「もっとも…埋めたら朽ちてくると思うけどねぇ」
校長先生がそう言うと、岸本先生は頭を振って、
「大丈夫!中は2重にビニール袋でくるんでいるし、ステンレスだからね」
35名の瞳が注がれる中、キッパリと言い切った。
「大丈夫、大丈夫!他の先生の意見も聞いたし」
「ホントかぁ~
先生はいまいち、詰めが甘いからなぁ」
知ったかぶりをしてジュンペイが、わざと悪ぶった口調で、ヤジを飛ばした。
「大丈夫、大丈夫!
ちゃんと調べておいたから!」
子供たちが先生を取り囲むと、みんな一斉に手を伸ばして、タイムカプセルに
触れる。
35名の想いが詰まったカプセルは、思ったよりも重く感じる。
「先生!先生も、何か入れたの?」
お調子者のショータが、ヘラヘラしながら聞く。
「入れたよぉ~みんなの写真も一緒にね!」
ほがらかな声で、先生は答える。
先生が先に、穴の側に立ち、慎重にゆっくりと…その物体を穴に沈めていく。
「いいかぁ~手を放すなよぉ。
いいって言うまで、持っておくんだぞ」
大きな声でそう言うと、先生は穴にはしごをかけて、中にストンと飛び込んだ。
「いいぞぉ~そのまま、下ろしてぇ」
裕太はハラハラしながら、見守った。
こんなことをして…先生が出られなくなったりしないかなぁ~と。
ロープをカプセルの胴体に、巻き付けると、先生の声に従って、
みんなでゆっくりと穴の中へ、落とし込んでいく。
先生は大きく手を振り上げて、
「オーライ、オーライ!」
カプセルに手を伸ばして、それを支える。
思いのほか、穴は深くて、スッポリとその穴にはまり込んだ。
「よし!」
はしごに手をかけて、先生は身軽に穴から這い出ると、
「さぁ、今度は埋めるぞ」
シャベルを手に取ると、今度は大きく土を掬い取ると、穴にかぶせていった。