今回はアル・パチーノ&ロバート・デ・ニーロ主演+マイケル・マン監督脚本で贈る「ヒート」(1995年)です。
"Heat" Photo by Benedikte Vanderweeën
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犯罪のプロ、ニール・マッコーリー(ロバート・デ・ニーロ)は仲間と共に無記名証券を奪う。
この事件の捜査担当となったのはヴィンセント・ハナ警部補(アル・パチーノ)。
敏腕ヴィンセントは犯人逮捕まで家に帰らない、いわば猟犬のような男。
だから二度結婚生活を失敗し、現在の妻ジャスティンともうまくいっていない。
家族はいるけど孤独な男です。
"All I know is there's no point in me going anywhere anymore if it's going to be alone, without you." Photo by Elena Regina
source: https://flic.kr/p/24Ss1DR
ニールはいざとなったら30分以内に高跳びできるよう、物にも人にも執着しない孤独なライフスタイルを続けています。
ところが書店員のイルディと出逢って本気で彼女を好きになってしまう。
ニールは銀行襲撃を最後の仕事にして足を洗いイーディと高跳びすることを決意するんですね。
ニールの誤算はイルディと出逢ったこと。人生、計算通りにはいきません。
今まで完璧なプランだったニールの生き方が皮肉にもイルディとの出会いをきっかけに崩れてゆく。
別の生き方をするチャンスと今までの生き方との間で葛藤するニール。
ニールと対照的なのが仲間のクリス(ヴァル・キルマー)。
愛想つかされた妻シャーリーンとやり直したいクリスは、シャーリーンが警察と取引したとは知らずに妻に会いに行く。
でもシャーリーンは「来てはいけない」と警察にバレないようサインを出すんです。
クリスは妻に救われるんですね。
マイケル・マンは、男女関係を通じてキャラクターの生き様を巧みに描きます。
"30 Seconds Flat" Photo by + +
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手口を見てヴィンセントはニールに興味を持つんですね。できる奴だ、と。
ニールも手強いヴィンセントを警戒する。
似た者同士なんですよ。実際、会って少し話すと2人は気づく。「似た者同士だ」と。
そのうえでヴィンセントは「次のヤマは踏むな」と忠告し、ニールは「俺は他の生き方を知らない」。
で、二人は別れ、白昼のダウンタウンでの名場面になるんですね。
その後、ニールとヴィンセントは1対1で対決する展開に。
マイケル・マン劇場としては最後は1対1の闘いにならねばなりません。
本作は、そこまでもってく過程は強引だったり、惜しい気持ちになるのですが、でもタイマン勝負じゃなかったらマイケル・マンじゃないしね。
私はそんなマイケル・マンの作風が好きなんです。
"Heat" Photo by Pearl Washington
source: https://flic.kr/p/2hPkqw6
マイケル・マンと言えば私の中では「特捜刑事マイアミ・バイス」。
「マイアミ・バイス」もそうでしたけど、マイケル・マンの作風は孤独な男と似たもの同士の男の友情、男と男の闘いです。
この人、そういうの好きなんでしょうね。
マイケル・マンが好きな人(=ほぼほぼ男衆でしょう)は、こういう少年マンガ的な、あるいは任侠ものに通じる世界が大好きだと思います。
本作でLAの夜景がすごく印象的なんですけども、マイケル・マンは都会の街を美しく、儚く魅せるのも巧い監督です。
人が多く集う都会の夜を効果的に見せることで、余計に主人公たちの孤独が引き立つんですよね。
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