インスリン治療は糖尿病早期からが効果的!止めることも可能です
スポンサーリンク
こんにちは!
三重県松阪市の医療と介護の専門家、
西井医院の院長( @nishii.hospital)です。
インスリン治療と聞くと
- 2型糖尿病が重症になってからするもの
- インスリン治療をするようになったらもう終わり
といった間違ったイメージを持っている人が多いです。
インスリン治療は「最後の治療」ではありません
糖尿病に対して食事療法や運動療法、経口血糖降下薬などを使って血糖コントロールができない場合や、高血糖による「糖毒性」を解除する目的でインスリン治療が行います。
糖毒性とは糖尿病発症早期には、血糖値が高いことに反応し、膵臓はインスリンを多く分泌しようと努力します。
この状況が持続すると、やがて膵臓は疲労困憊し、インスリンを分泌できなくなってきます。
するとさらなる高血糖を引き起こします。
このように高血糖が、さらなる高血糖を呼ぶという悪循環は「高血糖による毒性=糖毒性」といわれており、高血糖をそのままにしていると、ますます糖尿病が悪化していきます。
インスリンを注射してやることで不足しているインスリンを補い、膵臓がインスリンを分泌する負担を軽くして、膵臓を休ませる効果もあります。
糖毒性を解除するには、むしろ糖尿病の早期のうちからインスリンを使う方がより効果的です。
インスリンはいつから使い始めるべきか
先ほど早期から使うべきといいましたが、軽症の間は(食事・運動療法に加えて)経口薬で問題ありません。
目安としては
- いくつかの経口薬を併用しても血糖コントロールが改善せず、HbA1c 8.5%以上が持続する
- インスリンの分泌能がない、あるいは極めて低下した状態
- 糖毒性を解除しないといけない状態
糖毒性を解除しないといけないとは、糖尿病を数年に渡り放置し、高血糖が一日中続いている時です。
2型糖尿病で血糖を下げるインスリンの分泌が低下する。
⇩
血糖コントロールが不十分になり、食後の高血糖だけでなく空腹時の血糖値も上昇する。
⇩
空腹時高血糖が1日の血糖の推移を押し上げ、食後の血糖値が上昇する。
この流れを改善するために、「持効型溶解型」と呼ばれる、効果が長く続くインスリンを1日1回だけ注射する方法(基礎インスリン療法)があります。
インスリン注射について
インスリン注射には主に2つのタイプに分けれらます。
- 注射後すぐに作用する「超速効型」
- 長時間緩やかに作用する「持効型溶解型」
1日1回または2回注射する製剤です。
先行品に比べて効果は同等で薬価がかなり安くなりました。
インスリン注射は実は「痛くない」
インスリン注射用の注射針は31G(同0.25mm)や32G(同0.23mm)で、採血用注射針の3分の1から4分の1以下の太さです。
最近では34G(0.18mm)というとても細い注射針も治療に使われています。
この太さでは、「痛みをまったく感じない」という患者が多いです。
インスリン注射の手技は簡単
インスリン注射は慣れたら1~2分で注射できます。
ほとんどの患者さんが1回の指導で打てるようになります。
インスリン治療は外来通院でも安全に始めることができます。
インスリン治療を開始する際も、飲み薬をすべて中止して頻回注射に変えたりせず、それまで飲んでいた飲み薬にインスリンを追加する(BOT療法)といった簡単に始める方法もあります。
まとめ
インスリン治療をしっかり継続できれば血糖コントロールは改善します。
そして合併症を予防したり進展を遅らせることもできます。
また、膵臓の働きが正常化すれば、インスリンをやめられる場合もあります。
スポンサーリンク