ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

エレノア・オリファントは今日も元気です

2020-09-23 | 読書日記
オオデマリが咲いています。

「エレノア・オリファントは今日も元気です」(ハニーマン著 2020年8月 ハーパーコリンズjp刊)
を読みました。




エレノアは30才。
顔に火傷の跡がある。
経理の仕事をしていて
昼休みにはクロスワードパズルを解きながら昼食をとる。
(会話はほとんどしない)
部屋の家具は寄付されたもので
自分で買ったものはない。
週末は本を読み(書店で最初に手に触れたものを買う)
ウォッカを飲む。
週に一度母親と電話で話をする(毒母と言っていい人)
母親はいるけど
エレノアは何組かの里親に育てられた。
エレノアは曖昧な言葉が分からない。
パーティは7時からと言われたら
7時きっかりに行き
(少し遅れて到着するのが礼儀?)
手ぶらで来てね
と言われたら
その通り手ぶらで行ってしまう。

ある日を境にエレノアの生活は変わっていく。
若いミュージシャンに憧れて
コンサートに行くのにふさわしい洋服を買ったり
髪型を変えたりするようになる。

同じ会社のレイモンドと歩いている時
道で倒れていたサミーという老人を助けたことで
サミーの家族との交流が生まれる。
レイモンドの母親とも親しくなる。
会社で昇進を打診される。
ミュージシャンと会う日のために
着々と変身していく。

そんな日々に
重奏低音のように
週に一度の母親との電話が響いている
……

エレノアのすることなすこと
あれね(津軽弁ではらはらする)感満載。

最後に謎が解明される
という点でミステリでもある本書。
途中の息苦しさがすっきりと「晴れる」ラストが
お見事です。








コメント    この記事についてブログを書く
« 紅雲町珈琲屋こよみ 初夏の... | トップ | サキの忘れ物 »

コメントを投稿