ゆらゆら荘にて

このごろ読んだ面白い本

流人道中記

2020-06-06 | 読書日記
ムラサキツユクサが咲き始めました。

「流人道中記」(浅田次郎著  2020年3月  中央公論社刊)を読みました。
(上下巻です)




流人を若い武士が江戸から三厩(青森県)まで送っていく話
と聞いたので
読んでみました。

流人の方は青山玄蕃。
罪は不義密通で
本来は切腹しなければならないところだが
痛いから嫌だと本人が拒否したので
どこかに流罪にすることになったが
近い所にはやれないので
蝦夷の松前藩(函館)にお預けとなった。
お預けというくらいだから身分の高い家なのである(旗本)。

若い武士の方は見習与力(二百石)の石川乙次郎。
お手先鉄砲組同心(三十俵)の家の次男として生まれ
石川家の養子になったばかり。
義父は病気で寝たきりで
妻のきぬは15才だが、ほんの12、3にしか見えない。

乙次郎はかなりのストレスを抱えている。
義父は寝たきりなので仕事を習うことができないし
義母はやたらに厳しい。
身分の低い家の出ということで
職場でも軽んじられ(と思っている)
遊び人の弟と妹がいつタカリに来るかとドキドキしている。

一方、青山玄蕃は悠然としたものだ……

ストーリーは乙次郎の成長譚なので
宿場で出会った人たちに影響されて
(ここが筆者の真骨頂)
乙次郎のストレスが一つ、また一つと無くなっていく。
(のが心地よい)

仙台の街並みや
中尊寺金色堂や
岩手山が
褒めちぎられるのも心地よい。

岩手の方言も完璧です。

(玄蕃の人物像がフラット過ぎるのが、ちょっと物足りないですが)






コメント    この記事についてブログを書く
« サピエンス日本上陸 | トップ | 着せる女 »

コメントを投稿