シングルマザーであるジーニーと共に暮らす少年ポールは天才的な科学の才能をもち、人工知能を駆使した自作ロボット『BB』を制作するほどであった。

とある街へと引っ越してきたポールは転校してから不良少年たちに因縁を吹っ掛けられるが、『BB 』がポールを守ろうと不良たちを撃退するなどその学生生活は苦労しながらも何とか充実しつつあった。

ポールはBB に興味をもつ近隣にすむ同じ学校のトニーと仲良くなる。
そしてポールには隣人で密かに同級生のサマンサに恋心を抱いていた。
トニーとBB を通じて、お互いを意識し付き合い始めることとなったポールとサマンサであったが、サマンサの父親はDV の常習者であり、ポールと付き合い始めた娘を酷く詰ったり、暴力をふるったりしていた。

見かねたジーニーが彼を注意するもそれでもサマンサはけなげに父親を庇おうとする。

そんな幸せな学生生活が続いていたある日。
ハロウィンの夜、パーティーに出かけたポールたちはBB も含めて遊んでいたが、そのボールがとある屋敷の中に入ってしまう。

屋敷の持ち主は近所でも危険な人物として噂されるエルバイラ。
ハロウィンの夜に騒ぐ子供たちに腹をたてた彼女はショットガンを片手に躍り出、ボールをとって向かってきたBB に向けて発砲する。
ショットガンの直撃を受けたBB は大破し壊れてしまう。

更にその後、パーティーから帰ってきたサマンサを父親は激しく折檻し、殴られた彼女は階段から落ちて首の骨を折り脳死状態になってしまう。

愛するものを一度に二つも無くしたポールは助かる見込みがないと生命維持装置を外されたサマンサを生き返らせようと考える。
トニーに協力させ、遺体安置所からサマンサの死体を盗み出したポールは残っていたBB の電脳チップをサマンサの脳に埋め込み蘇生させようとする。

果たして彼女は生き返るのだが、彼女はポールのもとから脱走し自らを死に至らしめた人物への復讐を開始する。
サマンサを死に至らしめた父親は全身の骨を粉々にして殺害。
BB を破壊したエルバイラをボールを使って殺害する。

その頃、遺体が消えたことで警察が捜査をはじめ、殺人を繰り返すサマンサを取り押さえようとするが、制御を失った彼女は暴走し警官隊をも襲おうとして一斉射撃を受ける。

一瞬サマンサの感情を取り戻したものの彼女は駆けつけたポールの腕のなかで息絶える。

連続殺人犯として射殺され遺体安置所へと再び運ばれたサマンサ。
しかしポールは彼女の死を受け止めることができず、彼女を取り戻そうと安置所へと忍び込むのだが…

『エルム街の悪夢』などでホラー映画界のスターダムに登り詰めたウェス・クレイヴン監督が手掛けた青春ホラー。

本作は監督がブレイクを果たした時期に手掛けていた最中の作品のひとつで、いわゆる現代版のフランケンシュタインものである。

事故によって死んだ恋人を甦らせるというパターンは当時でもゾンビとして甦らせる『バタリアン・リターンズ』などいくつかあるが、本作はよりティーンの青春模様を強めに描いていて、サマンサがゾンビとして復活するまでははっきりいって退屈。
アメリカの学園における学園カースト制度を如実に描いていて、主人公のポールはいわゆる最下層における人間であり、そんな彼と家庭に闇をもつヒロインとのぎこちない恋愛ドラマはその手の学園ドラマ好きには面白いと思えるだろう。

後半に入ってようやく本作におけるホラーの面が出てくるのだが、これが結構残酷描写もあり、見所ではある。
自身を死に追いやったサイコパスな父親をいたぶるように全身の骨を折っていくシーンやショットガンを構えるキ○ガイばーさん目掛けてバスケットボールを投げつけ、頭が爆裂するシーンなどは当時のウェス・クレイヴン得意のスプラッター描写の面目躍如である。

そんなムリヤリに蘇らせた先には悲劇的結末が待っているのもこのジャンルの特徴であり、ラストこそ臥せておくが、主人公におとずれる結末は見るものによっては軽くトラウマになるところもある。

そんな本作は一度だけテレビで放映されたことがあり、その時の主人公ポールの吹き替えが今や毒舌MC として名を馳せるあの坂上忍であることをトリビアとして付け加えておこう。

全体的に漂う悲壮感やトラウマなラストは日本ではあまりウケ自体は良くはなかったものの、ハリウッドではホラードラマとして再評価されており、リメイクの話も出ているという。

ヒロインのクリスティ・スワンソンは当時のB級青春映画の人気者でその清楚で健康的な美人女優であったが、今でいうならこの悲劇のヒロインはクロエ・モレッツやエル・ファニングといった若手美人女優で演じてもらうとまた評価は変わるかもしれない。

中盤までの青春恋愛ドラマは興味ない人間には中弛みを感じるが、後半のスプラッター描写とせつない展開のギャップはさすがウェス・クレイヴンだと感じさせてくれる逸品である。

残酷度…★★★

評価…★★★
(後半からの癖のある人物を次々殺すゾンビヒロインはいいけど、それまでの学園恋愛ものに耐えれるかが問題か?)


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