oomen
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冒頭、ダムからバンジー・ジャンプするジェームス・ボンド。新しい007時代の始まりにワクワクしたものです。ピアース・ブロスナンがハンサムすぎてカッコいいのですよ。
ピアース・ブロスナンはどこか憂いのある雰囲気ですが、ご本人によると「アイルランド人気質」とのこと。
今作からボンドの上司・Mは女性(ジュディ・デンチ)。初対面場面からMとボンドは合わないという感じ。
その後酒を飲む場面でMは酒の好みも自分の主張をはっきり伝え、ボンドを「女性蔑視の古代生物」と評し、「あなたの男性的魅力も私には通用しない」とビシッと言う。
でもボンドに厳しいことを言った後、ミッションに向かうボンドに「生きて帰って来て」と伝えるのです。
Mは母親的な厳しさだけでなく、情をちらっと見せるのですね。このMの『母親』っぷりとボンドの『反抗期の男子』っぷりはダニエル・クレイグ版ボンドでさらに強調されます。
そして二人の疑似的な母子関係の真骨頂は「スカイフォール」で巧みに描かれています。
「スカーフォール」(2012年)
"Best HD 2012 Bond movie facebook cover" Photo by Tatiana T
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ボンドガールのナターリア(イザベラ・スコルプコ)は芯の強い女性。ボンドとミッション上もロマンス的にも対等なのです。
一級分析官のボリス(アラン・カミング)は二級分析官で女性であるナターリアを馬鹿にしていますが、有能な彼女はまんまとボリスの裏をかいてみせます。
もう一人の悪役ボンドガールのゼニア(ファムケ・ヤンセン)は自分が男を支配していないと気が済まない女性。
秘書のミス・マネーペニーは今までの「待つ女」ではありません。
今作のボンドは女性陣から甘い言葉だけでなくかなり手厳しく言われたり、やり込められています。「甘い言葉は忘れて」ということかな。
"BOND in MOTION: 50 Vehicles. 50 Years" Photo by Karen Roe
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男性優位の世界観だったこれまでの007シリーズから女性の立ち位置が大きく変わったのは本作からと言ってよいでしょう。
過去の遺物を相手に闘うボンド(Mに言わせるとボンドも「冷戦構造の遺物」)を含め、時代性が重視されるシリーズなのです。
主題歌「ゴールデアイ」を歌うはティナ・ターナー。作詞作曲はU2のボノ&ジ・エッジなんですよ。ソウルフルなナンバー、ちょっと意外でした。
「歌詞で歌われているのは、ミス・マネーペニーの気持ちかな?」と思ってみたり・・・。
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