今回は「キャスト・アウェイ」(2000年)です。
フェデックス社のシステムエンジニア、チャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、社の要請で急遽マレーシアに飛ぶが、途中で貨物機が墜落、チャックは独り無人島に流れ着く。・・・
"Cast Away" Photo by miracc
source: https://flic.kr/p/FFCjw
この映画、単なるサバイバルものと思っていたら違っていました。
確かに孤島のシーンを映画全体の4割の時間で描いていますが、同じ尺で描いたサバイバルの後がとても重要なのです。
冒頭の場面で、チャックが使命感溢れる厳格な仕事人であることを説明しています。
日本人の感覚では当たり前ですが、チャックは荷物を時間厳守で完全な形で届けることを徹底している人物です。
だからクリスマスに恋人のケリー(ヘレン・ハント)にプロポーズした直後、急に海外出張を命じられても文句ひとつ言わずに飛んでゆくのです。
独り遭難した無人島で、チャックはケリーから贈られた懐中時計の彼女の写真を支えにします。
しかし、来る日も来る日も一向に助けは来ない。
チャックはやがて絶望に陥り、生きる気力を失うのです。
その時、潮の流れと波が飛行機の残骸から荷物の箱をいくつか砂浜に運んでくるのです。
チャックは箱を次々と開け、使えそうな物を探します。
でも、なぜか天使の羽のマークがついた箱だけは開けずにとっておくのです。
チャックはその箱を見て直感したんですね。
そして使命を見出し、生きる希望、島を脱出する決意を固めたに違いありません。
"Wilson - Cast Away" Photo by monstersforsale
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「これからどうするか・・・。息をし続ける。明日も太陽が昇り、潮が何かを運んでくる」
このチャックの悟りは名言ですね。
人生は時に残酷ですから、私たちから希望を奪っては絶望させます。しかも何度も。
それでもただ生きよう、とりあえず息をし続けよう。
そうこうしているうちに後の希望につながる何かを見つけるさ。
潮の流れがチャックの元にあの荷物箱を届けたように。
それが人生で、生きるということなのですね。