「アマール・アマール」に酔いつつ~望海風斗CD「GIFT」より~




望海さんの声のミルフィーユ「アマール・アマール」

こんにちは、望海風斗さんのCD「GIFT」にうっとりしている、はぴごろもです。

ブルーレイのメイキング映像も観ましたが、一つ一つの歌に込める情熱、思い入れがすごいですよね。

歌うまが、「ハイ、歌いました!」なものではなくて、どこまでも心に響く歌を求めて、試行錯誤を重ね、作品を作り上げていく様子が伝わってきます。望海さんの深い宝塚愛を感じました。

2019年の2月から忙しいスケジュールの間を縫って、望海さんは取り組まれてきました。

監督を担当された吉田優子先生と歌唱指導のちあき先生、(真彩さんも♡)とともに緻密に作り上げた作品は、単に歌の商品を購入したということではなく、望海さんからの贈り物をもらったような不思議な感覚を得ました。

CDの歌はどれもそれぞれが素晴らしいのですが、特に私が好きな歌は「アマール・アマール」です。望海さんも「一番のおススメの曲は?」と聞かれた時にこの曲を挙げています。

ちなみに私が宝塚に魅かれるきっかけとなったのは、(あまり大きな声で言えませんが)その昔の某動画サイトでした。たまたま何かのきっかけで(覚えていない)目に入ってきたのですよね。

「エリザベート」か「ミーアンドマイガール」の一節だったかそれともこの「アマール・アマール」だったか。

どれが先だったかもはや思い出せませんが、「伝説の新公」と言われた霧矢大夢さんの新人公演『ノバ・ボサ・ノバ』の一曲「アマール・アマール」に魅了されたのは大きなきっかけとなりました。

「アマール・アマール」は、甘く切ない、大好きな歌で、霧矢さんの新人公演『ノバ・ボサ・ノバ』ソール観たさ聴きたさにその後、霧矢大夢 「Energy Premium Series」を購入しました。きりやんの新人公演がまるごと観ることができます。情熱的で高い歌唱力、のびやかなダンス、ソールのアツく切ない表情に魅了され、何度もDVDを再生したなあ。シナーマンは最高です。

こうしたきっかけで宝塚を好きになる人もそこそこいるのではと思うので、劇団公式の戦略的な動画サイトの活用がもっとあったらいいかもしれませんね。

望海さんの「アマール・アマール」はすべて望海さんの歌唱で構成されています。ハモるパートを幾重にも重ねて制作された一曲です。他の歌全体に通じますが、バックの伴奏がシンプルなので望海さんの歌が素直に心に沁み入るようです。こんな素敵なミルフィーユあるかしら。

スタジオ収録の風景なのに、涙が出るほど美しいリオの情景が広がってきます。

望海さんの高音も綺麗で「デュルルルルル~」(書くとなんかダサいのがツライ)など、スゥーっと天に昇るよう。

2番目の「愛の誓いを~」のハモリも素敵で、こんな高い音も素敵だなんてステキすぎるわ。

ちょうどワタクシ最近、オンデマンドで「アルカポネ」を観たところでしたので、あんなにドスの効いた声を出せるしこんなに清流のように清らかな声も出せるし、望海さんは声帯が複数あって使い分けているのでは、とうっかり思ってしまう。

今回そんな「アマール・アマール」にしばし浮世を忘れ心地よさに酔いしれていましたが、そういえば、唐突に疑問が…!

「アマール」ってなんでしょう?愛かな?

「ライライライ」は?ラララ的な?意味あるのかな?

「メディー、メディーア、メアジューテは?」なんか強くなっていくやつ?

おお、気になるので調べましょう!CDの感想からちょっと逸れますが。そして違っていたらごめんなさい。よかったらそっと教えてください。

歌詞はこちらで確認できます。(ジョイサウンドHP

ということで…

ノバ・ボサ・ノバ』ちょこっと考察

失念していることもあり、本当はもう一度観てから書きたいのですが、一応CDの感想なので記憶と調べたことを頼りに書きます。

ノバ・ボサ・ノバ』はブラジル、リオのカーニバルが舞台。ということはポルトガル語。

主役の義賊:ソール太陽sol)の意味かな。英語で言うとソーラー(solar)ですかね。

『ソル・エ・マル』は「海におひさまがささやいた」的な歌ですので。

そういえばこの曲は音程とるのにめっちゃ難しそう。でも上手い方が歌ったら、とても気持ちよくなる一曲ですね。

恋に落ちる観光客の富豪の娘:エストレーラはEstrela)です。

!!

そうか、「太陽と星」、なのですね。

つまり、太陽が燦燦と輝く昼間に星は見えず、そして星が輝く夜は太陽は沈んでいる。すなわち、かたや義賊、かたや富豪の娘、という境遇の違いを名前に表しているのかもと。

太陽と星が同時に存在できる時はあるのでしょうか。

それは、夜明けか夕方のわずかの時間。

カルナバルのようにソールとエストレーラは、束の間の熱い恋をしたのでしょうか。

そして夜になって「アマール・アマール」です。以下、歌詞を一部引用します。

メディー」(me di) 文脈から見ると ”私に見せて”欲しいのが、

月に似た やさし微笑みを」。

 

メディーア」(me di a)”私に聞かせて”欲しいのが、

星のような 夜のささやき」。

 

メアジューテ」(me ayude)”私を救って”

「夜霧に濡れ 愛の涙で」です。

月は太陽のようにギラつかず、太陽に照らされた優しい光ですね。満面の笑みではなく微笑くらいの。ソールとエストレーラの境遇の差が大きいから二人の恋は多難です。手放しに大笑いはできないですよね。富豪の娘ですから嗜みもあるでしょう。

そして星(エストレーラ)のように美しい夜のささやき。

実際、星のささやきは聞こえないから本当にわずかなささやきでしょう。(耳元で♡)

そして「夜霧に濡れ」、つまり先が見えない状態のこの恋。あなたの「愛の涙で」清らかにして欲しい。救って欲しい。

哀しくも美しい二人だけの世界。

2番では、

見つめる瞳を」見せて欲しい。

あなたの夢 愛の誓いを」聞かせて欲しい。

あなたの手で 燃える炎を」救ってほしい。

「燃える炎」は恋と同時に許されない恋=罪でもあり。”夜”だから”太陽”であるソールにはどうしようもできない。だから救ってほしい。歌詞は多くはありません。その分、ライライライとアマールに感情が注がれます。そんな、愛を求めてやまない曲でしょうか。

 

身分違いの愛。あなたの微笑みを見たい、声を聞きたいのに叶わない。

ソールの切なさが胸に刺さります。

 

あと、ライライライ…言葉の意味そのものは分からない。甘美であり哀愁もあり。ノバボサノバの中では怒りのライライライも好き。

ブルーレイのメイキングで「私はいったい何回『アマール』と言ったでしょう」と望海さんは仰っていましたが、ライライライがはるかに多いかな。

ちなみにAmar アマルはアラビア語で月の意味があるそう。この意味もいい。月は美しく、そして狂わせる。アラビア語の夜は layali 、layla ヤラリとかレイラとかいう、と、とあるブログで見かけました。ライライライとちょっと似ていたりするかしら?

ポルトガル語だと「愛」とか「愛する」ですかね。

ちなみに、ルア(LUA)が月なのでルーア神父は月なのかなあ。

物売りの男マールはMar、海かな。

「シナーマン」は英語では”Sinnerman“「罪人」の意味です。

sin は「宗教上の罪や神の意思に反する行為」です。

原曲では罪人が罰から逃れようと走り続ける。身を隠そうとするが岩に拒絶され、川は煮えたぎり、海は赤く染まる。神に贖罪するも、神から「悪魔のもとへ行け!」と。すごい歌詞だ。

宝塚では罪は昇華され、最後ビバサンバで最高潮になります。高揚感マックスの劇場全体が燃えるような場面です。

おわりに

ああ、なんだかとっても奥深い作品の気がします。終わらなくなりそうなのでこのあたりにします。そしてもう一度この作品が観たくなりました。宝塚って素晴らしい。

それもこれもきっかけは望海さんの歌の力でした。(急にまとめ。そして終わらなくなるのは、私の記憶力・思考力・文章力のせい)

ぜひ望海さんがソールを演じるのを観てみたいのですが、シナーマンのところの歌唱&ダンスがかなりの体力が要りそう。

霧矢さんも一回だけならまだしも公演を続ける自信があまりないようなことを仰っていたことがあります。また、柚希礼音さんも公演中、酸欠で危なくなりそうだったことを語ったことがあります。

非常にシビアなショーなのですね。なので望海さんのソールを観たいけど、少し心配でもあり…、焦燥と葛藤があります(焦燥はなかった)。ダンスは一部咲ちゃんに頼むとかでどうかしら(いやダメだろう)。

それはさておき、望海さんのアマールアマールは甘美で切なくも、どこかソールとエストレーラの愛が昇華したような、幸せな気分にさせてくれます。舞台とはまた違う、CDならではの歌唱にしたのではないかと思います。

酔いしれつつもいろいろ探求心もくすぐられる望海さんの渾身の一曲でした。

ブルーレイの中で収録が終わったあとの望海さんの「ふうっ」が充実感を物語っているようでした。

お読みいただきありがとうございました。

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4 件のコメント

  • (ノバボサノバ)は、初演を演出家鴨川先生が、真帆志ぶきさんの為に作られたショーです。最近のノバボサノバしか、知らない方は、真帆志ぶきさんの初演のソールが、どれだけ凄かったかわからないと思いますが、初演を見た方逹は、やはりスータンさんのソールを超える人はいないと口を揃えて言います。80代になってもやはり、スータンさんの唄うアマールアマールとシナーマンは、リアルタイムで聴かせてくれます。後に安奈淳さんが再演しましたが、これは、生で何回も見ました‼️この安奈淳さんのソールが凄かったです。今の人逹の轟さんから始まる再演のソールとは、全然違い、魂からの雄叫び、全身本当に魂が燃えているようなソールでした。今でも、アマールアマールもシナーマンも、歌って下さってますが、スータンさんがいる時は安奈さんでもスータンさんの目の前で歌う事は許されていないくらい、スータンさんの代表曲です。その次が安奈さん!誰もが口を揃えて安奈さんの代表曲と思っている二曲です。NHKで放送された安奈淳さんの(ノバボサノバ)を是非見て頂きたいです❗アマールアマールとシナーマンは、それ以下の下級生には、歌って欲しくない安奈淳さんの大切な想い出の曲です。安奈さんのノバボサノバの公演初日前日に鴨川先生が亡くなり、物凄い気迫で演じた役です。幕が閉まると、こんなに涙って前に飛ぶほど出るんだ❗と言うほど泣いたそうです。私もその初日を見ました。皆終わっても席を立てないほど素晴らしいものでした。

  • 雅 光 様
    貴重なお話を詳しく教えてくださりありがとうございます。
    是非聴いてみたくなりました。早速調べてみます!

  • 小野ころんさんの、ノバボサノバに対する情熱的な追求心は、凄いなと感動しました。3月20日、21日に、安奈淳さんの宝塚の歌を歌うコンサートが内幸町のイイノホールであります。このコンサートで、アマールアマール、茜さす紫の花、夢人、愛あればこそ、などなど、安奈さんが現役の頃の歌を沢山歌うと思います。今でも凄い迫力で現役の生徒の上を行く、天才的な素晴らしい歌唱です。私も行きますが、もし良かったら是非聴いて下さい

  • 雅 光 様
    ありがとうございます。
    その後動画を検索し、真帆志ぶきさんと杏奈淳さんのアマールアマールを聴くことができました。本当に素晴らしくて痺れました。実際の舞台ではさぞかしと想像します。
    偉大な方たちのおかげでノバボサノバは今でもファンの心に燦然と光を放っているのだなあと感じました。

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