1999年に初のシングル「夕焼けのメロディー」をリリースしてから今年で20年。Scoobie Doは、長くにわたって着実に支持を集め、新潟でも繰り返しライブを行ってきたバンド。R & Bと呼ばれるブラックミュージックの影響を強く感じさせながらも、日本で暮らす人々に抵抗なく受け入れられる曲を生み出し、そのオリジナリティーを確立してきました。その独創性は、どうやって生まれてきたのでしょうか? 

ボーカルを担当するコヤマシュウさんは、次のように語ります。

 

「バンドを始めるとき、僕らはアメリカのR & Bというより、その影響を受けた1960年代のイギリスのミュージシャンや、そのイギリスの人たちにならった日本のバンドに憧れていたんです。だから、最初に直接、僕らを触発してくれた日本の先輩のバンドからさかのぼって、イギリスのバンドを経由してから、初めて長い歴史を持つホンモノのR & Bに目覚めていったというのが、本当のところですね」

 

彼らが影響を受けたという60年代のイギリスのバンドの中でも、それを代表するスタイルの1つである「MODS(モッズ)」と称された人たちの音楽を目指すことで、自分たちの個性ができ上がっていったといいます。

 

「モッズのバンドは、ほとんどが僕らと同じように4人とか多くても5人の編成なんです。それで、管楽器やピアノなんかもたくさん加わっているR & Bの曲を無理を承知で、何とか模倣することから自分たちの音楽を作り上げている。なんで、そんなことができたかというと、これは『気合』なんだと(笑)、僕らは思ったんです。楽器の種類も数も足りない代わりに、少人数でそれぞれが頑張る。ギター、ベース、ドラム、僕の場合ならボーカルで、音楽に必要な部分を気持ちで埋めていったんです。それを続けていくことで、僕らなりの音楽の作り方、ライブのやり方が固まったんだと思います」

 

優れた歌唱力を持つシンガーの歌を最大限に生かすために、大編成のミュージシャンたちが躍動感のあるリズムを打ち出して盛り上げるR & Bをそのまま模倣するのではなく、その躍動感だけに焦点を合わせて、自分たちなりのやり方で、活力を感じさせる音楽を生み出していく。そうやって現在のScoobie Doの音楽が完成したようです。

 

「R & Bを真似たいなら、管楽器や鍵盤楽器ができるメンバーを加えればいいわけです。でも、僕らはそうしたくなかった。少人数でR & Bに挑んだモッズの人たちの精神性に近づきたかったんです。それがカッコいいと思ったんですね(笑)。音楽の形というよりも、精神的なことを目標にしたから、その結果として、音楽的には、R & Bの枠からも、モッズの枠からも、自由になれた。それでScoobie Doだけの音楽が生み出せるようになったんだと思っています」

 

バンドが音楽的に自由になれたために、どんなことにでもチャレンジできるようになりました。代わりに、新たな曲やアルバムを作るたびごとに、試行錯誤を繰り返すことが必要になって、それは今でも続いているといいます。

 

「精神性という、いってみれば抽象的なことを目標にしたから、僕らの音楽としての具体的な完成形は、今でもないんですよ。だから、新しい曲を作るとき、アルバムを作るときは、その都度、自分たちがベストだと思えるもの、そのときに最高だと思えるものを、トライ&エラーを続けて、作り上げています。もちろん、作ったときの時代の流れや世の中の空気の影響は自然に受けているし、意識もしているんですけど、その中で最新のアルバムまで、一貫したことがあるとすれば、それは『踊れて泣ける』ということですね。僕らの曲を聴いてくれる人が踊れるビートと、心の琴線に触れて泣けるメロディーと歌詞がある。それさえあれば、Scoobie Doの音楽になると、今では信じられるようになりました」

 

 

「言葉で説明できることを、僕らは目指してはいない」(次のページへ)