防湿庫から機材が消えた日〜ミニマリストX 最終話〜

機材が減りました。

これまでのあらすじ

私は過去2回にわたって、「いかにして不要な機材を処分し、必要最低限の機材で撮影に集中するか」という記事を、「ミニマリストX」と題して書いてきた。

第1話

XF16-55mmF2.8 R LM WR

第2話

XF8-16mmF2.8 R LM WR

この度、ついに念願の「機材断捨離」を達成する運びとなったことから、「ミニマリストX最終話」として、ここに記録しておこうと思う。

結論 : がんばっても、機材は減らない。

ここ数年の失敗体験から学んだのは「努力や心構えでは、機材は絶対に減らない」ということだ。

機材とはすなわち、カメラ好きにとって「欲望」そのもの。欲望を持たない人間はいない。

機材が減らないメカニズム

一例を出してみよう。

まず、新製品が発売される。

それを見ると、欲望により必然的に欲しくなってしまう。これは避けられない。そして、それを買うために、手持ちの機材を売ることを検討する。

手持ちからあまり使用頻度が高くない機材を選別し、下取りに出す。念願の新製品が手に入った。

だが、ここで問題が発生する。その新製品は必要性から求めていたものではなく、新製品だから欲しくなったもの。結局は使用頻度が落ちていく。そして下取り候補筆頭となる。

また新製品が発売される。欲しい。

以下同じ。

機材が増えるメカニズム

そうこうしているうちに、ひとつの現実に直面する。

機材の下取り価格は購入時の価格の半分以下となることが多く、場合によっては3分の1以下になることも珍しくない。

売って、買ってを繰り返していけば、当たり前だが差額分のお金が無駄に消費されることになるし、購入時の機材の価値が半減した状態で手放すことになるのは嫌なものだ。

ではどうするか。

一度買った機材は手放さなければいいのだ。そうすれば、価値が目減りすることはない。

…そして、機材の下取りを最小限にした結果どうなったか。

そのとおり。

…機材が、なんかすごい増えた。

カメラ
FUJIFILM X100F (FUJINON 23mmF2, 23mm, f/2, 1/90 sec, ISO200)
末期にはこんなカメラもあった(白目)

事象についての考察

欲望に抗えない我が身にとっては無駄なことではあるが、これらの事象を考察してみよう。

記憶喪失

時間が経つと、その機材を購入したときにいくら支払ったのか忘れてしまう。喉元過ぎれば熱さを忘れる、ということわざがあるが、つまりはそういうことだ。

厳密には、お金をたくさん払ったことは覚えているけど、それがどれくらい高額で非常識な額かを意識から外している。

…あれ、このレンズ、いつ買ったっけ?

呪い

定期的に機材を買わないといけない。半年何も買わないと「自分は我慢している、不満である」と考えるようになる。

ほら、Twitterでは今日もmng、mngと騒いでる。自分だけ買わないという選択肢があるだろうかいやない(mng=マイニューギアの略)。辛いことがあったとき「よし、自分を慰めるためにレンズ買おう」となる。自分へのご褒美だ。

まあ、とくにその機材は必要ないのだが。

…これはヤバイ。買物依存症だ。病気である。

実際、こんな感じで機材をじわじわ増やしていった結果、最終的には

  • カメラ6台
  • レンズ8本

という異常事態を招いてしまった…。

写ルンです
FUJIFILM X100F (FUJINON 23mmF2, 23mm, f/2, 1/60 sec, ISO500)
これはこれで暴挙

解決策

では、そんな状態からどうやって機材を減らしたのか。

ここからはその方法について解説していこう。

買えなくする

機材を増やさないようにするにはどうすればいいか。ここにひとつのシンプルな答えを提示したい。

物理的に買えなくなればいい。

つまり、経済的に機材が買えないような状態になれば、そもそも機材を増やすことは不可能。タダで機材をもらえるお店は存在しない。

具体的には、貯蓄をすぐに使えないように投機やら投資等に回した。そして結果的に、その金には手をつけられなくなった。

そして、「買えなくする」方法がもうひとつ。

「機材の単価が度を超えて高い」場合、その機材は当然購入対象から外れる。

ライカのレンズは高価だ。富士フイルムのレンズを買い増すのと同じようにはいかない。これらの効果により「機材はいつでも増やすことができる」という幻想をぶっ壊す!

売れなくする

突然だが、ライカのレンズはモデルチェンジをしても、世代ごとにファンがいることで知られている。年代ごとに写りに特徴があり、必ずしも「新製品」がベストな選択肢ではない。

このことから、ライカ製品には「一度手に入れた機材を手放しにくい」という性質がありそうだ。

手放しにくい=下取りに出しにくい。

つまり、新しい機材に手を出しにくくなる。

結果

防湿庫がスッキリ

そんなこんなで、現在防湿庫がスカスカである。とても気分がいい。

「ミニマリスト」には程遠いかもしれないけど、がらんとした防湿庫は、必要なものだけに厳選した、という満足感を与えてくれる。

もうできるだけ機材は増やしたくない。

少なくとも、今は。

まとめ

機材がたくさん防湿庫に入っていた時期は「どのカメラを持って行こうか」という悩みや、「なんでこんなに買ってしまったんだ」という後悔を常に感じていたが、現在はそういうのはほぼない。

撮影に行く時の機材選びも簡単だ。基本はMモノクロームとELMARIT。カラーを撮る必要がある時はX-H1。

…以上だ。

迷いがない。

これは最高の贅沢なのかもしれない。これからは、撮影を純粋に楽しめそうだ。

いやほんとに

次回予告

無駄を削ぎ落として、最小限の機材を運用する。この素晴らしい体験は、私に新しい視点を与えてくれた。

そう、新しい視点

次回「とにかく50mmレンズが欲しい」

絶対見てくれよな!

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4件のコメント

売買を繰り返してきた消費額を合計すると結局現在の機材の額を大きく超えている、だったら最初からこれを買っておけば良かった、は沼あるあるですね 笑
「写真(カメラ)を始めた知人からどの機材がいいか相談されたら、最初はリーズナブルなものを買ったところで結局いい機材が欲しくなって次々と買い換えてしまうのだから、だったら初めから一番高いのを買えと勧めるのが親切」という話はある程度当たっているようにも感じます。

そして、さりげなく写真が挿入されていますが、この末期時代とされる機材はαでは?
本文には触れていなかったと記憶していますが、手を染めておられたのでしょうか? 笑
もし、そうであれば管理人様の回顧録としてぜひ語っていただきたく希望致します。

そして、末尾は沼再開のプロローグ? 笑

今まで買ってきた機材に費やした総額については、きっとちゃんと計算したら吐き気を催すと思われるので怖くて計算できません…
僕の場合は、最初から一番高いものを買っても、安いものとどこが違うのか分からない(=価値が分からない)となってしまい、結局もっと高いものを買い直す未来が見えますね…

あと、末期のカメラはお察しの通りαです…もはや思い出したくない黒歴史ですが、いつか心の傷が癒えたら記事にしてみようかなーと思います!

面白い、ニンゲンの欲望と人生が詰まってる。これは服にも投資にも当てはまる。自分とはなんぞや。気がつかないうちに人に振り回され判断を間違える。自分が分からないから。自分を分かろうとすれば幸せな道がある。

美輪明宏さん、コメントありがとうございます!

「自分を分かろうとすれば幸せがある」というのはまさにその通りだと思います。

カメラを色々と買い増したり買い替えたり、ネットの情報にかなり踊らされました…

今はさらに分不相応なカメラになってる気もしますが、自分を見失わないように自制心を持って生きたいとおもいます!

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