林太郎です。


いつもお立ち寄り下さりありがとうございます。

※長文になります




達真空手は強さと同時に"美しさ"を目指しています。美しさというのは、もちろん技の美しさです。目指すところはブルースリーです。



とは言え、この大きな目標に対して僕の基本技や組手はまだまだ程遠く、いまこの記事を書き始めるまで美しさを追求することを忘れていたくらいでしたが、いま改めて思うのは、目標があるということの有り難さです。



何のために空手をやっているのかというと、達真空手では『真に達すること』が目的として掲げられているのですが



"真"とは何なのか?具体的にはどういうことなのか?は、日々の稽古の中で自分で掴み取っていくもので、空手をやる意味も稽古の中で見出されていくもののようです。



宗家からは"真"とは何かについて具体的に語られたことはありません。でも、宗家と接していて、課題作品を読んでいて、稽古中の宗家の指導を通じて、そして、それらを自分自身で実践してみて初めて、それが何なのかがおぼろげに分かってきます。



前回の記事でお話ししたように"本当の強さ"を得ることは"真"に通じるものの一つだと思いますが、【美しさ】を追求することも"真"に達する道に通じているのだと、先日、ある映画を観ていて腑に落ちたので、今回はそのことをお話ししたいと思います。



参考記事:『三十五、本当の強さとは』

こちら



♦︎



その映画というのは『日日是好日』という映画で、主演を黒木華さんが務め、脇を名優の故樹木希林さんが固めています。



この映画の原作は『日日是好日 - 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮文庫、森下典子著)という本で、茶道の世界を通じて著者が感じたことが綴られています。



(内容紹介)

「人生のバイブル」

多くの読者を救ったベストセラー・エッセイ


毎日がよい日。雨の日は、雨を聴くこと。五感で季節を味わう歓び。 

今、この時を生きていることの感動を鮮やかに綴る。 


お茶を習い始めて二十五年。就職につまずき、いつも不安で自分の居場所を探し続けた日々。

失恋、父の死という悲しみのなかで、気がつけば、そばに「お茶」があった。

がんじがらめの決まりごとの向こうに、やがて見えてきた自由。


「ここにいるだけでよい」という心の安息。

雨が匂う、雨の一粒一粒が聴こえる......

季節を五感で味わう歓びとともに、「いま、生きている!」その感動を鮮やかに綴る。


Amazon商品解説より





この映画では、主人公の典子(黒木華)が、従姉の美智子(多部未華子)と共に茶道教室の武田先生(樹木希林)の元に通い始めて、茶道を通じて成長していく様が描かれているのですが、



始めのうちは下手だったお茶のお手前が日を追うごとに上達していき、それと共に典子の人生に対する姿勢が前向きに変わっていきます。



こう言っては失礼ですが、映画の冒頭では黒木華さんと多部未華子さんの演技が下手だなぁと思いながら少々残念な気持ちで観ていたのですが、段々と上手くなってきて、自然とストーリーに入り込むようになりました。



そんな中で、月日が経過して典子の上達したお手前が映し出されるシーンを観ていたときに、その所作にグッと惹きつけられる瞬間がありました。



美しいと思ったのです。

そして所作の中に"流れ"を感じました。



黒木華さんは撮影のために一からお手前を習ったそうなので、あのお手前はご本人のものだろうと思いますが、編集の力もあってか、とても美しく見えました。



その"流れ"が見えたときに、とっさに頭に浮かんだのが空手の技でした。「あぁ、なるほど。茶道も空手道も同じ道。空手にも通じているのだな」と思ったのです。





映画の中で、典子が武田先生の元で習い始めた頃、彼女のぎこちないお手前を見て武田先生が言います。



「意味なんてわからなくていいの。お茶はまず“形”から。先に“形”を作っておいて、その入れ物に後から“心”が入るものなのよ」



この言葉にもグッと惹きつけられました。そのまま空手に当てはまるからです。



ただちょっとだけ、達真空手と違うところがあり、達真空手の場合には“形”の意味についても一部において宗家から指導があります。



何のためにその“形”があるのかを知ることで、肘や手首、あるいは足首などの角度が全く違ってくるからです。



それを知らずにただ“形”を写すだけでは正確な“形”を身に付けることができませんし、“形”が正確でなければ実戦組手においてほんの少しの手首の角度の違いでも勝敗が結してしまうことも起こります。



達真空手では正確な“形”を、まるで太極拳のようにゆっくりとした速度で繰り返し練習するように指導されるのですが、忍耐と脱力が必要とされるこの稽古は、“形”の動線を正確に描くことによって一定の"流れ"を生じさせ、結果的に美しさとスピードとパワーを生み出すための稽古なのだと思います。



この"流れ"と、映画のシーンの中で見えたお手前の"流れ"とが僕の中で一致しました。




この映画を観るまでは空手で追求しようとしている美しさが漠然としていたのですが、今は明確にイメージすることができて、日々の稽古の一連の繋がりとその意味が見えるようになってきたように思います。



目指すところはブルースリーですが、ブルースリーの早くて美しい技も、それを分解していくと、いま自分がやっている「力禅」「動力禅」の稽古によって得ようとしているものと同じになるのではないかと思います。



宗家はおっしゃいます。技をスローに正確に出せなければ、早くて美しい技にはならないと。そのためにおこなう基礎稽古が「力禅」であり「動力禅」であり「歩法」です。



そして、中でも、もっとも重要とされている「力禅」は立って行う禅修行で、内的には宇宙との一体感を得ることを目的としています。



宇宙などと表現すると漠然として掴みどころがありませんが、たとえば鳥のさえずり、木々の揺らぎや風の音、太陽や月、季節の移り変わり、虫の気配、大地から立ちのぼる氣、自分自身の中で変化する氣など、



自分のすぐ側にあるものを在るがままに感じ取ろうとすることで、自然界=宇宙との一体感を呼び覚まそうとする稽古法です。




映画『日日是好日』を観ていて思ったのは、日々の「力禅」で得られるこうした感覚が、原作者の森下典子さんが茶道を通じて得たという感覚ととても近しいということでした。



そして同時に、自分は「力禅」の稽古をしてきたものの、この映画のように真剣に"道"というものに向き合っていただろうかと、ちょっと反省もさせられました。



茶道のお手前のような美しい技を目指して、気持ちを新たに稽古に臨んでいきたいと思います。




以上

河辺林太郎でした。







★こちらもご覧ください

【動画・達真空手演武〜日本刀VS空手〜】

 

 

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https://m.youtube.com/watch?v=X2cSlqip8T4

 

 

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