製作にサモ・ハン、ウー・マ、監督にユン・ケイと香港随一のアクションどころを揃えて作られたアンディ・ラウ主演の刑事アクション。

香港警察の総監の息子ダンは特捜班CIDのエリート。一方総監の同級生マは万年の平巡査。

その息子ロウも腕っぷしは強いものの学が無いため交番勤務の平巡査として勤務していた。
ロウは上昇意欲のない親父マと反発しながらもいつかは香港警察の精鋭の集まりCIDへの編入を夢みていた。

ロウの親友であるダンは父の口ききで彼を念願CIDへと編入。
夢みたチャンスに浮かれ、手柄をたてたいロウは麻薬組織のボス、インの取引の手入れに参加するがその勢いは空回りし張り切りすぎて失敗を重ね、同僚を死亡させてしまう。

度重なる失敗から遂には仲間内にまで白い目で見られ自信を喪失するロウ。
だが正義感だけは失っていなかった彼はインが叔母の娘と恋人同士という事実をつきとめ、ダンと協力しインの麻薬組織壊滅に挑む。

上官に目をつけられ、危機に陥りながらもロウはマに誇りある警官の姿を見せようとイン逮捕のため追い詰めていくのだが…

サモハンを始めとするスタントチームが豪華なバックアップにまわり、手掛けた刑事アクション。

強烈すぎる邦題であるが、まずこのタイトルがいやがうえにもハードなアクションを連想させるも極道を思わせるものは敵役のところくらい(笑)

本作はサモハンが製作総指揮を務め、監督にコリー・ユン、武術指導にユン・ワーなど非常に豪華な顔ぶれ。
更には主演がアンディ・ラウとここまでくるとアンディのバリバリのアクションを期待させるのだが、実はアンディは脇役。
実質の主役は監督も兼任するコリー・ユンことユン・ケイである。
更にユン・ケイの父親役には名優のウー・マが演じており、この関係性はまんまユン・ピョウ主演の『検事Mr.ハー』に被ってくる。
『検事Mr.ハー』で見せた不器用な親子のドラマを更に発展させたのがいわゆる本作であり、アクションというよりはどちらかというとユン・ケイとウー・マのドラマが主体の作品となっている。

一応これだけの豪華な顔ぶれなのでアクションも期待したいところなのだが、アクションに関してはガンアクションがメイン。
期待の格闘アクションはクライマックスになってのラスボス、チン・シウホウ対アンディ・ラウ&ユン・ケイで少し見られる程度のもの。
一応、七小福出身だけあり、ユン・ケイもそこそこに立ち回りや格闘シーンがこなせるものの、最後のアクションの美味しいところはアンディ・ラウの見せ場となっている。

本作の見所はアクションもさることながら、とにかく不器用な
ユン・ケイのドジな刑事とそんな息子と反発しながらも見守るウー・マとのやり取りが本作の肝。
サモ・ハンも特別出演し、ジャッキーの『ポリスストーリー』シリーズの署長トン・ピョウやタイポなど香港映画でもお馴染みの顔が目白押しではあるのだが、なかでも本作の悪役を担ったチン・シウホウは若きボスとして洗練されたカッコよさとカンフーアクションをみせていて、物語を大いに盛り上げている。

刑事ドラマとしてはなかなかの出来でありラストのウー・マがユン・ケイを乗せた救急車を涙ながらに追いかけていくシーンは号泣必至。
この辺りはさすが演技派なウー・マの最大の見所である。
そのシーンだけでもこの作品は見る価値はあるだろう。

ただ邦題の猛々しさのわりにはアクションとしての魅力は少なく、肝心のアンディ・ラウが全面的な主役ではないので、そこは気をつけておきたいところである。

評価…★★★
(ユン・ケイって俳優としてもいい味出してます。そして輪をかけてウー・マが泣かせます。)