アメリカのとある貧民街。
日常茶飯事で盗難や犯罪が繰り返されるこの地では行き場のないホームレスたちの凶悪犯罪も深刻であった。

自転車廃棄場の根城にしているホームレスの兄弟フレッドとケビンは廃棄工場の美人従業員の炊き出しやボランティアで生活しながらも兄フレッドは街中で酒を盗んだりしていた。

そんな中、街で酒屋を経営するエドは古びた倉庫の中から60年ほど前の謎の酒を大量に見つける。
商売用とはならないがこれをたった1ドルで売りに出すとその安さに釣られてホームレスたちが殺到し大騒ぎに。
そんなどさくさに紛れてその中から一本万引きしたフレッドは1ドル酒をもって逃げるが、途中で仲間のホームレスと話し込んでいるうちに別の老人ホームレスに酒を盗まれてしまう。

廃墟のトイレで早速その酒を飲む男。すると男は突如苦しみだしたかと思うと身体中が蛍光色の液体を出しながら溶け始め、どろどろになりながら骨と溶けた肉片を残して全身溶けて死んでしまう。

ホームレスの間ではブロンソンがリーダーとして君臨していた。元ベトナム帰還兵で腕っぷしが強く、精神的不安定な上に粗暴でキレると手がつけられない狂暴さでホームレスたちの犯罪も裏で指示していた。

自らも当たり屋をしようとしてその相手に因縁をつけそのまま殺害するなどの凶悪さでありながら報復を恐れて警察へ誰も仲間内からは通報しないほど貧民街での影響力は絶大であった。

悪徳刑事のビルはそんなブロンソンを逮捕することに執念を燃やしていて彼の犯罪の証拠を集めていたが、そんな彼にブロンソンにイビられたホームレスがいちゃもんをつけにくる。
ビルにも相手にされずふて腐れた彼は建物の踊り場であの酒を飲み始めるが彼もまた黄色い液体を撒き散らしながら溶けて死に、さらに下を通りがかったサラリーマン風の男の顔面に液体が直撃。
男も顔が硫酸のように溶けて死んでしまう。

近くにいたことでビルがこの奇怪な事件の担当となるのだが、ブロンソンに執着する彼にはその捜査をまともにするつもりなどなかった。

事件の進展が進まない中、ある夜。廃置場にいたフレッドは酔っ払った女に誘われ自分の寝床でセックスにふける。
早々にイッてしまい女をほっておいて帰るフレッド。しかしその二人の様子を覗き見していた他のホームレスたちが彼女を拉致し次々にレイプしてしまう。

数日後。河岸には裸となった彼女の遺体があがっていた。
実はこの女性は街のマフィアのボスの情婦であったことが判明。実行犯を探すためマフィアが動きだし、警察も動きだし始める。

マフィアのデュランは女がフレッドといたことを突き止め、彼に詰め寄る。
殺されそうになるがそこにあのビルが現れ、ビルはデュランと殴りあいしている間に逃げ出す。

デュランを返り討ちにしたビルはホームレスたちが情婦殺しの犯人として、それを証拠にブロンソンを逮捕しようと彼のアジトへと向かう。
しかしビルはブロンソンの囲う情婦によって背中を手製の骨のナイフで刺されてしまう。
手負いのビルはブロンソンを逮捕しようと格闘するも重傷のハンデは大きく、ビルはブロンソンに絞め殺されてしまう。

一方、踏んだり蹴ったりのフレッドはエドの酒屋であのボトルを買うのだが、飲もうとしたときやはり同じ酒を買って玄関先で飲んでいたホームレスが酒を飲んだあとに爆発して死んでしまう。

半信半疑な彼は日頃から犬猿の仲であるホームレス仲間のウィリーに買ってきた酒を飲ませるのだが、その瞬間彼は穴という穴からどろどろになった血や内臓を撒き散らしながら溶けて死んでしまう。

殺人酒を買ったことに驚いたフレッドは急ぎエドの店に駆け込むが、そこにいたのはやはり酒を飲んで顔が溶けていたエド自身であった。

一方その頃、仲間からあの酒をもらったブロンソンはそれを飲もうとするが情婦にとられてしまう。
一口飲んだ情婦は突然もがきくるしみだし、どろどろに溶けて死んでしまう。
その光景に呆気に取られるブロンソンであった。

兄がいなくなった廃置場では以前よりケビンに好意をもっていた女従業員たちがケビンを誘惑。それに興奮したケビンは童貞を捨てようと彼女としようと勤しむのだが、そこに錯乱状態のブロンソンが乱入してくる。

歯止めの効かないブロンソンは容赦なくケビンや従業員に襲いかかり、そのうさをはらすべく執拗に追いかけ回す。

クスリの影響によりひたすら暴れまわる彼にケビンはついに決闘を決意するが力の差は歴然。
そこに逃げ回っていたフレッドも弟の危機に参戦。
酒を浴びたブロンソンは顔が半分溶けかかりながらも怪力で二人を追い詰めていく。

果たして兄弟はブロンソンを倒せるのか?
そして謎の殺人酒の正体とは?

一部の間ではカルト的人気をほこるエログロスプラッターホラーの珍作品。

80年代から90年代にかけてホラー映画のなかでもとりわけ異彩な配給会社があった。
それが後に『悪魔の毒々モンスター』で世界的に注目をあびる『トロマ社』である。

低俗で汚ならしく、そして激しい残酷描写を基軸にした作品群は一部のホラーマニアの間では絶賛され、低予算ホラーの金字塔を打ち出していた。

本作は正式にトロマ社が発足する前、黄金期を支えたスタッフや制作者たちが集って作られた作品である。

はっきりいってストーリーらしいストーリーというものはなく、勢い任せで描いた感じ。奥行きはないがパワーはみなぎっている感じだろうか。

当時は血しぶき舞うスプラッターホラーが全盛期であったが、本作はそのなかでも群を抜いて汚ならしさや残酷描写が激しく公開当初に見事に成人指定をくらった曰く付きである。

もちろん残酷さだけでなく、エログロさもこの規制を入れた要因のひとつと思われ、冒頭の万引きしたフレッドを追いかけるコントのような追跡シーンではラブホテル乱入場面で男女ともノーモザイクの素っ裸シーンが乱舞。男女ともなのでヘアーはもちろん男性のイチモツもきっちり描かれている。

そんな低俗で下品なシーンは中盤でなんの脈絡もなく始まるホームレスの千切ったイチモツを使ったラグビーやフレッドとの行為のあとに複数のホームレスたちに暴行される情婦など今では間違いなく規制されるシーンも満載。

そして胆となる残酷描写はとにかくグロさを追求したかのようなもので、ハイライトとなるのは酒を飲んだ人間が次々と溶けていくシーン。
まるでたくさんの絵の具を混ぜ合わせたような汚ならしい色の液体を吹き出させ、まるで臭いたつような凄惨な死に様が連続する。

ひとくちに人間が溶けるといっても様々で、噴き出す体液の色も蛍光色だったり、紫とも緑ともつかない色だったりととにかく視覚的に衝撃の強そうな色を噴き出しながら崩れ落ちて朽ち果てる姿がインパクト大。

また溶けるだけでなく、粉々に爆発したり、噴射するボンベで胸ごと首チョンパしたりなどなかなかにエグい描写も多く、さすがは後に低予算残酷ホラーの雄となるトロマを感じさせる。

一応のストーリーはあるものの前述したようにあくまでそれは骨組みのようなもので見せたいのはパワフルかつトラウマ的な勢いある残酷描写とエロそのもの。

欲望を具現化したような本作品には不思議なパワーと魅力が感じられ、単なる低予算のチープ作品としては片付けられない底知れぬ何かを感じざるを得ない珍作品である。

残酷度…★★★★★

評価…★★★★
(とにかく下品で低俗で残酷。しかし何か捨て置けないパワーがあるカルトホラーの珍作品)

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