「裏切りのサーカス」(2011年)はスパイ映画の傑作です。原作は「寒い国から帰ったスパイ」「ナイロビの蜂」等の重鎮ジョン・ル・カレ。ゲイリー・オールドマン、コリン・ファースら演技派オールスターキャストの競演も魅させます。
"poster_01 - tinker tailor soldier spy" Photo by interior_animus
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時は冷戦下の1980年代。イギリス諜報部(通称サーカス)のトップ・コントロール(ジョン・ハート)は、サーカスの幹部に二重スパイ・もぐらが存在していることを疑う。
コントロールはもぐらの存在を知るハンガリーの将軍と接触するためジョン・プリドー(マーク・ストロング)を送り込むが情報漏洩のために作戦は失敗、責任を取らされて腹心のスマイリー(ゲイリー・オールドマン)と共にサーカスを追われる。
同じころイスタンブールに派遣されていたリッキー・ター(トム・ハーディ)はもぐらを知るイリーナと接触する。
ターからの連絡を受けたレイコン外務次官は、引退を余儀なくされたスマイリーにもぐらが誰なのか探すよう依頼する。スマイリーはギリアム(ベネディクト・カンバーバッチ)と共に秘密裏に行動を開始する。・・・
"Tinker Tailor Soldier Spy (2011)" Photo by Susanlenox
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あまりにも食えない癖の強すぎる面々による腹の探り合い。サーカスの幹部全員が怪しいのです。
登場人物は皆孤独です。寡黙にひっそりと生きている。
この映画のロンドンの曇り空のようにどんよりとしたメランコリックな心情なんですね。
彼らも愛を求めているのですが、愛というものが自分が生き延びるためだったり、作戦を成功させるための道具として利用されるのです。
そして愛のために規則を違反して危機に陥る者、愛を裏切られたと知ってこれ以上ない悲しみと憎しみを抱く者。・・・
コントロールがジョン・プリドーに作戦を指示した際「Trust no one(誰も信じるな)」とくぎを刺しますが、このセリフ通りの世界なんですね。
コントロールの死後、もぐら探しの命を受けたスマイリーがコントロールの自宅を捜索。
そこでもぐらと疑わしき面々の顔写真が1つ1つ貼ってあるチェス駒を手にするスマイリー。
さいごの1つを手にすると、それには自分の写真が・・・。コントロールは腹心のスマイリーさえ疑っていたのです。
"815. tinker tailor_1_1" Photo by petcor80
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不信感と愛の影の顔は同義。逆に信頼と愛の光の顔は同じ意味ですね。
登場人物が多く、時系列が前後する作りなので、1回観てもわからないところがあり、観直しました。
結末が分かっていてもその重厚な作りでもって観させる作品です。極上のサスペンスとしてだけでなく、愛の二つの顔のうち影の部分を描いた物語として観ても良いように思います。
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