「ガンヒルの決斗」~両立しないから人生の選択は悩ましい。 | ネコ人間のつぶやき

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 今回は「ガンヒルの決斗」(1959年)です。オクラホマ州ポーニー。2人の男が馬車を襲い、乱暴された女性は命を落とす。その女性は保安官マット・モーガン(カーク・ダグラス)の妻だった。現場にいた息子は男の馬に乗ってマットの元へ逃げ帰る。馬の鞍からマットは持ち主がかつての親友クレイグ(アンソニー・クイン)であることに気づいたマットは、クレイグに会うためガンヒル行きの列車に乗る。・・・

 

"El último tren de Gun Hill" Photo by Ethan Edwards

source: https://flic.kr/p/fWGuZd

 

 クレイグは昔マットの命を助けた流れ者で、今や大牧場主。クレイグはガンヒルの街の経済、保安官から議会まで牛耳る大物になっています。

 

 犯人はクレイグの一人息子リック。リックは典型的なアカン二代目で、マットに甘やかされてやりたい放題なのです。

 

 皆が恐れるクレイグですがリックを盲愛しており、息子の嘘も信じてしまうのです。

 

 だからマットが現れると何も知らないクレイグは、親友との再会を心から喜ぶんです。ここが切ない。

 

 で、事情を知ったクレイグは、親友に生きて帰ってほしい、でも息子は渡せない、と交渉するのですが、マットは法の裁きを受けさせると拒否。

 

 リックを捕らえたマットはクレイグ一味に囲まれたホテルで最終列車までの6時間籠城するはめになります。

 

 マットは個人的な復讐心に揺れながらも、保安官として法律にのっとってリックを町に連れて行って裁きを受けさせることにこだわるんですね。

 

 親友と秤にかけざるをえないマットとクレイグの葛藤。

 

 子育てに失敗したことへの後悔を背負っているクレイグ。

 

 すべてを終えてもやるせなさしか残らぬマット。

 

 事を成そうとするなら代わりに何かを諦めたり犠牲にしないといけないことがあり、その事が大きければ大きい程両立しないもので、それが悩ましい人生の選択なのですね。

 

 主演の名優二人の競演が素晴らしく、「OK牧場の決斗」「大脱走」のジョン・スタージェス監督がテンポよく演出しています。