酷暑に辟易とした日々。しかし在宅勤務続きで筋力も落ちている。こんな日は、癒し系のナメ中心とした沢登りが最適と考え、この沢を選んだ。車が無いので、小田急ロマンスカー(時節柄か極めて空いていて好都合だった)で駿河小山駅へ向かい、タクシーを奮発して明神峠を起終点にして旧盆の一日を楽しんだ。
通常の山行にしてはやや遅めの朝8:00にJR御殿場線の駿河小山駅に降り立つ。登山客はおらず、ゴルフ場に向かうマイクロバス利用の人が多かった。予め予約したタクシーに乗り込み、明神峠に向かう。3,000円強の料金だったが、小山町の施策(?)のアンケートに答えると割引適用があり、ラッキーだった。
▼明神峠の北側は神奈川県だが、ゲートで閉ざされており、左側の隙間から越境した。
曲がりくねった林道(舗装と非舗装が交互に)を進むと、「壹の沢橋」との銘板の入った土沢一ノ沢に掛かる橋を渡る。その後、二ノ沢、三ノ沢を渡るが、一ノ沢のような欄干や銘板は無く、地形図との照合が必要であった。
▼三ノ沢の出合。カーブミラーの左にある踏み跡から遡行開始(9:50)。
▼「三ノ沢林道入口」と書かれた杭の表示によって所在地を確認できた。
▼入渓してすぐの渓相は平凡であったが、すぐにやや深い釜やナメの連続となる。
▼「卵岩」と呼ばれる大岩
▼二俣。右が本流。
▼穏やかなナメが続く。
水は透き通っていて冷たく、自然美あふれる良渓だが、後半は苔むした巨大堰堤をいくつか超えることになる。やや足場の不安定なトラバースを経て堰堤を超えるが、穏やかな流れの小川が流れるなど、風景が一変することがあり、大いに楽しめた。
▼標高1,000mを越えた辺りで、三俣に分かれ、写真左側の台地状の尾根に取り付いて(13:00)、間もなく三国林道に飛び出した。
▼三国林道を西進し、東電の送電線を示すプレート(写真)から顕著な尾根を下り、二ノ沢出合にドンピシャで下降できた(14:30)。
再び、明神峠に戻り(15:10)、タクシーを呼んで駿河小山駅に戻った(docomo回線は明神峠の北面では圏外であった)。山中では一切誰にも会わず、静かな山旅を満喫できた。
この沢の雰囲気は、近くの山伏沢(沖ビリ沢と誤称されることあり)と似ている明るい雰囲気のナメ中心の沢だったが、山伏沢に比して遡行距離もそこそこあり、途中の堰堤越えも「渓相の変化の1つ」と考えれば、西丹沢で最も美しい充実したナメ沢と言えるのではないかと思う。