こんにちは
ホリスティック獣医Saraです
アメリカから戻ってきました
米国ホリスティック獣医学会(AHVMA: American Holistic Veterinary Medical Association)大会に参加している間は、やはりなかなかブログ、ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどの更新が追いつきませんでした
なんといっても・・・朝6:50から夜までビッチリだったので
これから少しずつまた載せていきます
今回は重い話をします。
決して、楽しい話ではありません・・・
アメリカの学会の会場がフロリダということもあって、主人と観光してきました。
行った先は・・・
シーワールド:SeaWorld(Orlando)
実は、ここ数年、シャチの扱いについて様々な議論が起きている場所でもありました。
きっかけはシャチがトレーナーを傷つけたり噛み砕いて殺してしまったことが何度も起きていたから・・・
研究者がいうには、「よく勘違いされているのですが野生のシャチが人を襲うということはまずない」のだそうです。
でも何故そんなことが立て続けてに起きたのか
この施設だけが悪いというのではなく、私たちが当たり前だと思っていることが本当に良いことなのか?考える必要があるのではないかと改めて感じました・・・
私たちの世界で当たり前だと思っていること、それは・・・
野生の動物を捕獲して
檻に閉じ込めて人に見せたり
毎日トレーニングしてショーに出したりすること
教育や研究目的という意見もあります。
ただし、そこに動物の意思に対する配慮はあるのでしょうか
もちろん、食事はきちんと与えられているし、明らかに虐待されているわけでもありません。
でも、とくにゾウ、クマやシャチなど元々野生で暮らしていた大型の動物にとって、思いっきり走ったり泳ぐことのできない狭い空間で過ごし、外の景色を見ることができないというのは、想像を絶するような暗闇の世界ではないでしょうか。
その動物たちに選択する自由はあるのでしょうか
実際に動物行動学者から把握されているのは、動物園にいる動物たちには野生であれば認められないような異常な行動(常同障害など)が多いということ。
「常同障害ってなに?」と思われた方へ、
こちらの記事【気づいていますか?ココロの病気】をご覧ください。
世界最古なおかつ最大ともいえる動物福祉団体RSPCA(英国動物虐待防止協会:Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals)では、野生動物をサーカスの活動に強いることを禁止するよう20年以上訴えていましたが、ついに今年7月、イギリスの一部(ウェールズ)の政府から活動が認められ禁止する方向へ促されるようになりました(関連記事:英語)。
フロリダのSeaWorldでシャチのショーを見ました。
昔は人と一緒に泳いでいたそうですが、トレーナーの死亡事故が多発してからは危険性が認識され一緒に泳げなくなったそうです。
野生のシャチを研究している人たちからは、せまい環境によるストレスや生態を考慮しきれていない飼育法の問題が指摘されています。
飼育されているシャチの背びれが曲がっているのは運動不足による筋力の低下が関連しているのだそうで、野生ではまず見られないことだと言われています。
3人も殺害し最も大きな問題を起こした体格の大きなシャチ(ティリクム)は、幼い頃に親から引き離された野生のシャチでした。
別の2頭のシャチと一緒に生活をしていましたが、それぞれ別々の群れから入れられたシャチで、彼の家族は誰もいませんでした。
元々シャチは家族と群れ生活を行う生き物で、家族以外のシャチとは別の言語を利用しているため、シャチ同士といってもお互いのコミュニケーションは上手く取れません。
(例えば、私たち人間だったら、何も罪を犯していない子供が突然親から引き離され、全く理解できない別の言語・別の文化を持つ人種の人と一緒にせまい空間で一生生活を強いられるようなものです。つまり友達も家族もいない状態なのです)
その結果、シャチ同士のけんかで身体を傷つけたり、プールの中でずっと生活しているため歯が感染してボロボロになることもあり、最終的にティリクムは細菌感染による肺炎を起こして去年35歳という若さで亡くなりました。
SeaWorldの実態に迫った映画【Blackfish】も見ました。
架空の話ではなく、実話に基づいたドキュメンタリーです。
予告編がこちらになります(日本語字幕版はないようです)
訂正:日本語字幕版がこちらで見られるようです!
※野生の若いシャチが親から引き離されて捕獲されるシーン(3頭のシャチは死亡)やトレーナーがシャチに足を取られて水に引きずり込まれるような衝撃的な映像がありますので、閲覧の際はご注意ください。
こちらでももう少し詳細(約17分)が見られます。
この映画で言われていたことを日本語でまとめます。
SeaWorldではティリクムがきちんと芸をこなさかった場合に、食事を取り上げて空腹にさせるなどの罰を与えていたこともあった。
さらに外に逃げられないようにするため、''毎晩'' ほとんど身動きが取れないような狭いプールに移して電気を消して閉じ込めていた。
とくに朝がきて解放する時間になると、身体が傷だらけになり出血が見られることも時々あった。
シャチは本来、オスはメスとは一線距離を置いて生活するのが一般的だが、SeaWorldではオスとメスが狭いプールのなかに一緒にされていた。そのせいでティリクムは最初のころ年上のメスから猛烈な攻撃を受けていた。
シャチは人間が持っていない脳の部位をもち非常に賢く、とくに感情を司る大脳辺縁系が発達していて高い社会性を持っている。
野生ではシャチの子供が生まれたらずっと母親と一緒に過ごすのが一般的。
でもSeaWorldで子供のシャチが生まれた後、子供がショーに影響を与えていたため、母親と子供のシャチを引き離して別の水族館へ移した。その後、母親は今までシャチの研究者でさえも聞いたこともないような悲痛な声でずっと鳴き叫んで身体を揺らし動揺していた(映画では2頭別々の母親の鳴き叫ぶ様子を写したビデオが紹介されていましたが、きっと他のケースでも同じではないかと思います)。
野生のシャチは本来人と同じくらい生きられる(メスは100歳ちかく、オスは50-60歳)が、プールで生活するシャチは25-30歳までしか生きられない。
プールで生活するオスのシャチの100%で背びれが曲がるが、野生で背びれがおかしくなることは1%にも満たない。
狭いプールの中で思うように泳ぐこともできず家族とも一緒に生活できず毎日トレーニング・ショーに出なければならない・・夜は暗く更に狭いプールに閉じ込められる・・そんな自由のない状況からティリクムは精神的におかしくなっていたのではないかと話す人もいました。
(ティリクムが人を殺したとき一部食べられていましたが、空腹を解消する目的ではなく、最初遊びのつもりだったのかそれともストレスのせいで不満が爆発したのかは分からないとの見解でした)
フロリダのSeaWorldには人はあまり来ていませんでした。
私も、再び行くことはないと思います。
映画公開の後、さまざまな批判やシャチ解放に向けた運動が活発化した影響で、収益がかなり下がっているのだそうです。
でも、これはアメリカのシャチだけのことではなく、さきほど例に挙げたサーカス、水族館、動物園でも動物福祉の観点から同じことが言えるのではないかと感じています(特に日本の施設は欧米よりもさらに狭い印象があります)。
映画を見て、非常に悲しい気持ちになりました
人を殺すなどの事故を起こしたシャチはフロリダにいたティリクムだけではありません。
人に怪我を負わせるような事故を含めると、世界的に数えきれないほどの件数があります・・・
こちらにリスト(英語)がありますので、興味のある方はご覧ください。
日本語だと検索してもなかなか出てこないと思うのですが、上記リストだと日本の水族館・シーワールドの情報も記載されています。
映画ではこのような発言もありました・・
「知能の高い動物をコンクリート製のプールに閉じ込めておくこと・・・これが正常だと自分の娘には考えてほしくない」
動物にとっての真の福祉って何でしょうか・・
「当たり前のことがいつも正しいとは限らない」のです
アメリカの各SeaWorldではシャチのショーを終了する方向だそうです(関連記事:日本語ナショナルジオグラフィック)。
時代は変わっていきます・・
日本でも、海外のこのような動きを参考にしてもらえるよう祈ってます・・
※欧米からの最新情報をお伝えしているため、日本語記事でご紹介できるものがなく参考記事は英語ばかりになっていますが、そのあたりはご理解くださいネ
内容は日本語で解説しておりますので、是非参考にしていただければ幸いです
それではまた
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