ようやく終点まで行きつくと…ドキドキしながら、足を1歩、外へと踏み出した。
「あれぇ~ここはどこ?」
一体どのくらい、地下をもぐっていたのだろう。
いきなり日差しに照らされて、目がチカチカして、よく見えない。
それでもどうにか外へと足を踏み出すと…
いつの間にか、あの屋敷は影も形も見えなくなっていた。
(まさか、あれって…幻?)
一瞬裕太はそう思うけれども、そんなことがあるはずもない。
すっかり方向感覚がおかしくなり、どっちへ行けばいいのか、わからなくなる。
まずは、北はどっちだ?どこから来た?
その場に立ちすくんで、キョロキョロとする。
颯太もやっぱり同じように、辺りを見回すと
「ここは…」と言葉を失う。
目の前に広がるのは、湖のような大きな池で、まるでポッカリと巨大なクレーターのように、
その場所を切り取ったように、木の茂みがなくなっていた。
「ここって、もしかして?」
急に思いついたように、裕太がつぶやく。
「あぁ…たぶん、そうだな」
裕太に向かって、颯太もうなづいた。
どうも何回か…都市伝説のように、この地の言い伝えらしく、
老人から聞いていた、あの池が今現実に、目の前に広がっている。
あれは、ウソじゃないんだ。
本当にあったんだ…
恐れるよりもむしろ、裕太は感動していた。
「だけど、全然知らなかったなぁ」
「実際に、見たこと、なかったもんなぁ」
すべてを飲み込むくらいに、大きな池が、静かに空を映して、その場に広がっている。
「本当だったんだ…」
かなり興奮したように、裕太はなぜだかソワソワしながら、池から目を離せないでいた。