2020-01-18
ー原発の停止で数万人の生命が失われたー
テーマ:ブログ
広島高裁は四国電力の伊方原発3号機の運転の差し止めを認める決定をした。
電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)は17日、「極めて残念。エネルギー資源に乏しい我が国において、地球温暖化問題の対応などで原発が果たすべき役割は大きい」と話した。
運転を禁じる司法判断は、平成29年の広島高裁仮処分決定以来2回目。
伊方3号機は現在、定期検査のため停止中で、4月27日に営業運転に入る計画だったが、今回の決定で見直しを迫られるのは必至で、原発再稼働を進める国の方針にも影響しそうだ。
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ー原発の停止で数万人の生命が失われたー
池田 信夫 アゴラ研究所所長 学術博士(慶應義塾大学)
アゴラ 2020年01月17日 17:41
オクスフォード大学のウェブサイトは、医学的データにもとづいて「ほとんどの人の信じるのとは逆に原子力はすべての主要なエネルギーの中でもっとも安全である」と書いている。
発電量1TWh当たりの死亡率
この図はMarkandya-Wilkinsonのデータにもとづいて、1TWh発電するときの直接被害(大気汚染や採掘事故や放射線被曝)で、本来の寿命より早く死ぬ人数を比較したものだ。
それによると褐炭の火力発電で32.72人、普通の石炭火力で24.62人、石油火力で18.43人死ぬ。そのほとんどの原因は大気汚染である。原発の放射線で死ぬのは0.07人である。石炭火力は原発の350倍危険なのだ。
これは別のデータでも裏づけられる。WHOによれば、2016年に屋外の大気汚染で(癌や呼吸器疾患によって)死んだ人は全世界で420万人。その最大の原因は化石燃料の燃焼による微粒子(PM2.5)で、石炭(発電や暖房など)によって毎年100万人以上が死んでいると推定される。
そのうち日本では年間6万人が大気汚染で死んでいると推定されるが、原発の停止で化石燃料の消費が20%以上増えた。特に引退していた古い石油火力や石炭火力を動かしたため、大気汚染は悪化した。正確な推定はできないが、この9年間の原発停止で増えた大気汚染の死者は少なくとも数万人だろう。
呼吸器疾患の患者が何人死んでもニュースにはならないが、原発を止めた裁判官は「正義の味方」としてマスコミにほめてもらえる。今回の決定をした森一岳裁判官のような定量的にものを考えられない文系オヤジが、多くの人命を奪ったのだ。
原発の停止で数万人の生命が失われた
http://agora-web.jp/archives/2043834.html