中国の古典的小説『楊家将演義』をもとに作られたかなり荒唐無稽な歴史アクション。

宋の時代。武功誉れ高い楊家は南蛮の殷奇軍と戦っていたが、当主だった楊宗保は進軍するも孤立し生死不明となる。

度重なる戦いで男は宗保の息子文広ただ一人。しかし朝廷はその息子にも南蛮討伐のための出兵命令を下す。

残された宗保の妻穆桂英ら楊家の女性たちは楊家最後の跡取りを絶やすまいと太后以下総出で文広と共に出陣する。

しかし強大な南蛮兵や未熟がゆえに血気にはやる文広の勝手な行動で楊家の女将軍たちは次々討ち死にし、戦いの最中に敵将と谷底に落ちた文広も行方不明に。
そして軍を指揮する穆らも危機に陥る。

一方辛くも命をとりとめた文広は辺りを旅する遊牧部族の一団に助けられ、そこで死んだはずの父宗保と再会する。
宗保は文広から楊家の危機を知り、彼女らを助けるために文広や世話になっている部族たちと共に救援に向かう。

一方で多大な犠牲を払いながらもなんとか敵の黄土城に陣取った楊家の女性軍たち。
宋軍の援軍も期待できないなか、合流を果たした宗保らと共に軍を指揮する穆は城を基地として壮絶な籠城戦を決意する。
大軍を率い強大な南蛮軍を前に楊家は最後の決戦に挑むのだが…

元はショウブラザーズの傑作『14アマゾネス』。これをジャッキー・チェンが製作総指揮し、大胆リメイクして話題になった作品。

大長編の原作であるが、本作の物語は原作本編ではおよそ『南蛮征伐編』と『山賊討伐編』のミックスと思われる。

しかし元の話が分からないほど話は荒唐無稽になっていて、骨子となるストーリー展開よりも登場する人物たちの派手な散り様やアクション、奇想天外な戦術作戦などのスペクタクル要素を最重要視した作品となっている。

本作の胆となるアクションは豪華絢爛な甲冑に身を包んだ女優陣がかなりがんばってくれている。
主演の美人女優セシリア・チャンをはじめ、出演する女優たちはトレーニングを積んだだけあり、斬馬刀などの大きな武器を振り回してみせるアクションはワイヤーの多大な助けはありながらも見応えがあるものには仕上がっている。

また注目すべき点はその豪華な出演陣の面々でセシリア・チャンのほか香港の名だたる美人女優たちが介しているのも見所。
さらに『大酔侠』など元祖ショウブラザーズの格闘女優チェン・ペイペイのほか、楊家の女将軍の一人で日本出身の格闘女優大島由加里も出演し、年齢を感じさせない見事な剣さばきを披露している。

ただ膨大すぎる出演者と登場人物のため、誰が誰なのか顔と人物が一致しないまま展開が早く物語は進行するのでせっかくの彼女らの活躍も全体的には非常に薄味な感じになってしまっている。

また主役穆桂英のセシリア・チャンと宗保役のリッチー・レンのロマンスは物語上必要ないとも言えないが、入ったことで物語は間延びしてしまった感は否めない。
さらにバカすぎる息子文広の勝手な行動にイライラさせられる場面も。
本来彼のアホさがなければ無駄死にする女将軍も少なかったのではと思えなくもない。

このようにツッコミどころ満載な上に、豪華な衣装と派手な集団戦闘にこだわったが故に13億という規格外な予算を投じられた本作だが、評価は本国でふるわず惨敗したという。
まぁ邦題からして『女ドラゴンと怒りの未亡人軍団』というまるで昼下がりの日活ポルノ映画のようなムチャクチャなものがつけられているので原作にある壮大な物語と重厚さを期待するのは酷だろう。

そもそも表題にある女ドラゴンはどこにいるのか?
ひょっとして過去に女ドラゴンとして活躍したチェン・ペイペイや大島由加里らのことだろうか。

そう思うとこの邦題をつけたライターのセンスすら怖くなってくる(笑)

ジャッキー製作らしく最後はNGシーンでまとめていることからしても娯楽性にだけは富んでいるようで、本作はとにかくワイヤービュンビュンで飛び回る女優たちのアクションと金かけて頑張った戦闘シーンをポップコーン片手に見るのが正しい楽しみ方なのかもしれない


評価…★★★
(大島由加里の扱いが酷いな…(^^;))

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