香港アクション次世代俳優とグラマラスな女優陣が繰り広げるコマンドアクション作品。

タイの山奥にある秘境『ケナの森』。そこには太古から森とともに息づく伝説の部族『虎族』がいた。
虎族の酋長の血をひく青年アーセンは虎族を近代化させるためあえて村を降り、ケナの森のガイドとして暮らしていた。

そんなある日、アーセンのもとに最近友人となった富豪の息子デニスが5人の女性バックパッカーたちを連れ、ケナの森のガイドを依頼してくる。
喜んでそれを引き受けるアーセン。

バイ・シュエ率いる5人の女性バックパッカーは世界中を旅しており、学者やダンサー、格闘家など色々な顔をもつ才色兼備なグループであった。そして彼女らを守るようについている謎の男ラオ・インも旅の護衛としてついていた。
ケナの森を取材したいというデニスもTVクルーをつれて参加し、バイ・シュエたちとデニスたちはアーセンのガイドのもとケナの森深くにある『虎族』の村を目指して進んでいく。

天真爛漫に旅を楽しむバックパッカーたち。しかしその中でラオ・インは付近に落ちていた薬莢に注目。得たいの知れぬ違和感を覚えていた。
すると突然どこからか虎が彼女らに襲いかかる。
虎はデニスらによって撃退されるが、その時に持ち出した銃や重火器はおおよそTVクルーが持つものではなく、ラオ・インとバイ・シュエはデニスらに不審の目を向ける。

アーセンのガイドによっていよいよ虎族の村がある森へと差し掛かったとき、一行は虎族たちの奇襲攻撃をうける。
痺れ薬を射たれ倒れる仲間たち。
突然の襲撃によって散り散りバラバラとなった一行は森の中でさ迷い、TVクルーたちは全滅。バイ・シュエとア・タァー以外の仲間は虎族の村に連れていかれてしまう。

虎族の襲撃を何とか切り抜けたラオ・インとバイ・シュエは夜明けを待って虎族の村へと潜入し、仲間を救出する作戦にうってでる。

一方、逃げ延びたアーセンとデニスだったが、実はデニスの狙いは虎族の村に眠るダイヤモンドの鉱脈であった。
道々に落ちていた薬莢もかつて彼らが虎族を襲った形跡であり、デニスは義理の父の叱咤で改めて精鋭部隊を率いて虎族の襲撃を開始する。
裏切られたことに憤慨するアーセンを銃撃し、侵攻を開始するデニスたち。

その一方で潜入するも存在のバレたラオ・インたちは生け贄にされそうになるのだが、ラオ・インが一騎討ちを挑まれた虎族一の戦士に勝ったこと、襲撃の際に女酋長がラオ・インと戦い、命を救われたことで好意を持ったことから彼らに友人として迎えられる。
友好の証である宴は夜遅くまで続き、バイ・シュエたちも村人たちと親交を深めていた。

夜明けすぎ、大きな爆発音が村を襲う。デニスが部隊を率いて虎族の村に襲撃を開始したのである。
不意をつかれた彼らは次々と重火器で完全武装した黒龍率いるコマンド部隊の犠牲となっていく。
バイ・シュエたちもなす統べなく村を棄て逃げるしかなかった。

ラオ・インと友情をかわした戦士が彼らを逃がすために命をなげうって囮となるが、奮戦むなしく命を失う。
ラオ・インはバイ・シュエ達を安全な所へ逃がすため自ら殿を務め、精鋭部隊に挑む。
卓越した格闘技とゲリラ戦法で特殊部隊を翻弄し、鬼神の強さでリーダーの黒龍も倒すラオ・インであったが、バイ・シュエに気をとられた隙をつかれてデニスに銃撃され、致命傷を受けてしまう。

ラオ・インという心の支えを失ったバイ・シュエたちは村を奪われた女酋長と僅かに残った女戦士たちと共に、デニスへの復讐を決意。
瀕死の状態だったが、虎の血が目覚め覚醒したアーセンと共にゲリラ戦術を学び、特訓を重ねる。

村を完全に制圧したデニスは罵詈雑言を重ねる義父を裏切って殺害し、自ら組織のトップとして生き残った村人を使ってダイヤモンドの採掘をさせていた。
そこに奪回を狙うバイ・シュエ達が奇襲攻撃をしかける。

虚をつかれるも始まる村を巡ったバイ・シュエ達とデニスたち特殊部隊との最終決戦。
ラオ・インの仇を討つためバイ・シュエらはデニスに最後の戦いを挑むのだが…

コリン・チョウやアンディ・オンなどアクション巧者たちが集結した冒険アクション作品。

冒頭からモデル出身の主演女優たちがビキニや妖艶な衣装に身を包み、男たちを格闘技で手玉にとる感じから、『チャーリーズ・エンジェル』風な味わいを見せ、好青年風のアンディ・オンや大人のダンディズムな佇まいのコリン・チョウを巡るアイドルアクション雰囲気の物語の前半。
やはりモデル出身で『エクスペンダブルズ2』にも出演しているユー・ナンも巨乳を押しつぶすようなピチピチタンクトップに身を包んで、この辺り凡百なセクシー系アクションの賑わいを見せている。

しかし中盤からは格闘シーンに比重をおいたコマンドアクションにシフト転換し、出演陣のマーシャルアーツアクションが堪能できる感じとなっている。

ストーリー自体は交流を深めた先住民と主人公たちが協力して近代兵器に身を包む悪党に立ち向かうというドルフ・ラングレンの『メン・オブ・ウォー』そのままの展開。
ただ前述と違うのは対抗する手段が銃撃戦でなく、ゲリラ戦法や徒手格闘であることぐらい。

売りとなっているアクションであるが、ここはさすがに香港・ハリウッドをまたにかけるコリン・チョウをはじめとするアクション巧者達が揃っているので総じてレベルは高いのだが、残念ながらラスボス扱いであるアンディ・オンは今回はおとなしめ。
代わりに最近では出演作品でなかなか格闘シーンがなかったコリン・チョウがそのポテンシャルを久々に発揮。敵の特殊部隊リーダー役の木幡竜との一騎討ちや対多数でみせる鮮やかな格闘シーンは錆び付いておらず、途中離脱が痛いものの、本編中最も輝いている。

他にもアーセン役には現地人にしか見えない次世代アクションスター、シン・ユーが主演し、普段のカンフーアクションとは違う野性味溢れるゲリラアクションを見せている。

むろん主演であるユー・ナンら女優陣もアクションには体当たりで挑んでいる。
かなりのワイヤーのお助けもあるのだが、木幡竜とのハンディキャップマッチ戦でみせる伸びやかな跳び横蹴りやユー・ナンのアンディ・オンへの側頭部への跳び蹴りなどはその肢体の良さも相まって結構見応え深いものに。

いつもなら悪役などの多いコリン・チョウが久しぶりにカッコよくて、主役級の活躍をみせ、更にヒッピー風の長髪から気合い入れで超短髪となって大人のダンディズムな魅力を振りまく様は、ユー・ナンでなくとも惚れかけるのではないだろうか?


コマンドアクションにしても冒険アクションにしても客観的に見れば非常に中途半端で、方向性も『チャリエン』風のガールズアクションにしたかったのか、『メン・オブ・ウォー』風のハートフルなコマンドアクションにしたかったのか分かりづらいところではあるが、格闘シーンのレベルはやけに高いので、グラマラスなお姉さん方のワイヤーアクションも含めて、アクション映画としての娯楽性は高いと思われる作品である。

評価…★★★
(コリン・チョウが離脱してからグッとアクション精度落ちるんだよなぁ。アンディ・オンも
あんまり動いてないし(^^;)