こんにちは
ホリスティック獣医Saraです
先日、ワンちゃんや猫ちゃんの栄養失調(特にタンパク質やカルシウム)についてお伝えしたところですが、最近増えてきている手作り食によるクル病や骨折のケースについてお話しします。
・・といっても、今回は前置きになります
最初に説明が必要なため、なぜこういったケースを報告しようと思い至ったのか?についてお話しします。
1つ、皆さんに理解していただきたいのは、私は手作り食反対派ではないということです
ただ・・残念ながら・・手作り食による弊害も診てきています・・
受けるご相談が増えるにしたがって、「これはやっぱりお伝えしなくてはならない」と思ったので、今回実際に起きたケースについてご紹介しようと思ったわけです
飼い主さんが悪いのではありません・・。
獣医師よりも飼い主さんのほうが情報不足だったり、話が難しすぎて上手く理解しきれないこともあると思います。
私だって、獣医師でなかったら同じことをしていたと思います。
ただ、極端に偏ったレシピを与えているということに気づいていない方が結構多くて、検査を行って初めて分かるという感じなのです・・
手作り食を与えている方は必ず検査をしましょう!
具体的には、最低でも血液検査、尿検査とデンタルチェック、それからレントゲン検査、必要に応じて超音波検査、栄養状態のチェック(体重、筋肉量、毛ヅヤなど)などです
飼い主さんからみていて見た目が健康に見えていても、獣医さんから問題を指摘されたり、検査で異常が見つかることが結構多いです。
こういう流れがあります・・。
長年手作り食を行っている、でも検査していない
(飼い主さんは普段一緒に生活をしていて、特に問題なさそうに感じている)
かかりつけの動物病院で検査をする
異常が見つかる
先生から手作り食は止めたほうがいいと言われる
・・飼い主さんは困る・・・
飼い主さんの気持ちだけでなく、かかりつけの先生の気持ちもよーく分かります・・
私もそういうのは結構診てきました。
手作り食を与えられている動物のほうが栄養状態が悪かったりすることもあるんです。
''不適切な手作り食'' を与えるのであれば、総合栄養食(ペットフード)のほうが安全だし、正直にいって栄養状態は良いです。
これは、ベジタリアン食を食べる人の身に起きている健康問題と似ているような気がしています
ベジタリアン食といってもタンパク質源として肉類や乳製品、卵、魚などといった食材をどこまで制限するのかで変わるのですが、多くのお医者さんが実感していることは、ベジタリアンの人たちは不健康で栄養失調であることが多いということです
そして実際にかなり痩せている人が多いです・・。
これはデトックス効果というよりもタンパク質などの栄養が足りていないことで痩せていきます・・。
太っている人がベジタリアンになると痩せて健康的になったと思われがちですが、違う場合があります・・
そして血液検査をすると、タンパクが足りていないことやそれによって鉄欠乏、ビタミンD不足、カルシウム不足、貧血、ビタミンB12不足どが起きているのが知られています。
そのため、そういったものはサプリメントを使って補わなければなりません。
そして重要なのは、栄養失調というのは検査しないと分からないことが多いという点です。
先日、デンタルチェックを受けるためにイギリスのデンタルクリニックに行ったのですが、そこでも歯科の先生が話していました。
「ベジタリアンの人の歯はボロボロ」
「そういった食事は絶対に勧められない」
と・・
同じことがワンちゃんや猫ちゃんで起きています
獣医歯科スペシャリストの話を聞くと、手作り食を与えられている犬の歯はボロボロだと言ってました
これは残念ながら、私の経験からも本当だと言えます。
(※手作り食を与える場合は歯垢がたまりやすいため、毎日のデンタルケアが必須です。骨を与えていてもそれだけでは足りないことがあるので、きちんと歯みがきしていきましょう)
最後に重ねてお伝えしますが、私は手作り食の考えに反対したいわけではありません
ペットフードによって病気になったり亡くなったりなどの報告もたくさんありますし、さまざまな健康問題とペットフードとの関連も知っています
それから、手作り食によって病気が改善していっているのはたーくさん診てきています。
自分でいうのもなんですが、私の方で診させていただいている動物たちの改善率は結構高いです
だから、本当は胸を張ってお勧めしたいところです
ただ残念ながら、獣医療では手作り食による弊害も増えてきています。
クル病などというのは栄養失調の代表的な病気で、昔の病気だったはずなのです。
でも最近増えています。
それは手作り食(厳密には不適切な手作り食)が普及してきているからです。
なので、そういったリスクがあるということを知ってもらいたいのです。
メリットばかりお伝えするのは、私は良くないと思っています
例えばお薬をもらうとき、ワクチンを打つとき、飼い主さんはメリットとデメリット、副作用のリスクについて説明を受けると思います。
先生がお話しされない場合は、飼い主さんから是非聞いてみてください。
きちんとした先生であれば必ず答えてくれるはずです
手作り食については加熱するにしても生で与えるとしても、それぞれメリットとデメリット両方あるので、両方知った上で飼い主さんが選択すればいいんです
でも考えてみてください。
どちらか一方の情報だけを教えられているのだとしたら、それは偏った情報ということになります
どうしたら良いか?
それは、きちんと検査を受けることです。
かかりつけの先生に「手作り食は与えないでください」と言われて困ってしまったら、私の方にご相談ください
どっちがいいの?と迷った方からのご相談もよく伺っていますが、一言で言ってしまいますと、それは状態によります。
具体的には、ワンちゃん・猫ちゃんの年齢、品種、どういった病気にかかりやすいか、体質、すでに抱えている病気、過去に罹ったことのある病気、検査結果などから一緒に決めていきます。
手作り食レシピの修正を行っていきますが、手作り食ばかりではなくペットフードを加えた方が良いという結論に至るときもあります。
検査結果とレシピを教えていただいて、どこをどのように改善していったら良いかお伝えしています
私のほうから「私だったらこうする」というアドバイスをすることもありますが、強制していませんのでご安心ください^^
最終的には飼い主さんが決めることだと思っていますし、飼い主さんのご要望や考えを尊重しています
とくに、カルシウムは(ビタミンDも含めて)本当に重要です。
「カラダのなかで調整できるから大丈夫」と思っている方、
ー実際はそうではありませんー
そして、ワンちゃんだけではなく猫ちゃんでも問題が起きています・・
原因は同じく手作り食のカルシウム欠乏・ビタミンD欠乏によるくる病や骨折です。
頭から否定せず耳を傾けていただければと思います。
前置きが長くなりましたが、具体的な報告としては次回お伝えしていきます。
是非参考にしていただければ幸いです
まじめな獣医栄養学の話でした~
参考にしていただけたら嬉しいです
それではまた
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