次世代アクションスター、スコット・アドキンスのポテンシャルを最大に活かした忍者アクション作品。

日本の闇の歴史に暗躍する『忍者』。現代もいまだ息づく彼らはその超人的な身体能力を覚醒させる秘宝『鎧柩』を一子相伝代々受け継いでいた。

日本の甲賀流の流れを組む武田一族は次の後継者候補として孤児であったケイシーと一族出身のマサヅカをたてる。
総領の一人娘である波子はケイシーと恋仲関係であったが、ケイシーは今も自分を捨てた実母のことを想っていた。

継承者には甲賀流の秘宝である鎧柩が受け継がれる。
その伝説的な力に異様な執着心をみせるマサヅカは孤児出身のケイシーを激しく敵視していた。

後継者を決める模範試合当日。
マサヅカとケイシーは一騎打ちを繰り広げる。互いに一進一退の攻防を繰り広げるなかでマサヅカは殺意をもって試合中にケイシーを真剣で殺そうとし、試合は中断。
野心を見透かされたマサヅカは師匠から破門を言い渡され里を追い出されてしまう。

嘆くマサヅカはケイシーに怨みの念を見せ、里をあとにする。

それから数日後。
マサヅカは石油会社テンプル産業の暗殺者として暗躍していた。
裏では石油を使って世界征服を狙う『リング』と呼ばれるカルト教団を指揮する会社は石油輸出の独占を狙って敵対する会社や要人をマサヅカを使って次々と暗殺していたのであった。

マサヅカが去って数ヶ月。
武田流忍術の後継式典が取りなされていたが、そこに破門したはずのマサヅカが現れ、後継者の座と鎧柩を明け渡すように迫る。
その暴挙に反目する里の仲間たちを前にマサヅカは必ず奪うと言葉にしその場をあとにする。

マサヅカが鎧柩を奪いにくると察知した頭領はケイシーと波子に鎧柩をニューヨークの友人で学者のポールのもとに預け隠すようにいい、派遣する。

しかしその夜。
最新技術の忍者衣に身を包んだマサヅカが里を襲撃。頭領をはじめとする里の戦士全員が惨殺されてしまう。

連絡がとれないことで父がマサヅカに殺されたことを察した波子。しかしその連絡をみたマサヅカは鎧柩がアメリカに渡ったことを知り、テンプル産業を脅してリングの構成員たちに鎧柩の奪還とケイシーたちの暗殺を指示する。

突如襲ってきたリングの構成員たちによってポールや護衛に来ていた仲間たちが殺され、ケイシーと波子は脱出を余儀なくされる。
雨の街中をさ迷い安いホテルの一室に辿り着いた二人はその成り行きを静観するしかなかった。

この事件に動き出した警察は残されたパスポートからケイシーと波子が殺人事件の重要参考人として指名手配をかける。
近くのカフェで朝食をとろうとしていた二人は主人がリングの一員だったことから再び構成員たちの襲撃をうける。

地下鉄にまで追いかけてきた彼らを何とか撃退するも警官隊に包囲された二人はそのまま逮捕され警察での事情聴取をうけることに。
しかしあまりにも常識的には非現実すぎる内容に担当の刑事も相手せず時間は過ぎて行く。

その頃アメリカに辿り着いたマサヅカは二人が警察にいることを確認すると単独で襲撃。
次々と警察職員を斬殺していき、鎧柩の在処を知っているであろう波子を誘拐する。
手錠を引きちぎりマサヅカを追うケイシーだが最新兵器に身を包んだマサヅカの前には敵わず警察の介入もあって波子を奪還することに失敗するのだった。

監禁されるも頑なに鎧柩の在処を喋らない波子に対し、マサヅカは拷問を繰り返す。
一方でケイシーはマサヅカと対峙するためにリングのアジトであるテンプル産業本社に殴り込み、組織を壊滅させ総領である社長を人質にマサヅカとの交渉にでる。

鎧柩と波子の交換となったケイシーは大学に保管してあった鎧柩を運びだし、マサヅカとの対決のために伝説の衣に身を包みマサヅカとの決戦に挑む。
伝説の衣に身を包んだケイシーと最新兵器の忍者衣に身を包んだマサヅカとの生死をかけた死闘が始まるが、そこにリングの残党たちが乱入、さらに波子がマサヅカの作った毒薬の前に倒れる。

ケイシーは因縁の対決を制し波子を救うために戦うのだが…

ハリウッド随一の身体能力をもつスコット・アドキンスが挑んだニンジャアクションシリーズの第1弾。

ショー・コスギが大ブレイクした『燃えよニンジャ』以来、ハリウッドではニンジャアクションのジャンルは度々作られてきたのだが、その多くは間違った日本の歴史を認識させるような表現と空手主体のマーシャルアーツが注目であった。

現在もその傾向は基本変わってはいないが、さすがによく日本の歴史を研究されてきただけあって東京に金閣寺やその中に忍者部隊の特訓場があるなどといった無茶苦茶なことにはなっていない。

ただ往年の黒頭巾をかぶってのあの忍者姿ではなく、本作の忍者はかなり近未来的なデザインになっている。
一子相伝の鎧柩には忍者セットのような道具の他にその衣も結構重層でデザインも鎧のような感じになっている。
そしてマサヅカの忍者衣はさらに近未来的。
ボディスーツの上に幾何学的紋章があり、何といっても最新の暗師ゴーグルがついているというのが新しい。
スーツにはムササビのようなウイングもついていて滑空もできるなどおよそ忍者とは思えないパワードスーツのような感じにも思える。

アクションに関しては基本はマーシャルアーツ主体で主演を務めるスコット・アドキンスのポテンシャルを最大限活かしたようなアクロバティックでテクニカルな格闘アクションが炸裂する。

中盤での地下鉄内での閉所でのスピーディーな格闘シーンや終盤でのリングアジトにおける対集団での無双アクションはアドキンスの最大の売りをいかして鮮やかな回転蹴りの連続で魅せている。

そんなアドキンスの敵役となるのが伊原剛志。
あまり知られていないかも知れないが実は彼は千葉真一主宰のアクション集団『ジャパンアクションクラブ(JAC )』出身。
実はアクションも出来る人。
真骨頂である日本刀を使ったソードアクションは流石の迫力と凄みで主演を圧倒するようなオーラを魅せている。

しかし流石に体術主体のアクションとなるとアクロバティックなアドキンスと比べると分が悪い感じ。
クライマックスでは格闘よりもソードアクションが主だったのでこの辺りはアドキンスの良さが制限されている感じで勿体無い。

ヒロインの肘井美佳はカンフーが趣味で自らも大会に出るだけあってそのアクションもさまになっていて松葉杖を活かした棒術もなかなかの見応え。
ただ相手が巨漢のアメリカ人だらけでどうしてもパワー負けするシーンが目立ちその良さが伝わりにくいのが難点である。

ストーリーは単純明快で過去にもあった孤児出身の主人公と宗家出身の悪役との後継者争いの対立構図。
これは王道中の王道でショー・コスギの『ニンジャ2』や最近では『G.Iジョー』のスネークアイズとストームシャドーとの関係性にも使われている。
ハリウッドでも使われているということは意外性はないが安定して楽しめる背景ということだろう

総合的にはアドキンスらしいアクションに仕上がってはいるものの何かが足りないという感触。
アイザック・フロレンティーンとのタッグは安定しているが、ここはアドキンスに匹敵する体術の敵の一人くらいいればもっと評価は高まったかもしれない。

評価…★★★★
(ニンジャなのにマシンガンぶっぱなしたりと現代のニンジャも意外に柔軟対応です(笑))

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