共働き30代の方からの、資産運用のご相談です。
以下4項について、回答申し上げます。
- 推奨できる投資方法
- 参入タイミング
- 具体的な金融商品
- 資産の構成
個別株か、ETFか。高配当かインデックスか、好適な積立方法とは。共働き30代、資産運用のご相談
題名: 資産運用についてのご相談
三菱サラリーマン様
初めまして、突然のご連絡失礼いたします。
昨年より投資に興味を持ち情報収集をしていましたところ、三菱サ
投資方針のみならず生き方
今後のキャリアが読めないこと、また出来る限り早い段階で資産形
大変恐縮ながら下記事項につきましてご助言頂きたくご連絡申し上
【ご質問】
下記状況下において、推奨できる投資方法・参入タイミング、具体
【現在の状況】
家族構成:
- 都内在住、銀行勤務32歳
- 夫、娘(2歳) 家族3人暮らし
資産状況:
- 現預金700万円
- 国債1000万円(親からの贈与分)
- 2020/1よりwealthnavi100万円運用開始
- 保険等未加入
現在空き家の実家に居住中のため家賃はかかっていないものの、将
今後1、2年は切り詰めて月25〜30万円程積立可能だが、その
今後、夫の転勤や子供の就学等に伴い仕事を辞める可能性がありま
【現在考えているプラン】
年初より開始したwealthnaviでの運用に加えて、三菱サ
投資初心者で個別銘柄ではなく組み合わせ商品が良いのか、また投
以上、長文となりましたがアドバイスを頂戴できますと幸いです。
どうぞ宜しくお願いいたします。
大変恐縮です。理路整然としたご質問を、ありがとうございます。
まず、「家族環境などの変化に伴い仕事をやめる可能性ありも、キャリア再開ご希望」ということで、セミリタイアやアーリーリタイア目的ではないと理解いたしました。
推奨できる投資方法、参入タイミング、具体的な金融商品、資産の構成
以下、順に述べます。
- 個別株 or ETF
- どのETFが好適か
- 一括投資 or 積立投資
- 投資金額
個別株 or ETF
- 投資が趣味化するほど好き
- 財務・決算書を見るのが好き
- 配当収入を最大化したい
- 自分なりの個別株ポートフォリオ構築が楽しい
こういった方でもない限りは、やはりETFを推します。時間対効果が高いからです。
個別株は決算チェックの手間や、購入タイミングなど個人の力量に大いに左右されますし、煩雑さや不確定要素も多く、ややマニア向けです。
ETFには主に以下特長があり、幅広い層に親和性があります。
- 個社の決算チェック(手間・時間)不要
- 分散図れる
- 銘柄入れ替えも行ってくれる
- 概して手数料安い
弊ブログのスタンスとしては、一般的におすすめできるのは個別株というよりはETFです。
どのETFが好適?
- 配当金を重視したい
→ 米国高配当株ETF(VYM・HDV・SPYD) - そうでもない
→ 米国株全体/市場平均へ投資(VTI・VOO)
いずれも米国株です。30代であれば投資期間を長く取れ、特にこだわりがない限り、債券は不要と考えます。
夫の転勤や子供の就学等に伴い仕事を辞める可能性があります。その後もキャリアの再開を希望しておりますが、無収入の期間が相当期間想定される
(ご質問文より引用)
とのことですから、この場合は高配当株ETFが一案になってきます。私ならば、心理面で保守的に、その時期が相場低迷期と仮定・念頭に、配当金というキャッシュインを最重視します。
なお、セミリタイア・FIREを目指す方、別の生き方の選択肢を増やしたい方なども、やはり高配当株ETFが推せる選択肢になります。キャッシュフローが生まれるからです。更に詳しく知りたい以下ご参考ください。
単に老後資金目的や資産形成目的であれば、上に挙げたETFのどれでも良いと思います。このあたりは好みの範疇になってくると思います。
各ETFについて、更に詳しく知りたい方は、以下ご参考に供します。
一括投資 or 積立投資
それぞれメリット・デメリットがあります。
- 一括投資は一本調子に上がる相場の初期に実施することで最も威力を発揮します。反面、上昇相場の末期では不適です。
- 対して、積立投資は無理なく平均点を狙える手法と言えます。
また、そもそも給与などの収入から毎月投資資金を捻出する場合、プールでもしておかない限りは、積立投資になってきますね。
投資に熱をあげる人であれば、一括でもなく積立でもなく、自らタイミング投資を選好する人もいると思います。
私ならば、基本的には汎用性のある積立投資が一案です。投資経験の多寡に関わらず、精神的に納得がいきやすいからです。
例えば、「毎月20日に一定額を投資する」といった形ですね。この場合、SBI証券の定期自動積立サービスが簡便です。以下ご参考頂ければと思います。
投資金額
「今ある原資を最大限活かす投資金額」と記載頂いています。
- 原資を最大限活かすという意味では、いきなり一括で投じることも一案ですが、直後に暴落が来たら悲惨です。
- 一方で、今後さらに株式市場が上昇すると仮定すると、一括でいきなり投じるのも結果的には良いことになります。
以上から、投資金額に絶対的な解を見出すことは困難になってきます。今後の相場次第だからですね。
このような時に採り得る手法としては、穏当な中間を採ること、つまり中庸です。精神的にも納得いきやすいです。
現金1,700万円あるということですから(ここでは国債は流動性・価格変動の観点から現金同等物と見なします)、例えば24か月(2年)や36か月(3年)で除して月75万円あるいは月50万円を積み立てていきます。
その後、調整局面が訪れた際に、スポット的に適時購入していく形です。
ただし、調整局面はどの程度続くのか、幅も期間も見通すことはできません。そのため、あくまで買付余力は切らさない形で積立を続けつつスポット買付を追加的に行う形が一案になってきます。
ここまでお読み頂いて、「なんやようわからんけど、ちょっとめんどくさそうやなぁ…(笑)」とお感じになったのであれば、スポット買付はなくても大丈夫です。
自分に合った、自分で納得のいく投資手法を確立することの方が肝要です。まずは淡々と定期的に積み立て、それで自分がどう感じるのかを客観視するだけでも十分と思います。
もし積極的に運用したいのであれば、「今後1、2年は切り詰めて月25〜30万円程積立(貯蓄)可能」とのことなので、現在の現金の過半を早めに投じてしまって、以降買付余力は毎月の貯蓄で以て対応するという案も出てきます。ただこの場合は先に挙げた案よりハイリスクハイリターン気味になります。
要は、リスク・リターンをどの程度期待し、どの程度許容するかという点に落ち着きます。この辺りは自分に心地よい塩梅を、徐々に探っていく形が良いかと思います。
一歩一歩、焦らず歩を進めていきたいところですよね。
保険とウェルスナビについて
ご質問者さまが記載の「保険」と「ウェルスナビ」について、以下記しておきます。
保険
保険等未加入ということで、新たに加入不要と思います。総論としては、弊ブログは特殊事情でもない限りは、国民皆保険制度を前提として「基本的に追加的な保険は不要」とのスタンスです。
基本的な考え方として、経済行動の過程の中で、間に入るエージェントなり会社なりが増えれば増えるほど、マージンを抜かれる傾向があります。
そのため、自分で直接証券口座で金融商品を購入する方が概ねベターと考えます。
Wealth Navi
ウェルスナビは、投資に親しみを持つ第一歩という意味で意義はあります。その意味では有用です。ただし手数料は1%近くそれなりにします。
考え方次第ながら、慣れてきたら、ご自身でETF運用とする形でも問題ないかと思います。
共働き30代、資産運用のご相談まとめ
一応、ETFを選ぶ判断軸として、以下を掲げました。
- 配当金を重視したい
→ 米国高配当株ETF(VYM・HDV・SPYD) - そうでもない
→ 米国株全体/市場平均へ投資(VTI・VOO)
資産運用というのは、長くやればやるほど、「結局自分との対話になってくる」と実感されると思います。
知れば知るほど、細やかな部分も気になってくるかもしれません。なぜなら数字化されやすい事象だからですね。数字に目が行くと、視点はついつい森を見ずに木に行きがちです。また、相場局面でも変わってきます。
いずれにしても大局的な観点を持って、取り組んでいくことが肝要と思います。
この5つのETFのどれがベストかについては、そこまでこだわる必要はないと私は思います。「5つのETFのうち、どれを選ぶか」というのは、木の部分であり、森の部分は何かと言うと、「この5つのETFいずれかに投資をする」という行動そのものです。
どのETFにするか、気になると思います。ただ、ここまでお読み頂いたことを咀嚼されれば十分と思います。これらETFのどれにするか更に研究することは知識量という点で有益な一方、他のこと(実践する、入金力を高めるなど)に労力を割くことが経験上、私は遥かに有益と思います。
ですから、あまり難しく考える必要はなく、「自分が納得いく形、そして自分が心地よい形で、継続できるか」、ここを1つのポイントとして捉えていく形、これが私はやはり最も重要だと思います。
納得いく形、心地よい形は、好みはいずれ投資スタイルに反映されてきます。
17年にわたって為替・株式というマーケットに臨んできて、失敗も良いことも経験して、そしてやはり強く感じることは、投資は多分に精神性と関連し、マーケットだけでなく自分との対話でもあるということです。
例えば、資金管理の観点を例に挙げると、
- 余裕資金の有無
- あるいは給与や配当金というキャッシュフローの有無
たとえば上述2要素の有無で、心理的な余裕が変わります。心理的な余裕の有無で、相場変動による心理変化具合は確実に変わるので、結果も応分に変わってくると思います。
それほど投資と精神性は密接にあると私は思います。ですから、上に挙げたETFを定期的に買って放置しておく、これぐらいの鷹揚なスタンスでちょうど良いぐらいではないかと思います。
ご参考になりましたら幸いです。
Best wishes to everyone!
資産運用に取り組む際は、併せて以下もご参照頂ければと思います。
50歳からの資産運用については、以下をご参考に供します。
コメント
いつも楽しく拝見しております。
四児の父で早期リタイヤを目指すkumakumaと申します。
私は、退職金のCFや生命保険の原価を計算する職業に従事しているため、三菱様の数々のブログを拝見し、非常に共感しております。
これからも、いろいろとご教示頂ければ幸いです。
三菱サラリーマン様
質問者です。この度はご回答を頂きまして誠にありがとうございます。ご丁寧でわかりやすいご説明に感激しております。
最終的には自分に合った納得の行く方法を探すということ、大変腑に落ちました。投資に限らずあらゆる事に通じる事ですよね。何か一つの正解があるものではないことを痛感しました。
ご紹介頂いた方法で、自分の精神状態も保ちながら、自分と対話しつつ長い目で淡々と着実に資産形成できるようなやり方を探っていきたいと思います。
今後も投稿を楽しみにしております。本当にお時間割いて下さりありがとうございました。
そう仰って頂けますと、うれしいです(^^)
ご参考になりましたら幸いです。
こちらこそ有難いお言葉を頂き、ありがとうございます。
今後とも、よろしくお願いいたします。