こんにちは、絶學無憂です。Amazonにレビューを書きました。

 


 

「カタカムナ」で解く魂の合氣術 〜運動力学を超えた“奇跡の現象"〜

大野朝行(ともゆき)著

 

 

 

カタカムナというのはあまり聞き慣れない言葉だと思いますが、太古の昔に日本に存在したとされる超古代文明です。今の所、歴史学者はほとんど無視しています。楢崎皐月ならさき こうげつ)という人が神戸の六甲山であるきっかけから巡り合った平十字という人物から、「カタカムナ神の御神体だから、見た者は目がつぶれる」とされてきた秘伝の巻物の写しを取ることを許可され、この写しの内容だけが、現代に伝わるカタカムナの「物証」です。この巻物(カタカムナ文献)には後にカタカムナウタヒと呼ばれる80首の詩が特殊な図形文字で渦を巻くように書かれており、この解読からカタカムナ文字、そしてカタカムナ文明というものが少しずつ分かってきたような状況です。

本書はあまりカタカムナの考古学的な側面には触れず、著者のカタカムナの解釈と、合氣道の武術研究が結びついた成果を、実践可能な幾つかの稽古によって体験してみよう、と言った趣旨の本です。

カタカムナ文献の言葉の紹介や、カタカムナの概念による、魂合気の解説は、聞き慣れない言葉のオンパレードで、分量としては大したことないのですが、正直なところかなり理解しづらいという印象です。

しかし、実際に本書の最初のほうに出ている「マノスベの姿勢」を実践してみたところ、姿勢改善に目覚ましい成果を上げました。

姿勢というのは厄介で、その人の生きる姿勢とも結びついていたりするので、直そうと思ってもなかなか簡単に直るものではありません。アレクサンダー・テクニークを数年間習って、多少改善したものの、首が前に飛び出す姿勢はずっと続いていました。

ところが、この「マノスベの姿勢」を実践したところ、自分でもはっきりわかるほど首筋がスラっとまっすぐ上に伸びて、周りを見るときの見え方まで変わりました。鏡で見ても別人のように感じますし、他人からも指摘されました。詳しく聞けば全く違うような印象を与えているかも知れません。文字通り空間に対するあり方が違うような気がするのです。

本書に書かれている方法でじゅうぶんにこの効果は体験できたのですが、後にDVDも購入して見てみると、本書の記載から私が思っていたのと、DVDに紹介されている「マノスベの姿勢」の作り方の手順は少し異なっていました。これは文章表現の問題ではないかと思います。もう少し正確に誤解を避けるような表現や、より丁寧な図解が必要だったのではないかと思います。

 

 

「立って、掌で胸を押さえて胸を引き上げます」と一言で書いてありますが、私は両掌で大胸筋を持ち上げることをイメージしていました。DVDで見ると、片手の掌を胸骨のあたりに当てて、それで胸を持ち上げているようです。

次にDVDでは肩甲骨の下部の間を寄せています。「押さえて持ち上げると、肩が後ろにいき肩甲骨が寄って下がります」となっています。

「こうして肩甲骨が下がると、腰のあたりが窮屈に感じます。そこで掌で仙骨に触れて腰を引き下げます。」と続きます。仙骨というのは、脊椎の下にあり、腰椎と尾骨の間にあり、骨盤の後部を形成する骨のことですから、本文を解釈すれば尻の穴の少し上の固い部分に掌を当てて、尻をやや突き出すようなことになります。

それでもよいのかもしれませんが(実際私はそれでもできたようなので)、DVDで行われていたのは少し違っていて、両掌を骨盤(腸骨)の左右に当てた状態で、指先のほうが前に向くようにわずかに手を回転させて、骨盤を後傾させています。

指先を揃えて鼠径部を押して緩めます」と続きます。これは図があるので明らかですが両手で行います。膝がわずかに屈曲し、踵に体重が乗り、首が真っ直ぐに立ちます。

 

数十年来の懸案であった、突き出た首が真っ直ぐになった、と述べましたが、これは単なる良い姿勢ではなく、大野氏の主張するところでは、このマノスベの姿勢を取ると、カタカムナ文献に書かれているような、目に見えない力が身体に取り込まれやすくなり(このことをアワ量が増える、と表現)、この状態で仙骨呼吸と彼の呼ぶ、背骨を通すような呼吸法を行うと、魂合気の技がすぐに使えるようになるということです。

残念ながら実験台になってくれるような相手が身近にいないので本書の大半が費やされている二人一組で行う魂合気の実習は行えないような状況なのですが、YouTubeや大野氏のウェブサイトには数々の魂合気の動画があり、もちろんDVDにも技が収録されており、それらを見る限りは大野氏の主張は信憑性が高いと思います。

私は西野皓三先生の西野流呼吸法の対気や、保江邦夫先生の冠光寺流愛魂柔術を習ったことがありますが、動画を見ると、魂合気の技で相手が動く動き方にはこれらに通じる部分があります。

さて、私はキネシオロジー(タッチ・フォー・ヘルス)の筋肉反射テストを独習で身に付けていますが、この中には、経絡を逆撫ですることで経絡を流れるエネルギーを撹乱し、その経絡のスイッチを切ってしまうという技法があります。これは通常、経絡のスイッチが正常にオン・オフをするかどうか確認する目的で行われるのですが、たとえば体の正面を上向きに流れる任脈の流れを手で逆撫ですると、任脈に対応する棘上筋のスイッチが切れてしまいます。これは正常反応とされて、普通は深呼吸をするくらいではこのスイッチを入れ直すことはできません。逆撫ですると、かなり長時間に渡ってそのままになるので、正しい向きに任脈を数回撫でることでもとに戻す必要があります。

ところが、マノスベの姿勢を取ったままで、任脈の逆撫でをしても、ほんの1秒ほどで任脈が再起動して棘上筋の強さが戻ってきます。すなわち、この姿勢には経絡の自動調整機能が備わっている可能性があります。このことは、大野氏がいう、「アワ量が増えている」ことの証左となるのかもしれません。

また、同じくキネシオロジーには、スイッチングという概念があり、非常に動転するような場面や、非常に不快な刺激に触れたときに、経絡のオン・オフの反応が異常になってしまう現象が知られています。この性質があるためにキネシオロジーの筋肉反射テストは、科学的にその正確さを検証することが難しいのですが、ある種の退廃的なポピュラー音楽を聞くとスイッチングを起こすということを私は見出しました。これも特別なことを行わない限りはかなり長時間効果が持続してしまいます。ところが、マノスベの姿勢を取るとそれだけでスイッチングが解消されてしまうことも分かりました。スイッチングと言ってもいろいろな状態があるかも知れず、マノスベの姿勢がいつでもスイッチングを解消できるのかどうかは分かりませんが、やはり見えないエネルギーについてこの姿勢には特別な意味があることを表していると考えます。

実際にこのマノスベの姿勢でウロウロと歩き回ると(大野氏は「風帆(ふうはん)の歩き」という素敵な名前をつけている)両手がじんじんとしびれるようにエネルギーを感じることが多く、気分も爽快です。

さらに付け加えると、この姿勢を応用して楽器を弾くと調子が良いと感じています。

このマノスベの姿勢がどうやって見つかったかと言うと、宮本武蔵の有名な「五輪書」にほぼそのまま詳しく記載があるということで、これを大野氏が再現したところ、「アワ量が増える」ことに気づいたそうです。

 

『すこしおとが い(下顎)を出す心なり。首はうしろの すじを直に、うなじに力をいれて、肩より総身はひとしく覚え、両の肩をさげ、背筋を陸に、尻を出さず、膝より足先 まで力を入れて、腰 のかがまざるように腹をはり 』

五輪書「水之巻」第二節 兵法の身なりの事


残念ながら、二人一組で行う技については検証できませんが、本書の終わりの方では言霊(ことだま)についての研究も紹介されています。

これもおそらく大野氏の独自研究なのではないかと思いますが、神代文字のひとつアヒル文字の研究の結果「イロハニホ」を「ユウイ・ルウオ・フウア・ヌウイ・フウオ」というように「父音= 子音+ウ」に「母音」を続けるように発音すると、不思議な力があるとしています。これについても座っていたり寝ている相手を力を使わずに起こすなど、二人一組の実習が幾つあるのですが私は試せません。

ところが、上記と同じように、経絡の逆撫でやスイッチングに対して私が調べてみたところ、「ユウイ」や「ルウオ」と一言唱えるだけで、いずれも解消できることが分かりました。ですので父音と母音による「天佑の発音法」にも特殊なエネルギーが働いているのは間違いないだろうと考えます。

看護業界の方や、自宅で両親の介護をする方にとっては、これは朗報ではないでしょうか。トレーニングもなしに、ラクに身体を起こしてあげることができると期待されます。

本書のカタカムナ用語はあまり理解できておりませんが、目を引いたのは「サヌキ」と「アワ」という言葉です。

どうしても四国の讃岐と阿波を連想しますが、前者サヌキは左脳的・頭脳的・男性的なエネルギー、後者アワは右脳的・感受性的・女性的なエネルギーを表すのだそうで、カタカムナ文明は両者のバランスが取れていたそうです。言うまでもなく現代社会は圧倒的にサヌキ性の左脳優位で力による支配に偏っており、アワ的なエネルギーを豊富に取り入れる、マノスベの姿勢、そしてそれを用いた魂合気は、この2つのエネルギーのバランスをもたらすためにこれから社会の中で重要な役割を果たすのではないか、というように私には思われます。

今後も大野氏やそれに続く人たちによる研究が発展し、多くの智慧が明らかとなることを願います。

 

 

マノスベの姿勢の作り方まとめ

  1. 片手の掌を胸骨のあたりに当てて、それで胸を持ち上げる
  2. 肩甲骨の下部の間を寄せる
  3. 腰のあたりが窮屈に感じるので両掌を骨盤(腸骨)の左右に当てた状態で、指先のほうが前に向くようにわずかに手を回転させて、骨盤を後傾させる
  4. 指先を揃えて鼠径部をちょんと押して緩めます
 

浮く手(浮力を持った手)の作り方

上記のマノスベの姿勢に加えて、合気が使える手を作ったとき、それを「浮く手」と呼んでいます。これも書籍よりもDVDのほうが分かり良かったです。私は実験台がいないので試せていませんが、これがちゃんとできたときに、この手や前腕を他の人が掴むと、不思議な事に肩や踵が浮き上がってつま先立ちになってしまうそうです。

 

  1. マノスベの姿勢を作る
  2. 両腕を体の側面につけておろす
  3. 手の小指を体(太もも)の側面につけて、親指が体から離れるように、肩から腕を回外する
  4. そのまま45度くらいまで肩からゆっくりと横に腕を上げる
  5. その姿勢からゆっくりと肩から手を前に持ってくる
  6. ゆっくりと掌を下へ向け、指はだらりとぶら下げておく
 
よければボタンを押してくださいね。
 

にほんブログ村 健康ブログ キネシオロジーへ
にほんブログ村

 


キネシオロジーランキング