孤独は人間の本質ですが、同時に何よりも苦痛なものかもしれませんね。今回は「パッセンジャー」(2016年)。
宇宙船アヴァロン号は、5000人の乗客を乗せて宇宙コロニーに向かって120年の旅をしていた。しかし、船を襲ったアクシデントによってジム(クリス・プラット)はたった独りだけ予定より90年も早く人工冬眠から目覚めてしまう。・・・
"UHQ poster for Latinamerica 4088*6038" Photo by Jennifer Lawrence Films
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目覚めたジムは船で寿命を独り終えることを知るのです。愕然とするジム。
アヴァロン号は超豪華客船ですから飲食には困りません。独りで遊ぶゲームも豊富。でもすぐに虚しくなる。
サイボーグのバーテン・アーサー(マイケル・シーン)相手に話しても、やはり生身の人間が恋しいのです。
"PASSENGERS Still" Photo by Jennifer Lawrence Films
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やがて身なりに構わなくなり、髪と髭は伸び放題、ほとんど裸で船内をうろつくように。
1年が過ぎ、いよいよ孤独に追い詰められたジムは、冬眠ポッドのオーロラ(ジェニファー・ローレンス)を観て運命を感じてしまう。
もちろん勝手にオーロラを起こすことはタブーです。ジムは葛藤し、迷うのです。
しかしジムはついにオーロラを人工冬眠から目覚めさせしまいます。本人には内緒で。・・・
"PASSENGERS" Photo by Jennifer Lawrence Films
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目覚めたオーロラは「人生が終わった」と絶望するのですが、やがてジムと恋仲になります。デートを重ね愛し合う二人。
ジムもどこかでオーロラを騙していることを心苦しく思いながらも孤独から解放され、幸せを感じるのです。
しかしある時、「ジムと出逢って終わった人生が再び始まった」と感じていたオーロラは、彼が自分を予定よりも早く目覚めさせたことを知るんですね。
真実を知ったオーロラの怒りは当然すさまじい。それに彼女はジムに恋していたのですからなおのことです。
愛が強ければ強い程裏切られていたことを知った際の怒りもまた強いもの。
"PASSENGERS" Photo by Jennifer Lawrence Films
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本作を観ていて「ロビンソン・クルーソー」と「眠れる森の美女」を連想しました。
本作と前者との違いは、ジムの独りぼっちは寿命が尽きるまでと早々に分かってしまうこと。
後者との違いはオーロラは早すぎる目覚めを希望していなかった、ということですね。
詳しく説明されていませんが、ジムは元々悪い奴ではないのですが、究極の孤独が彼を追いつめて、許されざることをしてしまったのでしょう。
普通の人を追い込み、一線を越えさせてしまう孤独というものの恐ろしさなんですね。
"Passengers" Photo by Jennifer Lawrence Films
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色々なレビューを読むと賛否両論のようですね。でも意見が盛り上がっている感じです。
「自分だったら・・・」と彼らのシチュエーションに自らを置き換えて観るわけですね。
確かにジムのしたことは許されざることですが「もし自分がこの先何十年もたった独りきりだとしたらどうしただろう?」とか。
物語の設定が独創的なので「人間の、男女の本質をどうシビアに描くのかな?」と思いながら観ていたのですが、段々尻下がりになった感があったように思いました。
この辺は好みですけども、個人的には少し惜しい感じだったかな。
"PASSENGERS" Photo by Jennifer Lawrence Films
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本作のジェニファー・ローレンスは魅力的でしたね。オーロラがなぜジムに選ばれてしまったのか、説得力があるくらいに。
そしてアーサーを演じたマイケル・シーンも良かった。「アンダーワールド」で演じたウルフマンのボスと全く違う、どこか憎めない役柄を好演していました。
映像がとても美しいですね。美しい宇宙に引き込まれてオーロラのように確かにロマンティックな気分になるやもしれません。
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