前回の記事“特定技能で入管法違反が増える!?”では、“特定活動”による入管法違反事案が増えていることを書きました。
“特定活動”はよく分からない在留資格ではないでしょうか。そこで、今回は“特定活動”とはどのような在留資格なのかを書きたいと思います。
| “特定活動”ってなに?
、“技術・人文・国際業務”などの就労系資格、“日本人配偶者等”などの身分系資格と以外の“その他の活動”を行う在留資格です。インターンシップやワーキングホリデー、外国人看護師・介護福祉士候補者などが該当します。個々の外国人について法務大臣が特に指定する活動とされています。
“特定活動”には、入管法に規定された特定活動、告示に規定された特定活動、告示に規定されていない特定活動の3種類があります。
それぞれどのようなものなのでしょうか。
| 入管法に規定された特定活動
入管法に規定された特定活動は、言葉どおり、法務大臣の告示ではなく入管法に規定されています。次の3つの活動があります。
1 特定研究等活動
特定の分野の研究、研究指導、教育をする活動やこれらに関する事業を経営する活動です。高度専門職の一つで、高度専門職一のイにあたります。
2 特定情報処理活動
業法処理にかかわる業務に従事する活動です。高度専門職の一つで、高度専門職一のロにあたります。
3 特定研究等家族滞在活動、特定情報処理家族滞在活動
上の“特定研究等活動”や“特定情報処理活動”を行う外国人の扶養を受ける配偶者や子が対象です。
| 告示に規定された特定活動
告示に規定された特定活動は、入管法で規定された在留資格“以外で”法務大臣が告示として指定した活動です。よくある特定活動を告示という形で公にしています。2018年の告示で43種類の活動が指定されています。その中の主なものを6つだけ紹介します。
1 ワーキングホリデー
日本で一定期間の休暇を過ごす外国人が、その間の滞在費を補うために就労することを認める制度です。申請時に18~30歳で、子供の同伴がないことなどの条件があります。
2 インターンシップ
外国人の学生が就業経験を積むために企業で働く制度です。日本人の学生でもよくあるインターンシップの外国人バージョンですね。1年以内などの条件があります。
3 サマージョブ
外国人の学生が夏季休暇などを利用して日本企業で働く制度です。インターンシップとの違いは期間が3ヵ月以内であること、単位の取得が条件ではないことです。
4 外国人建設就労者
2020年の東京オリンピック・パラリンピック関連施設の整備などによる一時的な時限措置です。2020年度で終了します。2015年4月から受入が始まっています。
5 外国人造船就労者
造船業の救済措置のための時限的措置です。こちらも2015年4月から受入が始まっています。
6 製造業外国従事員
外国にある日本企業の事業所の職員が来日して、生産施設の中心的な役割を果たすための技術や知識を身につけるための制度です。国際競争力の強化と空洞化の対策が主な目的です。
| 告示に規定されていない特定活動
告示で指定されていない活動を認める在留資格です。あまりにも多岐にわたりますので、よくあるケースを4つだけ挙げたいと思います。
1 就業先が決まっていない外国人卒業生(留学生)の就職活動期間
こちらはよくあるパターンです。優秀な留学生を逃さないための救済措置です。
2 在留資格の更新が不許可になった場合の出国準備期間
在留資格の更新が不許可になると出国しなければいけませんが、出国準備のための期間だけは特定活動として在留資格が与えられます。
3 外国から呼び寄せた親
一部の在留資格を除いて親を呼び寄せることはできません。通常は観光などの在留資格である短期滞在で在留することが多いです。
4 人道的な配慮が必要な場合
難民認定までの在留資格として利用されているようです。
| まとめ
1 特定活動は高度専門職やワーキングホリデーなどが該当!
2 卒業済みの留学生の就活期間も特定活動!
3 親を呼び寄せることは基本的にはできません!