「あなた…まさか、女子高生?」

 思わず声を荒げると、カスミは自分の目を疑う。

(まさか、シュウヘイはロリコンなの?)

嫌な予感で、またも頭が沸騰してきそう…

それから頭に手をやると、

「お兄ちゃん、いくら何でも、それはやり過ぎなんじゃないの?」

責めるような目付きで、シュウヘイをにらみつける。

「このところ…女っ気がないからって、女子高生に手を出すと…

 逮捕されるわよ!」

呆れた顔で、カスミは言った。

 

 にわかには、どうしても信じられないけれど…実際に目の前に若い女の子が

こちらを見ている。

この現状を見ると、そうとしか思えないのだ。

すると「はっ?」と声をもらすと、

「人聞きの悪いこと、言うなよなぁ~」

シュウヘイは思い切り、笑い飛ばす。

「そんなこと、あるわけないだろ?」

嘆かわしいことだ、とカスミを見ると、まるで上から下まで、全身をスキャンするように、

彼女はこの謎の少女に、鋭い視線を投げかけた。

その視線には

(私の大切なお兄ちゃんには、絶対指1本たりとも、触らせないわよ!)

という並々ならぬ強い決意が感じられた。

シュウヘイとしては、自分がいかに信用されていないのか…と、

ひどくガッカリするのだ。

 にらみつけるカスミの気迫に押されて、エラは怯える。

さらに自分のことが、誰にも歓迎されていないのだ、と嫌でも悟らされたのだった。

 

 そうしてカスミは、エラの姿をジロジロ見ると、呆れたように澄ました顔をすると

「あら、あなた!着るものもないの?

 そんななりをして!」

シュウヘイに借りた、男物のTシャツの裾を、軽く引っ張る。

エラはあわててシャツを押さえると、シュウヘイの背中に隠れるようにして回り込む。

「おいおい、手加減してやれよ。怖がっているぞぉ」

他人事のように、のん気な顔で、ヘラリと笑った。

 

 


 

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