今回は「ブレードランナー2049」(2017年)です。絶大な人気を誇る「ブレードランナー」(1982年)の30年後を描いた続編ですね。
"Бегущий по лезвию 2049 / Blade Runner 2049" Photo by deepskyobject
source: https://flic.kr/p/Z85Yxo
先日久々に観直しましたらヤッパリ良かったですね。哀しいけどもジンワリきます。
今回はネタバレです。その点ご了承ください。ネタバレしていないレヴューは過去記事をリブログしました。
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ブレードランナーのK(ライアン・ゴズリング)はどこでも孤独です。新型レプリカント(人造人間)のKは署では通りすがりに「人もどき!」と言われ、上司からは「あなたは魂が無くてもやっていける」と言われる。傷つくのです。
ウォレス社製ホログラムのジョイ(アナ・デ・アルマス)がKにとって恋人です。
Kを慰めるジョイがKの計らいでエマネーターに接続されることで自由を得る。
"Blade Runner 2049 Teaser!" Photo by AntMan3001
source: https://flic.kr/p/Qc7btK
初めて屋外に出て雨粒を身体で感じたジョイ。彼女は幸せをかみしめる。
ウォレス社の殺し屋ラヴから逃亡するためにジョイは「私をエマネーターに入れて一緒に連れて行って欲しい」、そして追跡をされないようコンソールからデータを削除するようKに頼む。
「何かあったら君は消滅してしまう」と渋るKにジョイは「ええ、本物の女のように」。ああ、切ない。
"Film Fallout Podcast #82 - The Blade Runner Project" Photo by BagoGames
source: https://flic.kr/p/Zi98x7
ジョイをラヴに破壊されたKがデッカード(ハリソン・フォード)を助けに行く途中、LAの街でウォレス社のCMが流れる。CMのジョイが言う。
「大変な1日だった?」「寂しそうね」「癒してあげる」「あなた、いい人ね」。
ジョイの語らいは既製品の単なるプログラムだったのか。うなだれるK。Kは絶望的な孤独を感じたに違いありません。
でも破壊される間際に瀕死のKに駆け寄って「愛している」と言ったジョイに自我が無かったとは思えないですね。
"In flight movie, Iberia Airlines: Blade Runner 2049" Photo by Mike Steele
source: https://flic.kr/p/287bjVa
デッカードを見送ったKは激痛をこらえながら雪の上に横になる。雪が彼の身体にしんしんと舞って落ちる。
Kは「人らしい生き方が最期に出来た」という満足感とジョイが喜びを雨粒と共に感じたあの夜を思い出していた気がします。Kも雨の代わりに雪を感じながら。
きっとKは「ジョイの愛はプログラムじゃなくて本物だった」と思えたのでは、と想像しますね。
そして雪が肌に落ちて消えるように、いつかはすべてが消えてゆく。絶望的な孤独さえも。
"Deckard visiting his immunologically compromised child" Photo by Mike Steele
source: https://flic.kr/p/287bjrp
デッカードが「なぜここまでしてくれたのか?」と疑問に思うほどデッカードのために命をかけたK。
ウォレス社の秘密を探る捜査はK自身の出自を探る旅となるのですが、その失意に満ちた心の旅がKを変えたのでしょう。
「ブレードランナー2049」は、レプリカントのアイデンティティーをめぐる旅を通じて「人は孤独だけども人らしく生きることが出来る」と教えてくれる秀作なのです。
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