黒い中学生、ウェズリー・スナイプスを本格ブレイクに導いたアメコミ出身のホラーアクションシリーズ第二弾。

宿敵フロストを倒してから数年。
ヴァンパイア一族の宿敵であるブレイドは吸血鬼として敵に連れ去られた相棒ウィスラーの足取りを追っていた。

同じ頃、ロシアの血液銀行に青白い顔をした男性があらわれる。
ヴァンパイアたちはノーマックと呼ばれるその男を拘束し血を抜き取ろうとするが、彼は突然凶暴化し、居合わせたヴァンパイアは全滅してしまう。

その一方でブレイドは遂にウィスラーが囚われているとされる隠れ家を発見。
周囲のヴァンパイアを殲滅し、彼を助け出すがウィスラーはウィルス抗体液に浸けられていてヴァンパイア化が鈍っていた。
アジトへと連れ帰ったブレイドは自身も使う抗ウィルス剤を投入し、新しい相棒スカッドの止めるのも聞かず人間に戻すことを試す。

夜が明け、ウィスラーは太陽の光には反応はしなくなったもののヴァンパイアたちに囚われていたことによる不信感は残ったままであった。

新旧の技術者によるひと悶着もつかの間、アジトにヴァンパイアの侵入を知らせる警報が鳴り響く。
ウィスラーやブレイドが応戦に出るがかなりの手練れで紫外線光に対する対策もたてており、ブレイドと同等の戦いを繰り広げる。

ブレイドの前に現れたのはヴァンパイア界の女戦士ニッサであった。
彼女らはブレイドに休戦協定を持ちかけてきたのであった。
半信半疑なウィスラー達をよそにブレイドはあえて敵地を知るためその誘いに乗ることにするのだった。

彼を出迎えたのはヴァンパイア界の当主であるダマスキノス。ニッサは彼の娘であった。
ダマスキノスから告げられたのはブレイドに対する感謝ととある依頼であった。
ヴァンパイア界で突然変異として生まれた新種の『死神族(リーパーズ)』。人間だけでなくヴァンパイアをも餌とする狂暴な種族が逃げ出し、増殖していることからその討伐の依頼であった。

ブレイドには強敵であるリーパーズ打倒のため密かに選出された特殊部隊『ブラッドパック』が配下として加えられる。
彼らは元は対ブレイドのために結成された戦闘力の高い面々でニッサはそのリーダーとして君臨していた。
仲間とはいえ敵意を隠しきれない面々。特に副リーダー的存在のラインハートはその憎悪にも近い敵意を剥き出しにし挑発するのだった。

ヴァンパイアを餌とするリーパーズにとって彼らが集まる場所を探ることにしたブレイドたち。ヴァンパイアの秘密クラブに潜入した彼らは踊り狂うヴァンパイアたちを尻目にリーパーズの存在を探す。
そんな中、ブラッドパックの面々に近づくリーパーズ達を発見。
阿鼻叫喚の混乱の中で死闘を繰り広げるなかで苦戦するブレイドたち。そしてニッサにはあのノーマックが近づいていた。

ノーマックを見つけたブレイドは戦いを仕掛けるがその力はブレイドをもってしても互角であり日の出により痛み分けとなる。
虚をつかれたブレイドたちは仲間を数名失うも彼らの弱点が紫外線光でその住みかが下水道であることを発見する。

想像以上に勢力が拡大しているリーパーズを一掃するため、ブレイドたちは彼らの住みかごと紫外線爆弾で葬るという作戦を遂行することにする。

アリの巣のように張り巡らされた下水道をチームを分けて進むブレイドたち。
しかし先の戦闘で負傷したメンバーの一人がリーパーズ化して同士討ちとなり、ラインハートはブレイドを陥れるために一緒になったウィスラーを痛めつけてリーパーズのエサにしようとする。
そしてニッサと合流しようとするブレイドにもリーパーズの集団が迫ろうとしていた。

そんな中で取り残されたウィスラーに迫ったノーマックは衝撃の事実と真の黒幕を彼に告げて立ち去る。

仲間たちが次々と倒れるなか、ブレイドはニッサたちを逃がし、自らを囮にしてリーパーズの集団を紫外線爆弾で一網打尽にする。
こうして犠牲をはらいながらもニッサと共に下水道を出ようとしたブレイドだったがそこに複数の部隊が襲いかかり彼を電撃によって失神させ、何処へと運ばれる。

目覚めた先は血の噴水がわくダマスキノスの居城であるビルの広場であった。
全てはダマスキノスが仕組んだ罠だったのである。
それはニッサも知らなかった真実であり全てはヴァンパイアの進化のための実験の一環であった。そしてあのリーパーズもまたダマスキノスが生み出したモンスターであり、ノーマックは彼の息子であった。

さらにスカッドがダマスキノスのスパイであったことが判明。ブレイドは弱りながらも彼に制裁を与えるのだが、反撃もむなしく彼はより完璧なヴァンパイアモンスターの実験のためにブレイドから不死の血液を取り出そうと特別な装置に閉じ込められ、囚われてしまう。

隙をついて逃げ出したウィスラーはブレイドを助けるため彼の刀をもって逃亡を図る
一方ブレイドは因縁のラインハートによって瀕死に陥っていたが、ウィスラーの機転によって血のプールにおとされたブレイドは完全復活をとげ、ラインハートらを瞬殺する。

その頃、単身ノーマックはダマスキノスを狙って殴り込みをかけていた。
それを知ったダマスキノスは逃亡を図るのだが実の娘をも野心の道具にし、更にノーマックが自分の兄だと知ったニッサによって妨害され、駆けつけたノーマックによって喉を食いちぎられ死亡する。

そして、ニッサをもその毒牙にかけようとしたときにブレイドが再び立ちはだかる。
ヴァンパイアを超越したもの同士でありながらその生存をかけて激突する二人。果たして生き残るのは…

ウェズリー・スナイプスの代表作となったヴァンパイアアクションシリーズ続編。

アメコミを原作にスナイプスがその版権を買い取るほどいれこんだ『ブレイド』シリーズ。
前作ではそのスタイリッシュなアクションとけれんみたっぷりのスナイプスの役作りが功を奏し自身のフィルモグラフティのなかでも最大のヒットとなったが、その期待を背負うかのようにスナイプス自らプロデュースも手掛けた続編はある意味前作以上の意気込みに満ちた作品ともいえる。

ストーリーや設定面にはファンタジーホラーやクリーチャー造形にも定評のあるギレルモ・デル・トロを迎えて世にも奇怪で醜悪なリーパーズが暴れまわる描写が秀逸。
アゴから二つに割れて食虫花のようなもので犠牲者の喉元を食らいつく姿は子ども心であればトラウマ必至の場面となるだろう。

そして何よりシリーズ最大のテコ入れとなるのがアクション面における武術指導にドニー・イェンが参加していること。
前作も立ち回りの速いスナイプスの格闘シーンは素晴らしかったが、今回はそこに独自の香港アクションテイストが加わり、よりスピーディーにそして派手になった。

それを最もよく表しているのが、冒頭のウィスラー救出シーンにおける格闘シーン。
ここでのスナイプスに蹴られたヴァンパイア役のスタントマンが見せているのが香港アクション名物の『香港スピン』。
ジャッキー・チェンが最初に見せたより痛みと派手さを表すスタント技として今では香港アクション作品ではスタンダードとなっているが、これがハリウッドでも見られるというのは感慨深いものがあり、さすがはドニーという感じである。

そんなドニー・イェン自体も本作では台詞がないながらもスナイプスの仲間となるヴァンパイアチームの一人として出演していて、出番こそ少なめではあるが、リーパーズ相手に名刺代わりの跳び三段蹴りをみせ、マッハの日本刀アクションでインパクト十分の活躍をみせてくれている。

ホラーとしては血生臭いシーンはそこまでなく、やはりアクションを主体とした作りになっているのは明らか。

そんな作品の肝となるのが主人公スナイプスのアクション。
前述したようにドニー・イェンという強力すぎる指導が加わっているので前作よりもそのスピードは目を見張るものとなっている。

派手な大技を少なめにし、確実に相手を破壊する拳と蹴りの連続技などこれも総合に傾倒するドニーの影響だろうか、スナイプスをしてテクニカルに、見えるのが流石である。

ただ、ド派手な見せ場も忘れておらず、血のプールから復活したブレイドが敵意むきだしの後のヘルボーイ、ロン・パールマンを目の前でブレーンバスターかますなどなかなか格闘シーンとしても珍しいシーンがあるのが特徴的。

事実上のラスボスを演じるルーク・ゴスも香港アクションでミシェル・ヨーと激突するなどアクション面での引き出しやポテンシャルは高く、クライマックスでみせるスナイプスとの一騎討ちはワイヤーやCGの恩恵こそあるもののなかなかに見ごたえのあるものとなっている。

こうしてアクションにおいては及第点クラスの上出来具合であるが、設定としては多少場当たり的なものも多く、勿体ないと思える場面もある。
意外性を求めるようで実は先が読める展開というのもあり、サスペンス要素としてはイマイチか。

また現在大ヒット中のテレビドラマシリーズ『ウォーキングデッド』シリーズで主役以上の人気を誇るダリル役のノーマン・リーダースが出演していて、何とスナイプスの新しい相棒として出演。
彼の動きもファンとしては気になるところだろう。

ギレルモ・デル・トロとドニー・イェンという才覚の恩恵によりシリーズとしても前作を越えるヒットとなった本作。
今回も内蔵を揺り動かすようなトランステクノの楽曲が冴え渡り、目でも耳でも楽しめる内容は嫌が上でも次回作への期待を高めることになるであろう。

ブレイドの世界観を最も表した作品という評価もあり、単独で観たとしてもスナイプス作品として満足できる作品であることは間違いない。

評価…★★★★
(まずはドニー流に味付けされたスナイプスアクションが素晴らしい。)

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