マーク艦長率いる宇宙鉱物調査隊ははるか彼方からくる信号をキャッチし調査のためにその星に着陸、調査を開始する。

かつて文明があったかのように思えるその星は廃墟と化していたが調査員の一人が奥部から見たこともない鉱物を発見する。
それを持ち帰ろうとした瞬間に鉱物は爆発を起こし、調査員は重傷を負い、パニックに陥った女性隊員が足を挟まれてしまう。

残りの酸素がなくなるなかで女性隊員は足を切断して逃げようとするが、簡易チェーンソーは運悪く大出血を引き起こして隊員は失血死をしてしまう。

救護室に運ばれた隊員は手当てを受けるのだが、瀕死の重傷の彼は反応もないまま。
他の隊員たちが今後を相談する最中に昏倒していた筈の男が急に暴れだし、船外へと逃げ出してしまう。

急いで数名の隊員が追いかけるのだが男は彼らに襲いかかろうとし反対に射殺される。
難を逃れたかと思われたがそこに異形の異星人が現れて次々と隊員たちを惨殺していく。
唯一残ったサンディーは酸素を奪われ昏倒してしまう。

気を失ったサンディーが目覚めた先は分娩台の上だった。
全裸にされたサンディーの周りにはあの殺人異星人が囲んでいた。
すると異星人はサンディーをレイプし彼女の股間に緑色の液体と卵のようなものを入れ込んでいく。思わず気を失う彼女。

そして目覚めると治療室にサンディーはいた。
夢とも現実ともつかないあの状況にサンディーは妄想だったと考えるのだが、その途端に激しい頭痛に襲われ意識を失う。
気がつくと彼女の側には内臓を抉られた隊員の死体が転がっていた。

実はサンディーの胎内にはあの異星人の子どもが宿っていた。
彼女は彼らに操られたかのように凶暴になり、次々と隊員たちに襲いかかっていたのである。

彼女の凶行を目の当たりにした隊員たちはサンディーを倒すためのチームをつくり彼女の行方を追うが、人間離れした力をもち酸素の少ないなかでも平気で動ける彼女の前に一人また一人と犠牲になっていく。

そしてお腹の子供に栄養を与えるかのようにサンディーは犠牲者の腹を裂き、その血肉をすするのだった。

遂にマークを含む3人だけとなった調査隊は何とかしてサンディーを倒すために爆弾を使った陽動作戦を実行するが、その間にサンディーは遂に双子の異星人の子供を産み落としていた。

マークはサンディーが自分達を探している間に廃墟の穴で見つけた異星人の子供たちを盗みだしサンディーを迎え撃つ。
女性隊員に子供たちを預け、負傷しながらもサンディーをようやく締め殺すマーク。
しかし戻った先で見たものは更なる惨劇であった…

エロティックさと残酷描写があいまったSF スプラッターホラー作品。

『エイリアン』の大ヒットをうけ、雨後の筍のごとく次々と宇宙を舞台にしたホラー作品が作られたが、異星人と人間の対決をベースにした模倣作品が殆どであり、殆どは低予算のため期待に沿うほどのものは少ない。

本作もその流れに便乗した作品のひとつでどこぞの冷凍庫の中を舞台にしたかのようなスタジオシーンが殆どで宇宙的な描写はほぼ皆無に等しい。

そしてSF ホラーなら外せない異星人の登場とその造形だが、殆どこれも出ておらず、一応本格的に姿を現すのは中盤のサンディーのレイプシーンとクライマックスに出てくる双子の異星人の赤ちゃんくらい。
その造形は何となく土偶っぽくてお世辞にもデザイン的には恐怖を醸し出すようなものではない。

本作の恐怖を牽引するのはエイリアンに操られているとされるサンディーである。
彼女を演じたジュディ・ギーソンは『いつも心に太陽を』などの青春映画のヒロインで活躍していたが、本作では全裸にレイプシーンと体当たりな演技をみせる。そして何より本作が怖いのはそのジュディの顔。

無表情から獲物を見つけたときに目をこれでもかとひんむき狂気の笑みを浮かべる姿は『シャイニング』のジャック・ニコルソンに匹敵するくらいの怖さで子どもならトラウマ級の表情。

さらに当時はスプラッターホラーブームの最盛期だったこともあり、操られているサンディーには食人嗜好を取り入れ、犠牲者の腹をとにかく裂いて内臓を取りだし頬張るというシーンをつけ加えている。

それは子どもにも受け継いでいるようでラストには女性の喉笛を貪る赤ちゃんという衝撃シーンもあり。
この辺りはひょっとしたら『悪魔の赤ちゃん』を意識しているところかもしれない。

低予算でSF として押しが弱いならとにかく残酷描写に力を入れようという姿勢は評価するが、冒頭の足切断で死亡は実質物語の本編とは関係ないので安易にその方向性に頼りきりという面も見えなくもない。

怪力とはいえ大人10人以上いるのにサンディーになすすべもない者ばかりというのもチープさに拍車をかけていてちょっと中弛みさせているもとともいえる。

公開当時はシネコンではなく他の作品との同時上映で公開されたのだが、この同時上映となった作品が後にスプラッターホラーの最高峰と称される『死霊のはらわた』。
当時小学生だったワタクシも劇場でこれを観たのだが、やはりこの作品で印象に残ったのはジュディ・ギーソンの顔だった(笑)

エイリアンものとしてはそのクリーチャー造形は残念な感じではあるが、ジュディ・ギーソンの八面六臂の活躍で彼女の狂気の顔だけでも十分に怖いと思える低予算ホラーである。

残酷度…★★★★

評価…★★★
(SF ホラーとしては残念だけどとにかく目をひんむいて腹を裂きまくるジュディ・ギーソンだけは怖い(笑))

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