オジサンは見た目にもよらず、思ったよりも身軽な人らしい。
今までは、自分以外の人のことを…まったく関心を持たない様子だったけれども、
今は裕太たちの動向がとても気になるらしく、むしろ身を乗り出すようにして、
ジュンペイの差し出す新しいオモチャに、心を奪われているようだ。
案外人間よりも…こういった物を改良することが、好きなのかもしれない。
「おまえたち…また、何か企んでいるのか?」
責めるでもなく、むしろ興味津々で、オジサンは聞いて来る。
楽しそうに顔をクシャリとさせると、子供たちの答えを待っているようだ。
それはまるで…自分も裕太たちの仲間に入れてくれ、と言わんばかりで…
目をキラキラさせて、せがむようにして裕太たちを見る姿は、何だか申し訳ない気持ちにさえさせた。
「別に!何にもないよ!」
元気よくジュンペイが答えるけれど…
「ふーん」
はなからその答えを信じていない様子で、オジサンはドローンを手に取って眺めた。
裏返してみたり、顔に近づけてみたり、横を見てみたり…
細かな傷1つ、見逃さないぞ、という、これまでに見たこともないくらい、真剣な表情だ…
それを見ると、ジュンペイは安心したような顔になり
「じゃあね、今日は何をすればいい?」
と慣れた口調で聞いた。
どうやら交換条件のことのようだ。
オジサンは、少し考えるように、辺りを見回し…
「そうだなぁ。それなら…」
ジュンペイと裕太を、交互に見比べる。
「ジュンペイは、いつものアレ、やってくれるか?」
にこやかに言う。
「そしてそこの君!」
裕太をビシリとまっすぐに見ると、裕太はなぜだか目をそらした。
「キミはこれ…とりあえず、雑巾で磨いてくれるか?」
そう言うと、先ほどどこからか拾ってきたものを、指差して見せた。
追記…
大雨警報が出ました。
こんな夜中なので、誰も気づいていない可能性も!
未明にかなり激しくなるみたい。
土砂災害には、十分気を付けてくださいね。