さっちゃん 空を飛ぶ

認知症で要介護5の妻との楽しい日常を 日記に書き留めたいと思います

さっちゃんと一日中一緒にいると、心が休まり静まる時がありません。僕の心は小さな引っ掻き傷だらけになります

2020-04-02 23:54:02 | 気分や思い
今日は月の第一木曜日。
先月に続いて今日も失語症の方々の集まりはありませんでした。
新型コロナウイルスの影響です。

と言うわけで、一日中さっちゃんと二人だけで過ごします。
さっちゃんは一人で静かに過ごすことが出来ません。
つまり、読書をしたり、音楽を聴いたり、テレビを観たり、何でもいいのですが何かに心を向け続けることが出来ないんです。
じゃあ何をしてるかと言えば、僕に心や言葉を向け続けるんです。

今この瞬間(夜の10時10分)も、隣りの部屋の布団の中からさっちゃんの喋る声が聞こえています。
さっちゃんは起きている間、ほとんどの時間喋り続けています。
それが大抵僕に向けられているんですね。
時々、僕が何らかの返事をしなければならない内容になるので、そんな時にはちゃんと返事をしなければ、しこたま怒られます。
僕がテレビを観ていても、新聞を読んでいても、PCチェックをしていても、関係なく僕に対して喋り続けるんです。
もちろん、その喋りの内容はさっぱり分からないんですが、その気分はわりと分かります。
つまり、楽しい気分なのか、怒ったり文句を言ったりしてるのか、それとも不安なのか。
あと、怒りや文句の矛先が僕に向いているときもよく分かります。
「あんた」という言葉が途中に幾度も入って来るからです。
しかも、僕に対する怒りや文句のパターンは比較的多くの時間を占めてもいますね。

ずう~っと僕の目の前で言い続けられると、たまったものではありません。
そな場から離れて、別の場所に行っても、さっちゃんは付いて来ます。
ベランダに出ても、窓から僕を見ていて、時々ドンドンと窓を叩くんです。
家の中でさっちゃんから逃れられる場所はありません。

例えば、布団の中に潜ってしまっても、布団を剥がそうとされたり、逃げられないことは一緒です。
ますます僕への反感が強まるだけ。
トイレに入っても、結果は一緒です。
僕はいつもトイレに入ると内側から鍵を掛けます。
そうしないと、さっちゃんはトイレの中に入って来るからなんです。
じゃあ、鍵をしてると平穏かと言うと、そんなことはまったくありません。
外から取っ手をガチャガチャと回したり引っ張ったり、壊れそうなほど必死で開けようとします。
小用の場合はまだ時間が短いのでいいんですが、そうじゃない時には心落ち着いて過ごすことも出来ません。
「向こうで待っててね」と何度お願いしても通じません。
トイレから出ると、僕の顔を見たさっちゃんは長年探し続けた人にやっと会えたような表情を一瞬だけ浮かべます。

比較的落ち着けるのは台所にいる時でしょうか。
でも、やっぱりしょっちゅうそばに来ます。
ただ立って僕のそばにいるだけのこともあるんですが、何かをやろうとすることの方が多いですね。
さっちゃんなりに気になるんでしょうね、食器やスポンジに触ったり、ゴミや汚れを何とかしようとしたり、
狭い台所の僕の背中側から越えて、ガスレンジの方へ行ったりもします。
レンジにかかってるフライパンや鍋が気になるんでしょうね。
何度もふたを開けて中を覗いたり、時には混ぜようとしたり、火を止めたりもします。
安全なときは混ぜるのを手伝ってもらうこともたまにはあります。
(炒め物を混ぜる作業も、さっちゃんはほとんど出来ません。
フライパンの底から混ぜ返すのではなくて、表面をチョンチョンと触ってるだけなんです。)
さっちゃんが火のそばにいると危なっかしく感じる時は、さっちゃんをそこから離します。
その際に腕を掴んで弱い力で引くんですが、それだけでさっちゃんは怒ります。

そして、いろんな物をいろんな場所に置きます。
僕の枕カバー、椅子のクッション、今日の新聞、テーブルの上の鍋敷き、テント型のティッシュ入れ、
僕のジャンバー、さっちゃんのスリッパ、薬ケース、僕のスリッパ、さっちゃんの寝巻き、
洗濯したばかりのズボン、さっちゃんのウールの帽子、・・・・、
思い出せるだけでも今日もこれくらいはありました。
さっちゃんが持ってる途中でさっちゃんから奪うと、反発して怒っちゃいますから、とりあえず好きなようにさせます。
どこへ持って行ったかを確認しておかねばなりません。
確認し忘れると、長い期間見つからないこともあり得ますし、最悪無くなってしまうこともあるんです。
そう言えばさっちゃんのコーヒーカップも見当たりません。
(この一文は翌朝書き加えましたが、まだ見つかっていません)


さっちゃんは昼でもよく布団の中に入ります。
よく寝ることも確かですが、起きていても何もすることがないから退屈なんでしょうね。
僕が布団の中へ導くことも多くあります。
さっちゃんが寝ていてくれた方が僕の用事がスムーズに進行するからという理由もあります。
でも、さっちゃんはすぐに起き出して来ます。
ものの1分、長くても数分以内には起きて来ます。
再度僕はさっちゃんの手を引いて布団へ連れて行き、「ここで寝な」と言ってさっちゃんの横になる場所を開けてし指し示すんです。
さっちゃんがそこに腰を下ろす際にはお尻に手を当てがって、ドスンと座る際の衝撃を弱めてあげます。
そしてさっちゃんの頭が枕の位置と会うように体をずらさせ、背中と頭に手を当てがって体を倒します。
それからタオルケットを掛け、毛布を掛け、布団を掛けます。
そんな風にしてもまた1分ほどたつと、さっちゃんは起きて来るんです。
こんなことを数回繰り返すと、僕は「もう好きにやんな」となっちゃいますよね。
やってらんねえや! ってな感じでしょうかね。
こんなことは今日に限らずほぼ毎日のように繰り返されています。

薬を飲んでもらう時も、買い物に行くために外着(ズボンと靴下だけ替えてます)に着替えたり、
帰って来て着替え直したり、夜に寝巻きへ着替えさせる時も大変です。
最初から非協力的なこともありますし、ちょっとしたことが気に喰わなくて怒ってしまうことも多いんです。

たった今日一日のことだけでもまだまだ書ききれません。
こんな感じで僕はほとんどずう~っとさっちゃんに怒られ続けています。
ですから僕もさっちゃんに冷たい態度を取ったり、無視したりすることが多くなってしまいます。
僕も普通の弱い人間ですから、さっちゃんからあんな風に言われ続けると、気分も落ち込み、表情も消えてしまいます。
でも、ほんの少しはさっちゃんの気持ちが分かるつもりです。
さっちゃんは己自身の不甲斐なさを分かってるようなんです。
時々言うんです、「私は何もできない」って。
そんな自分をさっちゃん自身が一番辛く感じ哀しく感じているんだと思います。
そんな辛くて悲しい気持ちや不安を僕にはストレートにぶつけているのでしょう。
僕はそんなさっちゃんを受け止められる大きな器ではありません。
反発もし、無視もし、逆襲することだってしますけれど、逃げることだけはしないようにしよう、と思いました。
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