「白い恋人」と利尻山の秘密

2018年4月に残雪の利尻山に登りました。

帰路、稚内フェリーターミナルで銘菓「白い恋人」を買いました。あまりこうしたお土産を買わないたちですが、最果てまで出かけて充実した登山でしたし、何と言ってもパッケージの写真に利尻山が使われているとあっては買わずにはいられませんでした。

帰宅してすぐに半分食べたまま、ほったらかしていました。俵万智さんの歌のように、

思い出の一つのようでそのままにしておく麦わら帽子のへこみ

ってやつですね。(「サラダ記念日」より)

そうこうしているうちに賞味期限を数日過ぎてしまいました。

開封の儀

なんてことない写真ばかりですが、こうしたどうでもいい細部が数十年後に?貴重な資料となるかもしれません。『「岳人」復活の兆し』でも書いたとおりです。

映画「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」で悪役が宝探しについて語った言葉「この時計を砂に埋めて千年たって掘り返せば財宝になる」というやつです。

手っ取り早く「秘密」を知りたい人はどんどん読み飛ばしてください。

手提げ袋

包装

外箱

箱の内側

リーフレット

名前の由来

「白い恋人」という名前の由来については深堀りした記事を見つけました。

そうそう。私も当然のごとく「白い恋人たち」を想起しました。心のどこかでもやもやしていたことを見事に指摘されています。

クッキーの個別包装

クッキー実食

賞味期限を数日過ぎていましたが、問題ない味でした。

かじる前

かじった後

秘密

ここまで気を持たせておいて、「秘密」というほどのものではないのですが……。

トレー

おや、内側のトレーの底に何か書かれていますよ。上は「ISHIYA」で、石屋製菓を指しています。

このトレーはバイオマス素材(植物由来)を主原料に作られています。使用後は可燃物として処理してください。

「コップの底に指輪」的な。「ワインをあけるとラベルの裏に秘密のメッセージ」的な。

利尻山の展望図

こちらが「秘密」の本命です。

「白い恋人」に使われた利尻山の写真はオタトマリ沼に近い沼浦展望台で撮られたという記事はたくさんあるのですが、特徴的な針峰を屹立させた山姿のどこがどうで……といったあたりまで踏み込んではくれません。

クライマーの端くれとしては、利尻山の写真を読み解きたくなります。地図やトポと首っ引きで調べたものの自信が持てません。自分で一歩一歩登り、間近に眺めると確信を持てるのですけどね。さいわいインターネットで先人の記事を発見しました。

『白い恋人』を食べて利尻(仙法志稜・南稜)へ行こう – 東京志岳会

ちょっとだけ書き加えた展望図を作成してみました。仙法志稜、南稜、東稜を確認できます。この角度からは北稜(一般ルート)は見えません。もし間違いがありましたらご指摘ください。

後日談

「黒い恋人」

近所(東京)のスーパーでなぜか「黒い恋人」が売られていたので迷わず買いました。

外箱のイラストにはガス灯らしき影も描かれています。大正ロマンの風情です。

「黒い恋人」の内袋

摺りガラスのような内袋がいやがおうにも儚さを演出します。

「黒い恋人」の個別包装

個別包装は銀箔にシンプルな黒文字。

「黒い恋人」はクランチチョコレート

キャッチフレーズは「恋の粒。それは大地の宝石、とうきびを北海道旭川産の黒豆を練りこんだチョコでコーティングしたサククサ甘~い恋人たちの魅惑のお菓子です」。

北海道のお土産を仕事場にもっていく場合、「白い恋人」はありがちですが、「黒い恋人」なら話題を提供してくれそうです。

「面白い恋人」

乗りかかった船です。わざわざAmazonで取り寄せました。イラストの人物はモボ・モガ(モダンボーイ・モダンガール)らしく、やはり大正ロマンを意識しているようです。なので背景は通天閣(1956年完成)ではなく大阪城です。

「面白い恋人」の内装

「面白い恋人」のリーフレット

「面白い恋人」の個別包装

凹凸模様の平たい菓子を「ゴーフル」または「ゴーフレット」と呼びます。アルファベットと唐草模様?が描かれています。「SAND」はクリームをサンドしているという意味。「GOFLATE」はそのまんまゴーフレット。「C’est un」は直訳すると「これは一つの~」ですが、何を指しているのか不明。倒置法で「GOFLATE」を指しているのでしょうか。何故か「面白い恋人」に関連する文字や模様はありません。何の寓意もない形式美に徹しています。ウケ狙いに走るかと思いきや肩すかし。これは現代的なお笑いのテクニックを踏襲しているのかもしれません。

「面白い恋人」はみたらし味のクリームをサンドしたゴーフル

「みたらし味」の第一印象は「バターっぽい」。意表をつく美味さでした。西洋料理を日本風にアレンジした「洋食」に喩えましょうか。まさしく大正期の「畳の上でベートーヴェンを聴く」文化住宅の世界です。そして、妙に後味を引きずる。心身が高揚する。アルコール入りのチョコレートを食べたときの感じを思い出しました。外箱にもリーフレットにも個別包装にも原材料表示がありません。WEBにもない。大丈夫なのコレ? と思いながら、よくよく探すと、剥ぎ取った包装紙にラベルが貼ってありました。

「面白い恋人」の原材料表示

卵、全粉乳、粉末醤油のコラボレーションが「バターっぽい」味につながっています。「高揚感」の原因は「ソルビトール」でしょうか。糖アルコールの一種です。糖アルコールに普通のアルコールのような作用があるかどうか不明ですが、私は普段ほとんどアルコールを摂取しないので、微量のアルコールに反応したのではないかと推測します。人によっては癖になる味かもしれません。

四方山話

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