八ヶ岳南麓大泉にオープンした韓国レストラン「どんぐり」で、開店のお手伝いをされていたTさんとお近づきになった。元気はつらつ笑顔が魅力的な女性である(「どんぐり」の記事は → ここ )。
「ゆるふわさんはどちらから?」
「あ、ボクですか。ボクは、東京の、杉並です(キリッ)」
「あら~。杉並のどちら?」
話は飛ぶが、女性は加齢とともに「あら~」という間投詞が多くなる。おそらく思考回路がフル稼働するまでのアイドリングが声に出るのであろう。男だと「ふ~ん」(横着な人は「ふん」)だ。
さらに話が飛ぶが、ママチャリ同士がフラフラと正面衝突する事故は、
「あら~」、「あら~」、
(ガチャン)
「まあ!」、「まあ!」、
というので法曹関係者の間では「あらまあ事故」と呼ばれている。
「ボクさ~ボクサーなの。いえ、ボクは、阿佐ヶ谷と荻窪の中間位のとこです。〇〇です、ボクは」
「あら~。私も以前は△△(中央線を挟んで我が家と線対称の位置)だったのよ~」
「ふん(←心の中)、じゃあ『高橋の酒まんじゅう』、懐かしいでしょ」
「あら~、食べたことないわね。『うさぎやのどら焼き』はしょ~っちゅう食べたけど」
(これですがな 1個100円 ひとつずつラップされている)
ふ~ん、これは由々しき事態だ。
元荻窪周辺住民で、「うさぎや」より安くて旨い「高橋の酒まんじゅう」を召し上がったことがないとは。
袖振り合うも多生の縁(「他生の縁」よりこちらが正しいらしい)、それでは今度買ってきてあげましょう、ということであらかじめ予約して大泉にむかう日の午前中に酒まんじゅうを買いに行った。なにせこいつは開店直後に売り切れということもしばしば、しかも賞味期間が当日含めわずか3日間限りなので中々お土産にできないシロモノなのである。
「高橋の酒まんじゅう(菓子名でありおそらく屋号でもある)」は、20年ほど前にどこかから移ってきて荻窪で商売を始め(ということはTさんはそれ以前に大泉に移住したことになる)、現主人は二代目。
先代からこっち一貫して酒まんじゅう専業で、それ以外の菓子は一切作っていない。店舗も玄関先の狭い式台に酒まんじゅうがわずかに並ぶだけの質素なものだ。
(間口一間の店構え 店内は半坪 右の紙袋は予約の品 50個、100個と買う客も多い)
まだホカホカしている酒まんじゅうを甲斐大泉駅近傍のTさんのお宅へ。上がってらっしゃい、いえここで失礼します、と押し問答の末じゃあほんのちょっとだけ、と図々しく上がりこんだ。
お茶とコーヒーを頂戴して、酒まんじゅうを相伴させて頂く。
久しぶりに食った酒まんじゅう。しっとりとした皮にくるまれた控えめな甘みと馥郁たる酒粕の香りが、
まるで南国のフルーツのようだ。旨い。蓋し名品である。
「ラベイユのアップルパイ」が製造中止(当面、とのこと)となった今、荻窪を代表する名物といえば
「高橋の酒まんじゅう」以外には見当たらない。
中央線沿線にお住まいの方は是非一度ご賞味ください。
(お手製の寒天でこしらえたあんみつまでご馳走になり結局3時間も居座ってしまった)