近年は診療所が増えてきています。“診療所”はベッド数が19床以下の医療施設です。20床以上は“病院”になります。近所にあるかかりつけ医の多くは診療所が多いですね。入院施設がないところも多いです。診療所は全国におおよそ10万施設あります。
| 診療所開設の3つの基本的な手続き
診療所を開設する手続は個人と法人で異なります。法人の場合には個人にはない手続きもあります。
1 個人の診療所
まずは個人の診療所から。
個人の診療所を開設するには、保健所に“開設届”を提出します。これは“届”ですから、拒否されることはありません。提出すればOKです。提出時期は診療所を開設してから10日以内です。
次に、保健医療を行う場合には“保健医療機関指定申請”を行います。自由診療しか行わない美容外科では申請をする必要はありません。提出先は厚生局です。毎月締切日がありますのでご注意ください。
保険医療機関指定申請をすると、実地検査が行われます。厚生局の役人が来て、チェックをします。開業後に行われるもので、ほぼ指導といってよいもののようです。
(1)開業
(2)開設届
(3)保険医療機関指定申請(実施検査あり)
2 法人の診療所
法人が診療所を開設するには、前提として医療法人化をする必要があります。医療法人の申請は都道府県にします。基本的には、ヒト・モノ・カネの3要素の要件があります。
簡単に言いますと、ヒトは医師(理事長や院長)、モノは診療所と医療機器、カネは2カ月分の運転資金です。
医療法人としての申請が終わりましたら、設立登記をして法人化が終了です。
法人化が終わりましたら、開設前に保健所へ“開設許可申請”をします。開設の1~2週間前には申請をしておく必要があります。書類審査のみで実施検査はありません。
次に、個人と同じく保健所へ“開設届”を提出し、厚生局へ“保険医療機関指定申請”をします。
| その他の手続き
基本的な手続きは、開設許可申請、開設届、保健医療機関指定申請の3つですが、それ以外にも医療機器や対象患者によっていろいろな手続きがあります。
1 診療所使用許可申請
保健所、有床の場合
2 診療用X線装置備付届
保健所
3 生活保護法指定医療機関指定申請
福祉事務所
4 母体保護法指定医師指定申請
地区医師会
5 労災保険指定医療機関指定申請
労働基準監督署
6 麻薬管理者・施用者免許申請
保健所
7 健康保険・厚生年金保険の各種手続
公共職業安定所・年金事務所、従業員を雇用する場合
8 労働保険の各種手続き
労働基準監督署、従業員を雇用する場合
9 個人事業の開業届
税務署、開業から1か月以内
10 給与支払事務所等の開設届
税務署、開業から1か月以内
11 源泉所得税の納期の特例に関する申請
税務署、適用を受ける月の前月末日まで
12 青色申告承認申請
税務署、開業から2カ月以内
まだまだ色々とあります。医療機関としての手続きだけなく一般的な開業時に必要な手続も必要ですから、かなり多くの手続きが必要になります。
どのような手続きが必要なのかを知りたい場合には、行政書士へお尋ねください。
| まとめ
1 基本的な手続きは3つ!
2 法人化にはヒト・モノ・カネが必要!
3 基本手続以外にも様々な手続が!