その頃王子の危惧する通り、お城の中は、祝賀ムードで一杯だった。
もちろんお城の中だけでなく、この国中がお祭り騒ぎになっていた。
お城の使用人だけでなく、お城から離れた村人たちにも、
「ようやく王子に、花嫁が見つかったんだってよ!」
興奮気味に話すと、居酒屋で「前祝いだ!」と祝杯を酌み交わす人たちで
にぎわっていた。
「ねぇ、今年は、お城が開放されるのかしら?」
忘れてはいけない、この人…エラの継母が、娘たちにやや興奮気味に
話していた。
実の所…エラが王子の心を射止めるまでは、
何とか王子とダンスしよう…と、アピール合戦を繰り広げ、
姉妹で火花を散らしていたのだが…
手を取ってもらうどころか、その存在さえも見てもらえず、
まったく不発に終わった…という苦い思い出があったのだ。
そのリベンジとばかりに、シンデレラ大捜索を敢行した時にも、
足を切り落とすほどの、身を切る犠牲を払った…というのに、
まさかの王子に逆鱗にふれる…という痛恨のミスを行い、
現在この継母家族は、お城の出入りを禁止され
ウツウツとして暮らしていたのだ。
もともと派手好きな継母が…こんな地味な暮らしに耐えられるはずもなく…
「いい?あんたたち!今度こそ失敗は許されないわよ!」
2人の娘たちを呼び寄せて、真剣な顔で言い聞かせる。
「やだ、母さん!怖い顔して」
「え~っ、面倒なのは、疲れるからいやよぉ」
ダラダラとした態度で、母親を見つめる。
「いいから、聞いて!
とにかくあんたたちは、エラのご機嫌を取るのよ」
「え~、何でそんなことをするのぉ」
「いやよぉ」
すると継母は、パコンと娘の頭をハエたたきではたくと、
「とにかくするの!一発逆転を狙うのよ!」
だらけて下着姿の娘に、ハッパをかける。
「うまく成功した暁には…お城の出入りを復活させて、
王子様に取り入って、エラを追い出すか…
あわよくば、玉の輿に乗るのよ!」
1人興奮して、自分の計画にその気になり、ウットリとした顔になる。
「ここでどうにか、頑張れば…再び夢の暮らしが出来るはず!」
そう言う継母の腹の中では…実は恐るべき復讐のシナリオが
あったのだ…