埼玉県川越市にあるコンディショニングジムBlueFit（ブルーフィット）の代表で、
理学療法士の粟生田です。
前回は、パーキンソン病や脳梗塞、脳出血の方に向けた
スクワットを効果的に行うポイントをご紹介させて頂きました。
今回は、それに関連して、立ち上がり動作での注意点について書かせて頂きます。
パーキンソン病や脳梗塞、脳出血の方で立ち上がり動作の際に、
重心が後方に残り、立ち上がるのが努力的になったり、
しりもちをついてしまう方も多いかと思います。
その原因として、体は前方に倒しているのですが、
骨盤は後ろに傾いたままで（後傾）、
前足部にしっかりと荷重をする前に立とうとしてしまうことが挙げられます。
この動作だと、太ももの筋肉が骨盤に向かって収縮しやすくなってしまい（求心的筋収縮）、
重心が後方に残りやすく、
うまく立ち上がれなかったり、しりもちをついてしまったりすることがあります。
また、太ももの裏側の筋肉（ハムストリングス）を使って立ち上がるような
代償的な動作になってしまい、
太ももの前後の筋肉をバランスよく使えずに
膝の屈曲拘縮や、
膝を棒のように過伸展で突っ張るような動作を引き起こす原因になることもあります。
その対策として、適した立ち上がり動作を説明させて頂きます。
まずは、足を軽く後ろに引き、体が丸くならないようにしっかりとおこし、
骨盤をしっかりと前傾させます。
ここから体を前傾させ、重心を前方に移動させ、
立ち上がるために必要な前方への推進力を生み出します。
次に、膝を接地している足部より少し前方に出し、
前足部に荷重した後、お尻を持ち上げるとともに、
膝が前方に向かうのを制動し、
前に向かっていた重心移動を上方へと切り替えます。
こうすることで、太ももの筋肉が膝に向かって収縮しやすくなり（遠心的筋収縮）、
太ももの前後の筋力のバランスが良くなり、
安定した動作につながります。
注意点としては、上記で赤字とした、
①足を軽く後ろに引く。
②骨盤をしっかりと前傾させる（体も起こす）。
③”ある程度のスピード（勢い）で”、重心を前方に向かわせる（推進力を生む）。
④しっかりと足底に体重がのってから、お尻を浮かす（前方への力を、上方に切り替える）。
実際に難しいのは、③④の重心のコントロールかとは思います。
しかし、その動作に入る前の”構え”が実は重要になります。
上でいう①や②がその一部になります。
動き出す前の準備の段階をしっかりと意識して行うことで、
その後の筋活動や重心のコントロール、バランスが行いやすくなります。
それは、座面からの感覚入力や、
重力を正しく感じとりやすくなるからです。
また、③や④よりも、注意ひとつで実際に行いやすいです。
上記のポイントに注意しながら立ち上がり動作を繰り返し行っていただけると、
安定した立ち上がり動作につながると思います。
ご興味のある方はぜひ取り入れて頂けたらと思います。
１２年のリハビリ経験をもつ健康・障害予防の専門家＠あおだしんや
腰痛・膝の痛み・体力低下・運動不足、生活習慣病・脳梗塞・脳出血・パーキンソン病の
症状悪化の予防・コンディショニングのご相談もお待ちしています。
