こんにちは
ホリスティック獣医Saraです
さてさて、今回はちょっとワンちゃんのしつけに関係した内容電気ショックカラー(首輪)について解説したいと思います
まずワンちゃんのしつけについてご相談を受けることもあるのですが、私は獣医師であってドッグトレーナーではないため、本格的なご相談というのはお受けしておらず、しつけに関してはドッグトレーナーさんのところにご相談いただくようお勧めしています
たとえば、子育てで悩んでいる方がいるとします。
夜泣きがひどい、言うことを聞いてくれない、反抗期の接し方がわからない等・・
そんなお悩みがあったとき、どこに相談しますか
少なくとも精神的な異常や病気が原因でなければ、お医者さんに相談しようと考える人は少ないかと思います。
でも同じような状況が動物に起こった場合、変わります
ドッグトレーナーさんよりも獣医さんに相談しようとする方がとても多いのです
でも実は、獣医師の資格を得るのにドッグトレーニングは必須項目ではありません
私が国家試験を受けたとき、ドッグトレーニングのドの字も試験問題には出てきませんでした
それもそのはず、獣医師は動物の健康や病気に関する専門家であって、しつけやトレーニングが専門ではないからです。
そのためワンちゃんのしつけやトレーニングに関する知識というのは、個人的にたくさん勉強している人でないかぎり、ドッグトレーナーさんほど獣医師は身につけていません。
病気が原因でなさそうであれば、まずはドッグトレーナーさんに相談することをお勧めします
ただし、ドッグトレーナーさんもどこで学んできたかによって、考え方が様々です。
例えば、体罰も状況によっては必要と考えるドッグトレーナーさんもいます。
さまざまなので、どれが正しいのか分からなくなってくるというお話も伺います
そのためイギリスの主要な団体で認められている方法、認められていない方法がありますので、今回はその1つをご紹介します
犬のしつけのことでお困りの方は、少しでも参考にしていたければ幸いです
今回は、電気ショックカラーについて
電気ショックカラーってなに?と思われた方は、こちらを参考にしてみてください。
リモコンのボタンを押すと電流が流れるタイプのワンちゃんにつける首輪です。
使い方は以下のとおりです。
まず最初に電気ショックカラーを首につけます。
お散歩中に他のワンちゃんを見つけたときや来客時に吠えすぎてしまうのをやめさせたい場合に、吠えたタイミングでリモコンのボタンを押すと電流が走ります。
その電流が首のところに流れます。
その刺激のレベルは飼い主さんの方で段階的に調整ができます。
数値化されていて、数値を上げると刺激のレベルも上がります。
実際に首に当てて試してみた人の話を聞くと、最初はあまり痛くないのですが、レベルを上げていくと結構痛いそうです・・・(皆さんは真似しないでください)
レベルが低い場合では痛いというほどではなくてもピリピリくるので、そのような嫌な刺激で吠えるのをやめさせます。
この方法は、以下の流れで行動をやめさせます。
吠える 人が困る
だから、吠えたときに嫌悪刺激(罰)を与える
罰を受けるのが嫌だから、犬は吠えるのをやめる
でも、軽い刺激だと吠えるのをやめないワンちゃんがいます
そうすると、レベルを上げざるを得なくなります・・
やめさせるまでレベルを上げたときには、痛みを加えるレベルになっていることがあります。
そういうワンちゃんでも最終的には痛いから吠えるのをやめます
でも、こういうしつけの仕方はどうなのだろうか
とドッグトレーナーたちの間ではずっと長いこと議論されてきました。
実際に、行動が修正されればそれは飼い主さんにとっては便利かもしれません。
人間側にとっては好都合な商品です。
でも動物福祉の観点で考えたときに、自由な行動を制限されているワンちゃんは幸せでしょうか
人間側の都合でワンちゃんが何度も不快感や痛みを味わうことになるため、好ましいこととは言えません。
実際に痛くはなくても、電気ショックカラーをつけられた瞬間から「次いつ刺激がくるんだろうか?」と思って緊張で動けなくなったり、呼吸が荒くなったり姿勢を低くするなどの反応が見られることが報告されています。
また、電気ショックカラーをつけてトレーニングをおこなうとストレスホルモンと言われるコルチゾールのレベルが上がってしまうことも証明されています(1)。
確実にストレスになるということです
英国ケネルクラブ(The Kennel Club)にも利用することのデメリットについて記載がありますので、興味のある方はこちら(英文)参考にしてみてください。
そして最終的に今年、イギリスでは利用が禁止される見込みということで、ニュースになっていました
(すでにウェールズやスコットランドなどの一部の地域では禁止されていましたが、まだイギリス全土にわたっていませんでした。今後はイギリス全土で禁止される予定です)
(参考記事:英国BBCニュース(英語))
ワンちゃんのしつけに苦痛を与える必要はないし、動物福祉の観点からも苦痛を与えるべきではないというのがAPDT(Association of Pet Dog Trainers: 英国ペットドッグトレーナーズ協会)やRSPCA(Royal Society for the Prevention of Cruelty to Animals:英国動物虐待防止協会)、The Kennel Club(英国ケネルクラブ)などの英国団体の基本的な考え方です。
日本だとどうでしょうか
(ちなみに、日本でよく利用されているチョークカラーやチョークチェーンも英国では推奨されていません)
いわゆる ''無駄吠え'' と言われるワンちゃんの吠える癖は、クリッカートレーニングなどの他の方法でも十分に解決できます
(本当は吠えることにもワンちゃんにとっては意味があって、''無駄'' ということはないのですけれどネ)
参考にしていただければ幸いです
それではまた
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<参考文献>
(1) Jonathan JC, Nina Cracknell, et al. The welfare consequences and efficacy of training pet dogs with remote electronic training collars in comparison to reward based training. PLos One 2014; 9(9): e102722.
(2) Sylvia M, Silvia V, et al. Electronic training devices: discussion on the pros and cons of their use in dogs as a basis for the position statement of the European Society of Veterinary Clinical Ethology (ESVCE). J Vet Behav; 2018(25): 71-75.
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