新旧マーシャルアーツのチャンピオンたちが集まった格闘色の濃いコマンド系アクション作品。

FBI の捜査官マイケルはタイの犯罪組織のボスであるドラコを逮捕するため自身の師匠的立場で長年ドラコを追っていた先輩刑事であるコンラッドをサポートするべくタイに渡っていた。

遂にドラコが密輸取引をするという情報を仕入れた彼はコンラッドと共にその現場へと潜入し機会を伺うが、彼の部下により潜入がバレ、激しい銃撃戦となる。

多勢に無勢のなか奮闘するマイケル達だったが、マイケルを助けようとしたコンラッドはドラコに銃撃されて殺されてしまい、自身は地元警察によって逮捕されてしまう。

不法滞在の上に銃をもっていたことで犯罪人扱いされるマイケルは大使館の伝で国外退去となるのだが、コンラッドの仇を討つため彼はドラコへの復讐を決意していた。

それを知っていたタイの警察署長は秘密裏にマイケルを釈放し、ドラコの討伐を依頼する。
署長はドラコへの道案内役として元特殊部隊出身の傭兵ボビーを紹介するのだが、彼は腕はたつものの普段は寄りどころのバーで飲んだくれている男であった。

そんな彼を訪ねてバーを訪れたマイケルはチンピラに絡まれるも自慢の格闘技でこれを撃退。
それを傍らで見ていたボビーは残りの雑魚を一掃するとマイケルの依頼を引き受けるのだった。

ボビーの仲間で傭兵仲間のオットーを道案内役にドラコが潜むとされるタイの国境地域のジャングルを進むマイケルたち。
しかしジャングルに不慣れなマイケルはムカデに咬まれてその毒により気絶。近くの集落に運び込まれる。

その集落はドラコの暴虐により追い出された村民たちで形成されており、そこには警察署でドラコの犯罪を訴えていた女性ユイの姿もあった。
彼女は難民医療チームの一人であり、ドラコの収容所から唯一生きて逃亡してきたマイアという青年を看護していた。

回復してきたマイケルは早速マイアにドラコのアジトを聞き出そうとするが、彼は敵にやられ瀕死の状態であり、ボビーらも彼の回復を待って集落に留まることを余儀なくされる。

そんな中、マイアの生存を危惧するドラコは捜索チームをジャングル内に派遣。遂に集落を嗅ぎ付けられてしまう。
マイアは彼らによって殺害され、マイケルたちは襲撃してきた敵と戦うことを余儀なくされる。

ユイたちの活躍もあって敵を撃退することに成功したものの唯一のドラコへの手がかりを失ったマイケルたちは途方にくれるのだが、彼らの居所を知るというユイがドラコへの復讐のためにマイケル達に協力を持ち掛け、彼ら4人は国境の秘密基地に改めて向かうのだった。

敵地に向かうなかでボビーもかつてドラコに傭兵仲間を殺され復讐を決意していることを知るマイケル。
やがてアジトを見つけ出したマイケルとユイは潜入するのだがドラコに阻まれマイケルは銃撃され、ユイは炭鉱山へ連れ去られてしまう。
そして潜伏していたボビーにもドラコは爆弾の洗礼を浴びせる。

鋼の酒入れのおかげで命拾いしたマイケルは駆けつけたボビーと共にユイ奪還を目指して跡を追う。
そして先に追うオットーは奇襲をかけるのだが敵の女傭兵ヴァレリーに油断し凶弾を受けてしまう。

一方でユイは自ら見張りを倒して脱出。独自にドラコの跡を追う。

逃亡を図ろうとするドラコを逃がすまいと炭鉱山を強襲し敢然と立ち向かうマイケルとボビー。強敵が立ち塞がるなかで巨悪を打倒するため最後の決戦に挑むのだが…

最もタイトルを持つキックボクサーとしてギネスに載るドン・ウィルソンとエクストリームマーシャルアーツの世界チャンプにも輝いたマット・マリンズ競演によるアクション作品。

時期的な所からも本作はマーク・ダカスコスが監督した『ショウダウン』と同じ時期に作られた作品と思われるが、あちらでは完全ゲストであったドン・ウィルソンが本作では久しぶりの主役級の扱い。
ただし、実質の主役はマーシャルアーツ大会で5回の優勝経験を持つマット・マリンズである。

共演として本作が遺作となった元世界ヘビー級空手チャンプのジョー・ルイスや香港映画でも活躍していた女ドラゴン、シンシア・ラスロックが出ており、シンシアは今回珍しく凄腕の悪役として登場している。

アクションとしてはとにかく主要人物は敵も味方も動ける人間が多く、案内役のオットーもムエタイを駆使した閉所での格闘シーンなど脇役にも見せ場はたっぷり。
ヒロイン役でもあるタイの美人女優ユイ・チラナン・マノカエムも主役が霞むほどのアクロバティックな格闘シーンを見せていて、実は本作中で最強なのでは?と思えるほどの覚醒ぶり。

もっさり系キックボクサーのドン・ウィルソンもかなりの衰えぶりは否めないものの回し蹴りや素早い相手へのカウンターなど奮闘はしており、特にクライマックスでは旧知の仲であるシンシア・ラスロックとの一騎討ちというレアな対戦が実現。
シンシアも得意の棒術でドンを追い詰めたりしてロートル同士の対決ではあるが、そこそこに見せ場は作ってくれている。

オーソドックスなドンのアクションに対しマット・マリンズは今が旬とばかりに鮮やかな回転蹴りやコンビネーションキックをみせていて、クライマックスでも同タイプの敵幹部との一騎討ちが熱い。
ポテンシャルもスコット・アドキンス級のアクロバットアクションでそのレベル自体は非常に高い。

また遺作となったジョー・ルイスも前半だけではあるが、巨体を活かしてアクションを披露。さすがに往年の蹴りは見せれないまでもアクション俳優としての最後の徒花は咲かせた感じである。

アクションはかなり力が入っている反面、ストーリー的にはツッコミどころも多く、唯一の証拠が殺されたにも拘らず、他に重大な情報を持つ人物があっさり出てきたり、キャラクターとしての背景も大雑把で感情移入はしにくい。
また、これだけ登場人物が猛者揃いにも関わらず、ラスボスのドラコはとくに何の特徴もなく、強さも何も感じ得ないのが惜しいところ。

やはりここまでアクション俳優たちを集めたのならばラスボスも相当な強敵でないと勿体ない気がする。
そしてシンシア対ドンの対決も良いが、実際一番いい動きをしていたユイ・チラナン・マノカエムにも強敵の一人でもいれば胸熱な展開もあっただろう。
個人的にはユイ・チラナン対シンシアの新旧女ドラゴン対決も見てみたかった気もする。

珍しいシンシア・ラスロックの悪役ぶりとまだまだ健在なドン・ウィルソン、そして次世代アクションスター、マット・マリンズのポテンシャルなど見る価値はあるものばかりなので意外にも掘り出し物といえる作品といえる。

評価…★★★★
(女医なのに格闘も無双なヒロイン、ユイ・チラナンにもっと活躍の場を(笑))

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