(老母を迎えにきた介護タクシー)
老母が山梨の介護付き有料老人ホーム「ピースライフ山梨」に入居する日が来た(ピースライフ山梨の記事は → ここ )。
約束の時間に山梨からはるばる介護タクシーが迎えにきた。どんな会社かはよく分からないが、老人ホームで手配してくれたのでおそらく提携会社なのだろう。
タクシーはストレッチャーのまま患者を運べる構造になっていて、昇降用のリフトも備わっている。
病室からストレッチャーに載せられた母はそのままタクシーへ。その様子は不謹慎ながら築地の魚河岸でターレーで運ばれているマグロのようだ。
(競り落とされたマグロといった様相)
母を載せた(「乗せた」というより「載せた」が正しい)タクシーは一路山梨へ。
20いくつかで上京して60年余りを過ごした東京。
働き、結婚し、子をなし、そして昨年夫に先立たれた母が見た東京の最後の景色は鉛色の空だ。
母がこの地へ戻ることは二度とない。
(さよなら東京 家内が付き添い、私とそらはクルマで追いかける)
およそ2時間半、一行は老人ホームに到着した。
(母の運搬が終わって撤収するタクシー 往復高速代込みで37000円は高いのか安いのか)
長旅でさすがに母も疲れた様子であるが、到着と同時に老人ホームの好意で遅い昼食となった。
家内と私、様子を見に来てくれた叔母、ホームのスタッフの方々が固唾を飲んで見守る中、母は自ら
スプーンをとり、一口二口とおかずを口に入れていく。やがてお茶をグビグビっと飲み、フゥ~っとため息をついたあとの母の一言、
「おいしい!」
なにはともあれ、終の棲家の生活も無事始まったようだ。
(その頃屋外に放置されたそらは不安の絶頂に 顔がひきつっている)